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船が無い漁師街






「船が一艘も無いな…」

港を見渡し義孝は、つぶやいた時、暗闇の港から声だ聞こえた。





「見ない顔だな、旅人か?」

岸壁に腰を下ろしていた男が、義孝達に声をかけた。




「あぁ、そうだ」「漁師か?」「漁には出られないのか?」

声の主に義孝は聞いた。





「船がありゃー出られるが…まぁ船を出したら海龍に、沈められるがな」

義孝達に歩み寄りながら、漁師は答えた。





「船は、一艘も無いのか?」

義孝は、漁師に聞いた。





「無いな…船大工が造ってたが、完成して船を出すと海龍に沈められ」

「そのうち、船を造る木も入らなくなり、船の櫂すら造れねーよ」

漁師は、そう答えると、ため息をついた。





「木があれば、船は造れるのか?」

義孝は、漁師に聞いた。





「造れるだろうがよ、その木が手に入らねーんだよ」





「そうか、船大工は、どこにいる」




「ほら、向うに見える赤い屋根の家が、船大工の家だよ」

漁師は、船大工の家を指差し義孝に教えた。




「ありがとう、行ってみるよ」

義孝は、礼を言いレビンと船大工の家に向かい歩き出した。





「あんた、エルフか?」

漁師は、レビンに声をかけた。





「そうよ」

レビンが答えると漁師は、






「そうか…」

座っていた漁師は、すくっと立ち上がり、レビンの手を掴み頼んだ。

「なぁ…頼む!!木を…木を分けてくれるように、エルフの仲間に頼んでくれねーか?」

「なぁ…頼む!!」





「わた…私には、そんな権限がないの…ごめんなさい」

レビンは、冷静に漁師に答える、





「そ…そうか…すまない」  

漁師は、レビンの手を放し、深くお辞儀をして港を離れて行った。






「そろそろ、餓死者が出そうだな…」

義孝は、痩せ細った漁師の後姿を目で追った。




「えぇ…」


義孝とレビンは、船大工の家に向かった。






「誰か居るか?」

義孝は、船大工の家のドアをノックした。







「誰だ!!うるせぇーな!!今、忙しいんだよ!!」

家の奥から大きな声がして、ガッシリした身体の男が現れた。


「暇だけど」(小声も聞こえた)





「頼みがあるんだが?」

義孝が言うと男は、




「あぁ~ん!!頼みだぁー」

大声で言うが、


「頼まれたら聞いちゃうけど」(小声も聞こえる)




「面白いヤツだな…」

どうやら、小声が本心なのだろうと義孝は思った。




「うん」

レビンも、そう思ったらしい






「面白いヤツだぁ~」顔がニヤける船大工


「面白いって言われてうれしい」(本心)


「でっ、にぃーちゃん頼みってなんだ?」






「あぁ、船を一艘造ってくれないか?」







「船を造れだぁ~」

「木があれば造っちゃうよ」(本心)





「…調子狂うな」

苦笑いの義孝とレビン



「うん」







「まぁ、なんだ、ここからは、普通にする」

船大工は、普通に話せるようだった。







「最初から頼む!!」「あはは」

船大工の言葉に、大笑いの義孝とレビンだった。








「それで、船を造れだって?」「木は、ねぇ~ぞ!!」






「木材は、こちらで用意するよ」

義孝の話に、船大工は





「用意するだぁ~?」「どうやってだよ!!」

驚いた顔をした。







「それは、言えないが…どんな木が必要か、教えてくれ」

義孝の言葉に、船大工は、





「そうだな~樹齢なら200年以上の木で、真っ直ぐ伸びた木だなぁ~」

「少しでも、曲がってちゃあ~使い物になんねぇ~からな!!」

船大工は、必要な木材の説明をした。





説明を聞き義孝は、「わかった、何本必要だ?」と聞いた。



船大工は、


「そうだな、船の大きさによるがぁ~」

「兄ちゃん、何人乗るんだぁ~?」




船大工の問いに「二人だな」と答えた。







「それならぁ~一本分の木材が、あればいいなぁ~」

「にぃちゃんに、用意できるのかぁ~?」





「わかった、用意しよう」

「何日で、造れる?」







「そうだなぁ~1日で造ってやらぁ~」

嬉しそうな顔で船大工は答えた。






「1日?早いな!!」

義孝は、驚きを隠せなかった。







「そんなぁ~もん、俺の手にかかりゃぁ~簡単さぁ~」

「がはははは」

船大工は、大笑いした。






「今夜中に用意しよう」

船大工に言い、義孝とレビンは、船大工の家から出た。






「木は、どこから持ってくるのよ?」

「エルフの里に戻るの?」

レビンは、義孝が、木材を用意できるのか心配だった。






「レビン、ココ」

義孝は、レビンにアイテム鞄を指差して見せた。




「あぁ…鞄の中のアイテム袋に入ってたわね」

レビンは、義孝がエルフの森の木を、アイテム鞄に入れたのを思い出した。









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