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9話 拠点

ドロップ品の買い取り金や報酬を受け取り冒険者ギルドを後にした。

帰りも来た時同様に歓声に包まれ再びモーセの十戒も起こっていた。


「この200年で冒険者も腑抜けましたね・・・」


アリシアさんはまだ不機嫌な様だ。


「う、うん・・・」

「私達の様な突然現れてランクも急激に上がりギルドからの対応も丁寧」

「うん」


良い事だよね・・・?


「そんな若手が現れたら絡みませんか?普通!」

「え、うん、どうだろう・・・」


物語的に考えたらテンプレな展開ではある。

チート能力を持った低ランクの新人がベテランに絡まれて難なく撃退する。

嫌われ者の冒険者をぶっ飛ばし。「アイツ威張り散らしてて嫌いだったんだよなザマーミロ」と、他の冒険者達からの評判も良くなり更には実力も示してギルド内での評価が上がる。そんなテンプレイベントかもしれない。


「雑魚がご主人様に絡んで来て、それを撃退する」

「う、うん・・・」


出来るかな?2人にキャリーして貰ってレベルは上がったけど実践経験に乏しく攻撃スキルも持ってない。


「そうすればご主人様もご自身の強さを把握出来ますし。その自信の無さも解消されるかと思ったのですが・・・」


自信は無いよ。モンスターは倒しまくってるけど2人がボコって拘束したヤツにトドメを刺してるだけだし。

まぁ、上層の雑魚モンスターは1人でも倒せるようになったけど・・・。


「でも、ギルド内でケンカして殺しちゃうのはマズくない~?」

「それもそうですね」


殺すの?誰が?アリシアが?アリスが?


「え?俺じゃないよね?」

「ご主人様がですよ?」

「いやいやいや、無理でしょ。流石に」

「その自信の無さと言いますか。ご自身の強さを理解された方が宜しいかと」

「マジで?」

「このギルドで言ったら~。1番強いのはお姉ちゃんで2番目は私~。ご主人様は3番目か4番目には強いと思いますよ~」

「マジでっ!?」

「マジですよ~」


パワーレベリングって凄いな・・・。


「ご主人様にご相談が」

「え、うん、何?」

「そろそろ拠点を移そうかと思うのですが」

「え?別の街に行くの?」

「はい。如何ですか?」

「アリシアがそう言うって事は理由があるんだろうし反対はしないよ」

「ありがとうございます」

「で、どこに行くか目星はつけてるの?」

「はい」

「どこ?」


聞いても分からないだろうけど・・・ってか、この感じは教えて貰えないパターンな気がする。


「それは着いてのお楽しみという事で」

「だろうと思った・・・」

「ふふふ」


家に帰り久しぶりのお風呂に感動したり、風呂上がりにキンキンに冷えたヤツを飲んだり、新鮮な野菜を食べたり、温かい食べ物に心までホカホカにされたりした。


その翌朝。

そんな準備をする暇がどこにあったのか分からないが家の売却に馬車の購入に旅支度と全てが済んでいた。


「準備に時間を掛けると冒険者ギルドに気取られて妨害を受ける可能性ありましたので」


との事で一瞬で準備を済ませたらしい。

ここ数ヶ月、ウチのパーティーがここの冒険者ギルドの稼ぎ頭らしく・・・それも桁違いだからこそ汚い手を使ってでも余所に移るのを阻止してくる可能性があったそうだ。


人生で初めての馬車での旅をする事になった訳だが、思っていた以上に揺れる。

元々、乗り物酔いはしない方だがここまで揺れると酔う。が・・・酔った瞬間に状態異常耐性が発動して治まる。

これがまたしんどい。治るんだから良いと思うかもしれないが・・・酔う、直ぐ様治る、また酔う、治る、酔うをずっと繰り返すのだ。

これだったら思いっきり酔ってグロッキーになった方がまだマシな気がする。


「遠くを見ると良いですよ~」

「う、うん・・・」

「歩かれますか?」

「そうしよっかな」


馬車から降りて馬車の横を早足で歩く。

これだったら歩いている方が楽かもしれない。


と、思ったのも束の間。

早足というのはかなり疲れる。これだったらゆっくりと走った方が楽かもと思い走ってみた。

うん、走る方が楽かも。


早足は足の筋肉を。特に膝から下を酷使する。

ゆっくりでも走るとなると心肺機能をフル稼働させる事になる。


そう。

息が完全に上がった。


なので馬車で大の字になって休憩をしている。


「ところでさ?」

「はい」

「馬車って荷物運ぶ為の馬車だよね?」

「そうなりますね」

「荷物は全部アイテムボックスに入ってるし」

「はい」

「馬車じゃなくて馬に乗った方が早かったんじゃない?」


この馬車は2頭引きなので更に1頭買う事にはなるが、その場合は荷台を用意する必要も無かった上に速度も上がる事を考えれば各々が馬に乗った方が良かった気がする。


「私達は乗れますけど~。ご主人様も馬に乗れるんですか~?」


なるほど。俺の所為だった。


「うん、馬車がベストだね」



まだ陽が高いのに野営の準備を始めたのでびっくりしたが、野営の出来る場所は限られているという事や馬の休憩も定期的に必要だったりと色々とあるらしい。


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