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7話 歓声

今日も今日とてアリシアとアリスによるパワーレベリングが続いている。

厳密に言うと。今回ダンジョンに潜ってかれこれ1ヶ月が経とうとしている。


パワーレベリングを開始して早々に取得したアイテムボックスもレベルが上がる毎に容量も増え。時間停止には未だ至っていないが経過速度軽減効果は付与された。

それによりダンジョンに持ち込める食料も大量に増え今に至るといった感じだ。


現地調達分も含めるといつまででも潜っていられる可能性もあってそろそろ恐ろしい。


ここ、ニヴルヘルダンジョンは上層はそこまでではないが寒冷ダンジョンと呼ばれており下層に行けば行く程に気温も下がりモンスターだけでなく環境との戦いも激しくなっていく。


状態異常耐性により凍結や凍傷といったものには掛からないが寒いものは寒い。


最近気付いたが・・・この状態異常耐性スキルというのはかなりレアなスキルで状態異常に対して抵抗してくれるスキルな訳だが・・・何を(もっ)て状態異常とするのか。

気付いたのは老いも状態異常に含まれるという事だ。

状態異常耐性スキルのスキルレベルが上がる毎にジワジワと若返っている。

実年齢でいえば30も半ば。20年に渡る過酷な生活により見た目でいえば40は疾うに過ぎ50と言われても誰もが信じるような見た目だった。

それが今や20代後半程度の見た目になっている。


「これまで苦労されてきた分。これから取り戻して参りましょう」

「そうだね」

「後もう少しだと思うのですが・・・」

「何が?」

「楽しみはその時に取っておきましょう」


まただ。やっぱり思わせぶりな時は教えてくれない。


「もしかして、そうなるまで潜りっぱなし?」

「どうでしょう?今回も想定より順調に進んでおりますのでもうしばらくの我慢です」

「うん」

「ご主人様は早く帰りたいの~?」

「うーん、レベ上げ自体は楽しいからまだやりたいけど寒いのがちょっと辛いかな。早く帰って熱々のお風呂に入りたいって気持ちはある」

「拭くだけじゃ気持ち悪いですよね~」


そう。

寒くても汗はかくし新陳代謝で垢も出る。なので慣れてはくるが臭いが気になる。

お湯を沸かしタオルで身体を拭いたりはする。それでも服を洗濯は出来ないので完全に臭いを絶つのは難しい。

しかも、アリシアもアリスも臭くない。何故か俺だけが臭いからこそ気になる。


「食料も心許(こころもと)なくなってきたのでそろそろ帰りましょうか」


ニヴルヘルダンジョンに居る主なモンスターはスケルトンやグールにリッチ等のアンデット系が主な為、食料の現地調達が比較的難しいダンジョンだ。

とはいえ、全ての階層、全てのモンスターがアンデットという訳ではなく寒冷地に生息する動物型モンスターも多少は出現する。

ただ、ここしばらくはアンデットのみの階層が続きアイテムボックスの中の食料が減る一方だった。


アリシアが引き返す事を提案した時点で俺の肉体年齢は20代半ば程だったと思う。

それが引き返しながら狩りをしていると20歳前後程まで若返った。

すると新たに取得したスキルに不老が現れ。そのまま状態異常耐性に統合された。


「おめでとうございます」

「おめでとうございます~」

「うん、ありがとう」


これかな?アリシアが俺に取得させたかったスキルは。


「これの事言ってた?」

「はい。まだ先はありますが」


あるんだ?まだ先が・・・不老の先って不死?不老不死って事?


「もしかしてさ?」

「はい」

「エルフが若いのって不老スキルのおかげって事?」

「いえ、エルフは単純に寿命が長く。成長しきると老いが止まり。寿命を迎える間際に一気に老いるのです」


なにそれ怖い。

でも、世の女性からしたら理想か。ずっと若いまま。


「ですので、エルフは基本的に不老スキルは所持しておりません」


なるほど。



数ヶ月振りに地上に戻り、冒険者ギルドでドロップ品を大量に納品する。

前回までは先に家に帰り、庭にドロップ品を取り出してアリシアとアリスが仕分けてから2人が冒険者ギルドに納品しに行っていたのだが今回は流石に量も多いという事で俺も冒険者ギルドへと足を運ぶ事になった。


2人が来てから全てが変わった。スカベと呼ばれ他の冒険者が捨てて行った物を漁って生き延びてきた。冒険者達からギルド職員から街の人から全てから蔑まれギリギリで生き延びてきた20年だった。

それが、2人と出会って全てが変わった。


それでも冒険者やギルドに対しての苦手意識が消える訳ではない。

理由もなく殴られたり、なけなしの金を巻き上げられたり、スキルの的にされたり・・・トラウマにならない方がおかしいレベルだったのだ。



目立たないようにコッソリと入った。つもりだったが・・・俺が冒険者ギルドに入ると周りから歓声が上がった。

罵声や嘲笑ではなく。それは疑いようがない程に明らかな歓声だった。

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