第16話今恋モノローグ
◇今恋モノローグ◇ ~小鳥遊小春~
アタシは部屋のベッドで寝転がりながら、とある女の子の顔を思い描いていた。
「ユータにあんな美人な女の子の友だちがいるなんて、ビックリだったなぁ」
二宮姫乃――ひめのん。
スラリとしたスレンダー美人で、サラサラの黒髪はまるでシャンプーのCMに出てくる女優のようだった。
どうしても気になったので触らせてもらったら、粉雪のようにサラサラと手からこぼれて、思わず感嘆のため息が零れ落ちてしまった
そんなひめのんはユータの小学校時代の友だちらしい。
友だち。
友だち。
友だち…………?
「とてもそうは見えなかったけどなー」
アタシの存在を完全に忘れてひめのんと話し込んでいた時のユータは、口調はどこか幼く、声のトーンは弾んでいて、身振り手振りは妙に大きくて、なにより2人の間に割り込んだ時に見たユータの目は、小さな子供がオモチャコーナーにでもいるかのようにキラキラと輝いていた。
伊達に幼馴染みとして4年間、ほとんど毎日顔を合わせてはいない。
幼馴染みアイにかかれば、2人がただの友だちでないのは火を見るよりも明らかだった。
「お互いにごめんなさいって謝ってたし、2人の間で特別な何かがあったぽいよね」
ユータは前の学校のことをあまり話したがらないので、アタシもあれこれ尋ねたりはしてこなかった。
転校直前に何かをやらかしてすごく怒られたってことだけは、ユータ本人やお母さんからチラッと聞いたけど、あまり突っ込んで聞くのも悪いと思ったので内容までは聞いていない。
というのも、この話になった時にユータがすごく寂しそうで、辛そうな顔をしたからだ。
あ、これは聞いちゃいけないんだなって思ってしまったのだ。
でもずっと不思議ではあったんだよね。
「ユータって割と真面目だし? やる時は一生懸命やるし? まぁまぁ気遣いもできるし? 運動もけっこう得意で、宿題とかも律儀にやるタイプだもん。何かやらかすようにはとても思えないんだよね」
だからそこにはきっと「何か」深い理由があったはず。
その「何か」こそが2人の秘密に違いなかった。
羨ましいなと思った。
だってそれは2人だけの間でのみ通じる共通の思い出だから。
残念ながらアタシとユータにそこまで深い思い出はない。
せいぜいお泊まり会をして一緒にお風呂に入ったとか、一緒の部屋で寝たとかくらいで。
それも中学1年の秋くらいが最後だったし、特に何があったわけでもなかった。
強いて言うなら、お泊まり会の夜に起きておトイレに行ったら、戻ってきたときに寝ぼけてユータの布団に潜り込んじゃって、朝起きていたら抱き枕みたいに抱きしめちゃってたくらい?
ま、それくらい幼馴染みならよくあることだよね。
ともあれ。
「思い出の瞬間火力じゃ、ひめのんに負けちゃってる。でも。だけど。今はアタシの方が近くにいるもん。ひめのんは綺麗で美人だけど、アタシだって可愛いって言われてきたし、なにより幼馴染みってアドバンテージがあるんだから」
手始めに、明日の朝もユータを起こしにいこうっと。
それも、いつもよりも積極的に!
幼馴染み特権でねっ。
まずは序章が終了です。
初恋と今恋の甘く切ないラブコメディ。
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本日は6話まで更新する予定です。
明日も同じくらい投稿します。
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