22話 依頼
アリスと綿密な計画を立てた。
ウソだ!
アリスに聞いてアリシアの好きそうな喜びそうな事や物を羅列しただけだ。
でも、俺があれこれ考えるよりもアリシアの事をこの世で最も知る妹のアリスの案を採用するのが確実にベストなんだから。
という訳で・・・。
「どう?」
「美味しいですね」
「本当?良かった」
「ですが」
で、ですが・・・?
「これであれば私が作った方が良いですね」
スイート・エモーションで買ったお菓子を食べるティーパーティーを開催してみたが効果はイマイチだったようだ・・・。
「こちらを」
「あ、うん」
と、アリシア作のクッキーとお店のクッキーを食べ比べる。
が・・・正直、どっちも美味しい。
現代日本の・・・と言っても、20年食べてない訳だけど・・・それでも、その味を知っている身からするとどちらも甘みが足りない。
良い風に言うと風味豊かで素朴な味わい。だけど、やっぱり砂糖とバターの暴力的な旨味。コンビニスイーツ的なパンチが足りないのは事実である。
「如何ですか?」
「うん、アリシアのが美味しいね」
「はい」
ただ、そう思っていたのは俺だけでは無く。作った本人もそう思っていた様で・・・。
「アスガードで砂糖が流通しているという噂を耳にしたのでここまで来たのですが」
「うん」
どうやら流通していないっぽい。
アスガードのスイート・エモーションが本店でミズガルズに2号店まであるらしい・・・本当に手広くやっていた様だ。
もしかしたらやり手の経営者とかだったのかもしれない。
それはさておき。
アスガードからミズガルズに輸送していたとの噂もあるらしいが真相はアリシアですら掴めていないそうだ。
噂から推測するとアスガードのユーダリルダンジョンから砂糖が取れる可能性が高い。
ただし、浅層ではなくかなり深い階層だろうとアリシアが言っていた。
「目指してみる?」
「宜しいのですか?」
「だって、その為に来たんでしょ?」
「1番の目当てはラッシュブルですが」
あ、うん、そうね、肉好きだもんね。
これにより基本的に予定が全て吹っ飛んだ。
アリシアのご機嫌を回復させる為のあれやこれやを一気にねじ込んで1日楽しく過ごして貰いましょーの会はこれにてお開き。
ダンジョンに長期間潜る為の準備をアリシア指揮の元、速やかに遂行する事となった。
まずは食料の調達。
金の稲穂亭でもスープの他にも色々と注文をした。かなりの割増料金に加えて蜂蜜の提供も求められたが仕方無い事だろう。
それ以外にも冒険者ギルドでも料理の納品依頼を出してみた。
「いつから潜る予定?」
「明後日からで如何でしょうか?」
早いな。全然ゆっくり出来無い。
エルフって長命だから短命種とは時間の感覚が違っていて10年振りに会った相手に対しても久し振りだと思わなかったり。待ち合わせをしても1年や2年なら遅刻にならないとか。そんな創作小説を読んだ記憶があるが・・・実際のエルフはこんなにも忙しなく生きているという事を教えてあげたい。
「じゃあ、準備急がないとだね」
「後は注文した品が宿に届いているはずですので。それをご主人様のアイテムボックスに収納して頂くのと」
「うん」
「明日、冒険者ギルドで料理を受け取るだけですね」
なるほど。本当に仕事が早い。
宿に戻ると店先に荷物が山積みになっていた。
「荷物が届くとは聞いちゃいたがあんなに届くとは普通思わんだろ」
「すみません。今直ぐ片付けますので」
3人で何往復かして2階の俺の部屋に運び込む。
「こんな入る?」
「ほぼ限界かとは思いますが入るかと」
アリシアの言っていた通り全て収納する事が出来た。
「でも、明日・・・冒険者ギルドで料理受け取るよね?」
「はい」
「入るかな?」
「装備類は取り出しますし、軽くて嵩張る物は背嚢に入れれば問題無いかと思います」
「なるほど」
そして、気になっていた事がある。
「ところでさ?」
「はい」
「食料少なくない?」
「はい」
ん?はい?
「ユーダリルは食材をドロップするモンスターが多いので現地調達で賄えるかと思います」
「なるほどね」
普通のパーティーであれば1番の問題になる飲水はアリシアもアリスも水魔法が使えるから気にする必要が無い。
食料も俺のアイテムボックスがあればかなりの期間は保つし、長期間のダイブにもかなり適正が高いパーティーだと思う。
もしかしたら踏破なんかも出来てしまったりするかも?
そんな甘い事を考えながら翌日に冒険者ギルドや金の稲穂亭から食料を受け取り意気揚々とユーダリルダンジョンへと向かった。




