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第38話 迫りくる中間テスト

 今日も今日とて、俺と小春と姫乃ちゃんの3人で朝の通学路を歩いていると、


「そろそろ中間テストがあるよね……はぁ……」

 小春がなんとも生気のない声で言いながら、大きなため息をついた。


「朝から憂鬱な言葉を聞いてしまったな……はぁ……」

 俺もつられてため息をついてしまう。


「どうしてテストってあるんだろうね?」

「さぁ、どうしてだろうな」


「「はぁ……」」

 俺たちはまたまたそろってため息をついた。


 しかし姫乃ちゃんだけは違っていた。


「ええっと、学生ですので定期テストがあるのは当たり前では……」


 姫乃ちゃんは俺と小春の態度に困惑した様子ではあったものの、来たる中間テストへの不安や憂鬱といったニュアンスはまったく感じられない。


「もしかしてひめのんは、テスト問題ナッシング派?」


「そうですね。テストの難易度にもよるでしょうが、現状の範囲でしたら、特に問題はないと思います」


「聞いたユータ!? 問題ないって言い切ったよ! ねぇ聞いた!?」

「ああ、聞いたぞ! たしかに言い切ったよな!」


「あの、もしかして2人とも中間テストに不安があるんでしょうか?」


「あははー、ないと言えば嘘になるかなー。予習復習はしてるから、ヤバいってことはないと思うんだけど」

「ぶっちゃけ俺も。予習復習はしてるけど、高校生になって初めてのテストだし、正直、不安だし憂鬱だ」


「ユータが不安なのはどうせ英語でしょ? 単語と構文を覚えたらすぐできるのにねー」


「そういう小春はどうせ数学だろ? 基本公式に問題の数字を当てはめりゃ簡単に解けるのにさ」


「違いますー! 数学はそんな簡単に解けませんー! 解けたら苦労しませんー! もっと難しいですー!」


「はぁ? 英語だってそんな単純な話じゃないっつーの。異なる言語の習得とか、全教科で一番難しいの確定の科目だっての」


「一番は絶対数学ですー」

「間違いなく英語だってーの」


 俺と小春が幼馴染みあるあるのどうでもいい討論――というか軽口をたたき合っていると、姫乃ちゃんが苦笑しながら言った。


「でしたら、3人でテスト対策の勉強会をしませんか? 3人いれば、わからないところを教え合えると思いますし」


「あ、それいいかもー」

「ありだよな。よーし、やろうぜ」


「どこでやりましょうか?」

「そーだねー、マックとかファミレスとか?」

「絶対遊ぶぞ。来月の小遣いをかけてもいい」


 テスト直前の切羽詰まった時期ならいざ知らず、早めのテスト勉強会を楽しい遊び場でやって、まともに勉強になるわけがない。

 だらけるに決まってる。


「でしたら普通に高校の図書室はどうでしょうか?」

「図書室があるんだ?」

「そりゃ図書室くらいあるだろ。高校なんだから」


「じゃなくて。勉強ができるようなって意味。ほら、中学の時の図書室は小さくて、勉強できるような机やイスはなかったでしょ?」


 小春の問いかけに、俺はすぐに答えようとして、


「…………」


 しかしイエスともノーたも答えられずにいた。

 というのもだ。


「どしたのユータ? 急に黙っちゃって?」


「俺、今すごいことに気付いたんだけどさ」

「なに、すごいことって?」


「そもそも中学時代に、図書室に一度も行ったことがない気がする」


「1度もですか?」

 俺と小春の会話を笑顔で聞いていた姫乃ちゃんが、驚いたように声を上げた。


「うん、ないな。一度もない。だから図書室の比較もできないんだ」

 俺は自分の記憶と照らし合わせてキッパリと言いきった。


「ユータ、妙にドヤ顔だけど、それぜんぜん自慢できないからね。今日からあだ名は『ノー図書室ユータ』だからね」

 呆れたように小春が言って、


「あはは……」

 姫乃ちゃんも、思わずと言ったように苦笑いした。


 ともあれ、俺たち3人は高校の図書室で中間テストの勉強会をすることになった。


 その日の放課後。

 俺たちは早速、高校の図書室へと足を運んだ。

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