第32話 初恋モノローグ&今恋モノローグ
◇初恋モノローグ◇ ~二宮姫乃~
高校初日の夜。
晩ご飯を食べた私は、お風呂で身体をしっかり洗った後に、湯船につかりながら、今日という素晴らしき日を振り返っていました。
「ふふっ、今日は勇太くんとデュエットをしちゃいました。男の子とカラオケに行くのも、一緒に歌を歌ったのも初めてです。ふふっ、やりました」
初恋の男の子との初めてのデュエットは、すごく恥ずかしかったけど、とても胸がドキドキして、信じられないくらいに楽しくて、切ないくらいに嬉しくて、最高に幸せでした。
思い返すだけでニヤニヤが止まりません。
「でも、2人にとってはデュエットは当たり前なんですよね。それがちょっと悔しかったです」
緊張感なんてまったくなく、当たり前のようにデュエットを始めた2人の姿に、幼馴染みとしての積み重ねをまざまざと見せつけられたような気がしました。
「ううん、小春ちゃんは見せつけたとすら思っていませんよね。だってそれが2人にとっての当たり前なんだから」
当たり前のようにデュエットをする2人の関係性に、私は無限にも思える差を感じずにはいられませんでした。
「がんばって差を埋めないとです。まだまだ追いつけるはず。せっかく初恋の勇太くんと再会できたんだから――ブクブクブク……」
私は口元まで湯船につかりながら、決意を新たにしたのでした。
◇今恋モノローグ◇ ~小鳥遊小春~
高校初日の夜。
晩ご飯を食べたアタシは、お風呂で身体をしっかり洗った後に、湯船につかりながら、今日という素晴らしき日を振り返っていた。
「ひめのんとデュエットした時、ユータすごく緊張してたよね」
アタシとデュエットする時は、ユータは緊張なんてしない。
だってそれが当たり前だから。
あまりに近すぎる距離感は、恋愛よりも友情をアタシに想起させた。
「でもひめのんとのデュエットは違ってた。ううん、デュエットに限らないよね。ひめのんと過ごす全てのことが、きっとユータに新鮮な感動を与えてる」
それも転校前の懐かしい思い出を呼び起こしながらだ。
2人の間であった劇的な「何か」のせいで、ユータとひめのんの絆は強く深く、そして鮮烈だ。
ほっといたらすぐにアタシのことを忘れて、2人きりの世界に入っちゃうくらいに。
幼馴染みというまったりとした関係性では、とてもそれに太刀打ちできそうになかった。
幼馴染みという関係性は、お風呂に例えればぬるま湯のようなものだ。
まったりと心地の良い関係性は、ライバルさえいなければ他を寄せ付けることはない。
けれど強烈なライバルという熱いお風呂が近くにあれば、たちまちぬるま湯は物足りなくなってしまうのだ。
アタシはそのことを今、切実なほどに痛感していた。
「ユータとひめのんの間に何があったのかな? あー、気になるなぁ……でもさすがに聞くのなしだよね。転校してきてすぐのユータが変に大人しかったの考えたら、結構、大事だったっぽいし」
聞きたいけど聞けないし、そこで勝負しちゃ勝ち目はない。
「いまさら幼馴染みはやめられないもん。だから幼馴染みらしく、もっとユータと親密さを武器にしないと。最高に心地よいぬるま湯になるんだから。って言っても、何ができるかなぁ。はぁ、ブクブクブク……」
アタシは口元まで湯船につかりながら、幼馴染みができることについて考えを巡らせるのだった――
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