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6話 性質

2人が稼いでくれて家も買った。しかも、風呂付き庭付きの豪邸を。

どうも200年前とは違い国同士で交わされた約定によりエルフを奴隷にする事は貴族であろうと難しいそうだ。

ウチの場合はレアケースで。その約定が交わされる以前の奴隷であった事。本人達が奴隷である事を望んでいる事。その他諸々の理由から俺の奴隷として認められた。

当然、その事は吹聴してくれるな。と、念を押されたが・・・。


転機となったあの日からもう半年程経っただろうか。

地道な?パワーレベリングを繰り返した結果。俺も中々の高レベルとなった。


レベルが上がり色々なスキルを取得した。

アイテムボックスや鑑定等の異世界転生御用達なレアスキル達も当然取得した。


レベルは上がれども攻撃スキルは覚えられないし、パーフェクトヒールの数字も0/3のまま変わらない。

それどころか初期スキルがパーフェクトヒールなんだからヒーラーだと思っていたのにいくらスキルが増えても回復スキルは一切発現しない。


毒耐性や麻痺耐性等の耐性スキルも大量に覚えていき、遂には状態異常耐性として統合されたりもした。


「私の予想が正しければですが」

「うん」

「この調子でレベルを上げていけば良い事が起こります」

「ふーん・・・良い事って?」

「それは、その時の楽しみに取っておきましょう」


思わせぶりに話を振ってきて。挙げ句、どうなるか予想すら教えてくれなかった。

半年前に知り合った時に比べるとだいぶ砕けた態度になってきた。

そんな畏まられる様な人間じゃないからタメ口で良いしご主人様呼びもしなくて良いと伝えたが固辞されてしまった。


ちなみに、妹のアリスの方はそれを聞いて嬉々としてタメ口を利こうとした瞬間・・・姉のアリシアに後頭部を(はた)かれていた。

これが現代日本であれば笑いの一つも起こる所に思えるかもしれない。

ただ、これは異世界だ。しかも、2人共に超が付く程の高レベル。叩かれた瞬間に吹っ飛んでダンジョンの壁に刺さっていた。まるでギャグ漫画のように。


ここで少しばかりエルフの説明をしておこう。


エルフのイメージといえば森に住み自然を愛する菜食主義者。物語によっては世界樹と共に生きていたりもする。

寿命も長く悠久の時を生きる種族だからこそ大らかだが他種族に対して排他的な気質もあったりする。


そんなイメージを持っていたが、実際に接してみて分かったのは。

別に菜食主義者ではない。そういうエルフも居るかもしれないが、この2人は大の肉好きだ。

森や自然は好きだが普通の人間でも嫌いな人はそう居ないと思う。その程度の好き具合らしい。

寿命は長く排他的。これは当たっているらしい。

魔力の多さ・大きさがエルフのプライドらしく、魔力の少ない相手はどうしても下に見てしまうらしい。

他の種族はどうしても直ぐに死んでしまうので親しくなっても寂しい思いをするから距離を置く感覚との事だ。


そして・・・エルフ最大の特徴。

膨大な魔力を活かした攻撃魔法がエルフの売りだが。逆にその魔力を防御には使えない。

普通の人間と比べたら纏っている魔力による防御力で十二分に堅いのだが意図的には使えないそうだ。


(すなわ)ち、攻撃特化の脳筋。

性格的にも力こそパワー味を感じる事が多々ある。


ファンタジーなイメージ通りなエルフな一面もあればそうでない面もある。

細かく言えばアリシアとアリスでさえ見た目は似ていても性格も好みも全然違う。

結局は血液型性格判断程度にしか当てにならない。


アリシアはアリシア。アリスはアリス。それ以外のエルフには会った事は無いから分からない。そんな感じだ。



「ご主人様~」

「んー?」

「元居た世界の話聞かせて下さ~い」

「んー、何が聞きたい?」

「ヒコーキ!」

「飛行機かぁ。でも、俺も乗った事無いから前に話した事が俺の知ってる事のほとんどなんだよなぁ」

「え~」

「アリス。あまりご主人様のを困らせないようなさい」

「だって~」

「ところでさ?」

「「はい」」

「こんな広い家なんだからメイドさんでも執事でも雇った方が良いんじゃないの?」

「申し訳ございません」

「ご主人様は私達じゃ物足りないと・・・」

「いやいや、そういう意味じゃなくてっ」


あれ?アンジャッシュしてる?


「前にも言ったけど。俺としては2人の事を奴隷だとは思ってないし言ってくれればいつでも奴隷から開放するし」

「それは結構です」


ですよねー。

前に話した時にも断られたし。


「忙しすぎない?」

「??」

「いや、家の事全部やってんじゃん。その上で俺のキャリーもして」

「ご主人様が私達2人では足りないと仰られるのであれば不徳の致すところでございます」

「2人には満足してる!」

「はい」

「大変だったら雇って良いからね?って話」

「分かりました」

「あ、うん。分かってくれたなら良かった」

「不要でございます」



アリシアは静かに怒っているようだったので後でアリスに聞いたところ。

信用出来無いヤツを俺の周りに置きたくない。これはエルフ特有の排他的な性質らしい。

そして、エルフは独占欲が強いらしい。

この場合、それが俺に対して発動しているようだが・・・。


ちなみに、畏れ多くて2人には手は出していない。拒絶されるのが怖くてアクションを起こせないヘタレ野郎なもんで。


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