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君に捧ぐ未来  作者: オールドマイン
5/8

乱闘

「あなたも相当強いように思うけど、それでも?」

 ルージュはナイ―ドに尋ねる。


「恐らくそうだろう。10年前の僕から見て、少なくとも僕の父はかなり強かった。そのレベルに近い人間がたくさんいたのがあの剣術道場だ。それが全滅。僕もあの場にいれば間違いなくこの世にはいなかっただろうね」

 ナイ―ドは深刻そうな面持ちで答える。


「そんなに……、では、なおさら急がないと面倒なことになるわね。私たちの存在がカイルからその犯人に伝えられて、もし犯人自ら私たちに迫ってきたらとてもまずいわ」

「そのようだね」

「では、行きましょう」

 ルージュとナイ―ドは再び逃げてきた警察の建物の方に向かう。



 警察の建物内にて


「出る?今から?手錠かけられたまま?」

 イエールは半笑いで尋ねる。


 ビードとイエールのいるこの部屋は狭く、窓もない。外へ通じる道は、先程の警察の男が来たドアただ一つである。


「まあ見てろよ」

 ビードはそのドアを足で蹴飛ばす。ドン!

 年齢層によっては心臓が止まってしまいそうな音が周囲に響き渡り、ドアは勢いよく外れる。

 イエールは床に倒れていた。


「な、何事だ!」

 むこうの部屋にいる警察たちが声を荒げる

 ビードは蹴飛ばした扉がもとあった場所に得意げに立っている。


「おい、これはどういうことだ、イエール!……っち、気絶してやがるのか」

 警察はイエールの方に声をかける。

 イエールは動かず床に倒れたままである。


 勢いよく外れて飛んで行った扉は向こうの部屋の壁に突き刺さっており、けが人も数名出ているようであった。


「おい貴様、こんなことをしてただで済むと思っているのか?」

「どうせ拷問にかけるつもりだったんだろう?」

 ビードは相変わらず薄ら笑いながら答える。


「手錠をかけられたその状態でここから抜け出せるとでも?」

「今のうち指名手配書でも作っといた方がいいぞ」

「ふん、ほざけ!」

 警察の人間が複数名拳銃でビードめがけて撃ってくる。


「ドア完全に蹴っ飛ばすんじゃなかったな」

 ビードはいったん元の部屋に入って銃撃をしのぐ。

 

 周りを見回して少し考えるそぶりをして、ビードは倒れているイエールをつかむ。そして、イエールの体を自分の体の前にする。

「おい!お前まさか!やめろー!」

「あれ、気絶は振りだったのか。したたかだね~」

 今まで動かなかったイエールが突然動き出してビードの拘束から逃れるように体をがむしゃらに動かす。


「仕方がないか」

 そういって、ビードはイエールをはなし、自分の寝ていたベッドを持ち上げる。ベッドを自分の建て代わりとし、部屋の向こう側に突っ込んでいく。

「おら~!」


「ふー、油断も好きもあったもんじゃないよまったく。しかしあいつ、手錠をはめた手でよくあんなもの持ち上げられるな」

 イエールは相変わらず倒れてじっと動かず、薄目を開けながら、銃弾のあたりそうのないポジションを確保しつつ観察していた。


 ビードはベッドをうまく利用して弾丸をかわしながらとなりの部屋への侵入に成功した。その部屋には机やいすなどが多く並んでいたのでその下に隠れたりしている。

「よし、あれだな」

 ビードは倒れて近くで動けなくなっている警官の保持している拳銃を手に取る。

「よし、6発入っているな」


 ビードは隙間からその場にいる人数を確かめる。

「8人か」

 ビードはその倒れている警官を、8人のうちの近くの奴に勢いよく投げつける。

「撃て―!」

 8人の警官は投げつけられたものにとっさに銃を撃ちこむ。

 投げつけられた警官とその対象の警官はその銃で撃たれる。


「やめー!くそ、奴じゃない」

「警官が警官を射殺!これは重罪だな」

 ビードは素早く銃撃の指揮をしていたらしき男の背後に回り頭部に強烈な蹴りを入れる。その男は意識を失い倒れこむ。


「だが、安心しな!名誉の殉死ということにしてやるぜ」

 ビードは6発の弾をすべて残った6人の警官の脳天に正確に打ち込んだ。

「ふ~、これで終わりか、手錠の鍵はと」

 ビードは部屋のまわりをごそごそと荒らし始める。


「おいおいまじかよあいつ。やりやがった。じゃあ、このまま俺も脱出を」

 イエールは驚きと笑いを内包した表情で立ち上がって部屋から出ようとする。


「拷問がそんなに待ちきれなかったかね?」

 別の部屋から現れたのはカイル・ボージュだった。刀を帯刀しており、銃も複数所持しているようだった。


「うお!」

 イエールは再び素早く、音を立てずに床に死体のように寝そべる。


「これ、外してもらえるかな」

 ビードはカイルに手錠をかけられた手を見せて少し笑って言う。

「手ごと切るって拷問がいいかね?」

 カイルも笑いながら答える。

「そうか~、あんたなら外してくれると思ったんだけどな~。ほら、一回完敗した相手にもう一回挑むのもいやでしょう?」

「敗北者は手錠をかけられるに至った君ではないかね?」

 カイルは話し終えるとすぐに銃でビードの方をめがけて撃つ。


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