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第31話 初恋 ×デュエット × 今恋

「いや、小春が入れた曲だろ?」

「だってこれデュエットだもん。一緒に歌おっ」


「俺はいいよ」

「いいとか言うなし!」

「ご、ごめん」


「ほらほら立って立って。アタシが赤のところを歌うから、ユータは青のところを歌ってね」

「了解」


 小春に促されて俺もスタンディングすると、小春が俺の腰に右手を回して密着してきた。

 俺も小春の肩を左手で軽く抱きよせる。


 デュエットだしな。

 俺と小春は幼馴染みなんだから、腰に手を回したり肩を抱き寄せて密着デュエットするくらいは別に普通だよな?


「えへへー、久しぶりだね。ユータとデュエットするの」

「たしか年末にカラオケ行った時以来だよな? 久しぶりっちゃ、久しぶりか」


「この歌、歌えるよね?」

「有名な歌だから大丈夫だと思う。っていうか撮るのかよ?」


 見ると小春のスマホがテーブルの上に、既に録画モードで置かれていた。


「うん。記念にねー」

「デュエットなんて今まで何度もしてるし、動画だって何度も撮ってるだろ?」


「でも高校の制服では初めてでしょ? だから記念なの♪」

「了解。お、始まるぞ」


 イントロが流れ、俺は小春とデュエットを歌い始めた。

 最初の小春の歌パートの間に、姫乃ちゃんに視線を向けると、


「デュエット……なるほど、そんな手があったなんて……さすがは小春ちゃんです……!」

 真剣な表情で、選曲端末を使って曲を探していた。


 歌い終わると、俺が入れた歌を歌った後に、やはりと言うべきか今度は姫乃ちゃんともデュエットをすることになった。


 姫乃ちゃんはスマホを録画モードにして机にセットすると、ソファに座ったままで俺に身体を寄せてきた。


「デュエットをするのは初めてなんです。だからエスコートを、よ、よろしくね、勇太くん」

 そして恥ずかしそうに上目づかいで言ってから、おずおずと左手を俺の腰に回してきた。


「ああ、えっと……おう」

 俺はどうしようか迷った末に、じっと見つめてくる姫乃ちゃんの恥ずかしそうな上目づかいに誘惑されて、右手で姫乃ちゃんの方を軽く抱きよせた。 


 ま、まあ?

 デュエットだしな?


 姫乃ちゃんは俺の初恋の女の子なんだから、そんな子にそっと腰に手を回されて上目づかいでうるうるされたら、肩を抱き寄せ返してしまっても仕方ないよな?

 エスコートして欲しいってお願いもされてるし。


 イントロが流れ、デュエットが始まり、俺は姫乃ちゃんと初めてのデュエットをした。


 姫乃ちゃんの顔が俺の顔のすぐ隣にあって、透き通るような声で歌っている。

 もう会えないと思っていた初恋の女の子がすぐ隣にいて、身体が触れ合いながらデュエットをしている。

 ほんの数日前は思ってもみなかった奇跡のような現実が目の前にあることに、俺は幸せを感じないではいられなかった。



 その後、俺は小春の歌の時は小春とデュエットをし。

 俺の番は俺が一人で歌い。

 姫乃ちゃんの歌の時は姫乃ちゃんとデュエットをする。


 結果的に休む暇もなく2時間ぶっ続けで歌い続けることになった俺ののどは、終わるころには完全に枯れ果ててしまっていた。


 歌い終わってカラオケルームを出ると、周囲はすっかり暗くなっている。


「久しぶりのカラオケ、楽しかったー」

「はい。久しぶりに大きな声で歌っちゃいました」

「俺はちょっと歌い疲れたかな……」


 駅までの道をまた3人で歩いていく。

 広がり過ぎて迷惑にならないように2人がかなり密着してくるのが、なんとも気恥ずかしい。


「あははー。ユータのどガラガラドンじゃん」

「あ、私、アメ持ってますよ。ちょっと待ってくださいね」


 姫乃ちゃんが立ち止まると、通学鞄の中かからフルーツ飴を取り出して、渡してくれた。

 リンゴ味だ。


「サンキュー」

「いえいえ。小春ちゃんも1つどうですか?」

「アタシも欲しいかもー!」

「では、どうぞ」


 3人でフルーツ飴を舐めながら駅まで行き、姫乃ちゃんとは方向が違うのでそこで別れ、俺と小春は一緒に家に帰ったのだった。


 こうして高校生活初日は、とても充実した1日となった。

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― 新着の感想 ―
こんなアオハル、あったらいいなぁって言うストーリー、期待しています♪ ところで絵文字のリアクション、最近2つ押せることに気が付きましたヨ
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