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21話 栄養

「お、お願いだからっ・・・もう許してっ・・・」


親方との将棋に熱中しすぎてまたしてもアリシアに怒られてしまい・・・遂には最後の一局に負けてしまった。

勝ち誇る親方に対して悔しさが。侮ってしまった自分に対して怒りが抑えられず・・・もう一局と気付いた時には叫んでいた。

その結果・・・アリシアの指示でアリスに抱え上げられてそのまま宿へ強制送還される事になったのだが・・・何故にお姫様抱っこ。


見た目は20歳。心はアラフォー。

いや、アラフォーだからキツいとかじゃなく男がお姫様抱っこされてる時点で恥ずかしい。


ただ・・・そんな心からの叫びも無視されてお姫様抱っこされたまま金の稲穂亭まで帰る事になり。街中は勿論、宿の中でも奇異な目で見られてしばらく立ち直れない程に心をやられた。


「ご主人様って趣味とか好きな事無さそうなのにショーギ?っていうの好きなんですね~」

「まぁ、そこそこかな」


親方から聞いたが。俺よりも先にこの街に来ていた転移者と思しきヤツが将棋を発明して広めた事になっているらしい。将棋だけでなくオセロや囲碁にバックギャモン等も商業ギルドに登録して著作権を貰っているとか・・・。

俺もヘルヘイムに居た時に同じ事をしていればあんな生活を送らずに済んだのかもしれない。


いや、将棋等の知識チートに限らず。焦らずに情報収集してから安全にダンジョンに向かっていればレベルも上がって耐性スキルを得たりアイテムボックスを得たりしていたはずだ。そんな事を今更ながらに考えてしまう。


どうにも間が悪い。

勇み足だったり、逆に思考停止して動けずに無為に時間を過ごしたり。


「ご主人様~?」

「え?うん、なに?」

「聞いてました~?」

「あ、ごめん考え事してた」

「も~、そうやって集中しすぎて周りの事が見えなくなるのは良くないですよ~。って話てたんです~」

「あ、そっか。ごめんごめん」


それは自覚している俺の悪癖だ。

攻めに集中する余り受け損なう。攻めと守りのバランスが悪くて一本調子になってしまう。


って、例えが将棋になっているのも変なスイッチが入ってる所為だな・・・。


「それと~」

「お姉ちゃんの料理だと物足りないですか~?」

「え?なんで?美味しいよ?」

「だったら何でスープお願いしたんですか~?」

「あー・・・美味しいんだけどさ?野菜とかあんまり料理に入ってないでしょ?アリシアの料理って」

「うん?そうなのかな?」

「うん・・・ほとんど肉だからね」

「そうかな?」

「エルフはそれで良いかもだけど。俺は色んな食材を食べて色んな栄養素が必要なんだよね」

「ふ~ん。エイヨウソ?ってのが入ってるんだ~?あのスープには」


この辺りはちゃんと教えて話し合わないといけないかもしれない。


「美味しかったでしょ?」

「美味しかったけど~」

「けど?」

「お肉入ってなくて物足りなかったかな~」

「2人はそうかもね」


ん?ちょっと待てよ?


「さっき何か大事な事言ってなかった?」

「??」

「なんだっけ・・・」

「エイヨウソ?」

「違う」

「お肉?」

「違うと思う」

「野菜?」

「なんだろ・・・?」

「スープ?」

「んー・・・」

「お姉ちゃん?」

「お?」

「お姉ちゃんの料理?」

「あ・・・」

「正解?」

「それだ・・・ありがと」


アリシアの料理が気に入らなくてスープを頼んだと思われてそうな気がする。


「もしかしてさ?」

「はい~?」

「俺がスープ頼んだのって、アリシアの料理に不満があったと思われてる?」

「お姉ちゃんに~?」

「うん」

「たぶん?」

「やっぱりか・・・」


アリシアの不機嫌の原因の一端が掴めた気がする。

いや、まぁ、何て言うか・・・一端であって他にも色々とやらかし続けているから1つだけ原因が分かったところでどうにもならないのかもしれないけど・・・。


「アリシアの好きな物とか好きな事って何かある?」

「ん~、冒険とかかな~?」

「ダンジョンとか?」

「うんうん」


であれば・・・ユーダリルダンジョンに長期間のダイブをするのも良いかもしれない。

上層は話にならないかもしれないけど、深層まで行けばアリシアでも楽しめる様なモンスターが出て来るはずだ。

その分、危険性は増すけども・・・。


「ふと思ったんだけどさ」

「はい~」

「ダンジョンの最下層って何があるの?」

「さぁ~?」

「あれ?判明してないの?」

「ん~、小規模な5階層とか10階層くらいの小ダンジョンだったら踏破されてますけど~」

「うん」

「ユーダリルみたいな大型ダンジョンは踏破された事無いんですよ~」

「へー。中型は?」

「無いですよ~」

「攻略された事があるのは小さいダンジョンだけって事か」

「中型は無いんです~」

「うん、聞いたよ?」

「だーかーらー、中型ダンジョンは無いんです~。存在しないんですよ~」

「あ、そういう意味か・・・」



俺が入った事のあるダンジョンは3つ。その3つ共に大型のダンジョンだから小規模ダンジョンとは縁が無かった訳だけど。

10階までの小さなダンジョンはあるけど、20とか30のは存在しない。


ん?ユーダリルとか判明してる最深階層って何階なんだろう?


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