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前世の記憶

久しぶりに投稿です。

私はなぜ『自分らしく生きたい』と思ったのだろう。




頭の中に映像が駆け巡る。


なんだろう…これは。


ある家族が写った。小さな子供が満点のテストを掲げお母さんとお父さんに見せている。

「お母さん!お父さん!私、テストで満点とれたよ!」

「何を言ってるの、満点とったぐらいで。勉強なんてくだらない。それより、今年の柔道の大会で一位を取りなさい。」


あぁ、これは私か。

思い出した。これは幼い頃の私の記憶だ。

あまりいい記憶ではない。見たくなかったが、無情にも映像は流れていく。


「そんな簡単なもので喜んではだめだ。それより、今年の全国テストで満点を取るんだ。いいな?」

それを聞いて私は落胆するのだ。


今日も2人は笑ってくれなかった、と。

なぜか両親は昔から私には笑ってくれなかった。

私以外には笑っているのに。


私だけ。

どれだけ頑張っても。

両親の願いを叶えても。

ずっと変わらない親。


だんだん大きくなるにつれ、私は気付いていった。

お母さんが大事にするスポーツの願いを叶えるほど、お父さんに嫌われていく。

そして、お父さんが大事にする勉強の願いを叶えるほど、お母さんに嫌われていく。

嫌われてばかりで、2人が私を好きになる機会はなかなか来ない。


これでは、2人は永遠に笑ってくれないのではないか、と思ってしまった。

けれど、今更小さい頃からの夢を諦めることは出来ないし、何よりこのことを認めてしまうと自分の心が壊れてしまう気がした。

だから、やめるわけにはいかない、と私はマイナスな感情を押し殺し続けた。



そんな日々が続き、私は高校一年生になった。

ある平日の朝。夜遅くまで勉強していた私は寝不足でふらつきながら学校へ向かっていた。


「ちょ、君!危ない!!」

誰かにそう言われて、私はやっと気付いた。私に凄い勢いで走ってくるトラックに。

恐怖で私の足は竦んでしまっていた。


もう逃げられない。まだ、親に好きになってもらってないのに…!


考えている間にどんどんトラックが近づいてくる。

私はほとんど反射的に叫んだ。


もし、来世で生まれ変わるのなら

「自分らしく生きてやる!」

周りの人が驚いている。

悲鳴も聞こえる。

そんな中、私の体がトラックにぶつかり吹っ飛んだ。


親の為に費やした人生だったな

こんなところで死ぬぐらいなら

おしゃれや恋もしたかった。

来世というものがあるのなら

私はその為だけに人生を使ってやる



そこで映像は終わった。

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