第37話 初恋スイーツ×今恋スイーツ
スーパーを出た俺たち3人は、駅前の小さな広場にあるベンチに座って、早速スイーツを食べはじめた。
「ん~~ん♪ やっぱりロピアのプリンアラモードは最高だねっ」
スプーンで一すくいして口に入れただけで、小春はすっかりご満悦だ。
「苺のタルトも美味しいですよ。土台のサクサク感と、苺の優しい甘味が絶妙です」
「抹茶シュークリームもいいぞ。期間限定20%増量なだけあって、明らかにクリームがいっぱい入ってる。食べごたえが抜群だ」
姫乃ちゃんと俺も右に同じ。
俺たちは各々のスイーツを堪能する。
と、
「ユータ。一口あげるね。はい、あーん」
小春がスプーンにプリンを載せて、俺の口元に差し出してきた。
「サンキュー」
俺は口を開けると小春の差し出したスプーンをパクリとした。
口の中にプリンと生クリームの甘味がコラボしながら広がっていく。
「どう?」
「久しぶりに食べたけど、シンプルに美味しいよな」
「でしょ? プリンと生クリームの組み合わせは、いつの時代も最強だよねー♪」
大好物のプリンアラモードを食べているとあって、小春はいつにも増してニコニコモードだ。
「でも珍しいな、小春がロピアのプリンアラモードをお裾分けしてくれるなんてさ」
別に小春の食い意地が張っているというわけではなく、それだけプリンアラモードが大好物だってだけだ。
むしろ小春は気前よくお裾分けしてくれるタイプである。
「奢ってくれたお礼もかねてね。だから今日だけ特別」
「小春は義理堅いな」
「そりゃ、義理と人情といえば小鳥遊さんちの小春ちゃんと、ご近所では評判だからねー」
「ご近所どころか隣に住んでいる俺が、そんな話を一度も聞いたことがないんだが?」
「カッコ、ただしユータは除く、カッコ閉じる」
「なんでだよ」
「ユータはほら、半分身内みたいなものだから」
「な、なるほど……?」
わかるような、わからないような。
などと俺が小春となんでもない平凡な幼馴染みトークをしていると、
「勇太くん、ぜひ私の苺タルトも食べてください。はい、あーんです」
姫乃ちゃんが小さく割った苺タルトを差し出してきた。
いつもゆったりと優雅に振る舞う姫乃ちゃんにしては、妙に動作が早い気がした。
まるで俺と小春の会話に強引に割り込もうとしたみたいだ。
なんてな、考えすぎか。
「ありがとう姫乃ちゃん。いただきます」
俺は丁寧にお礼を言ってから姫乃ちゃんの苺タルトを口に入れた。
「どうですか?」
「サクサクしててすごく美味しい。やっぱりタルトは生地が命だよなぁ、苺ペーストも上品な甘さで、完成度が高いよ」
「ですです」
姫乃ちゃんが女神のごとき優しい笑顔になる。
まさか高校生になって、この幸せな笑顔を毎日見られるようになるなんて、俺は穏当に幸せだなぁ……。
そうして楽しく話しながら俺たちはスイーツを食べ終えて。
「また機会があれば、帰りに買い食いしような」
「つまり次もユータのおごり?」
「なにがつまりだよ。悪いが、俺の小遣いにも限界があるんだ」
「はーい、残念」
小春がぜんぜん残念じゃなさそうに言って。
「実は私、買い食いをするのって初めてなんです」
「そうだったんだ」
「どれにしようかみんなで選んだり、楽しくおしゃべりしながら食べたり。どれもとっても楽しかったです。素敵な体験をありがとうございました」
ぺこりと頭を下げる姫乃ちゃん。
「あはは。お礼なんていいってば。姫乃ちゃんは本当に律儀だなぁ」
「こう見えて律儀といえば二宮さんちの姫乃ちゃんと、ご近所では評判ですから」
顔を上げた姫乃ちゃんが少しドヤ顔で言った。
「あ、それアタシのパクリー!」
「あら、バレちゃいましたか」
「バレるもなにもまんまでしょー」
「はい、まんまです」
ふふっと柔らかく笑う姫乃ちゃん。
「ひめのんってお嬢様っぽいのに結構お茶目だよね」
「実際は一般庶民ですからね」
なんて会話をする2人は楽しげで。
小春と姫乃ちゃんもすっかり仲良くなったなぁと、ほほえましく見守る俺だった。




