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プロローグ.
学校を出た。藍色の空が広がっていた。
「もうすぐ降るかもなぁ…」
ボソリと呟いた。
「かもね。」
と素っ気なく返される。
並んで歩いていた。一定のリズムが刻まれる。何も話さないまま。
ぽと
雫が落ちる音がした。
空を見た。
ばしゃ
「あ…」
水たまりがあることに今気がついた。裾はもう濡れていた。
クスッ…
笑う声が聞こえた。
「気をつけなよ」
「うるせーなぁ」
あはは、と笑う君の顔はとても綺麗だった。
水たまりを眺めた。斑点が1つ、2つと増えていく。ここでようやく顔に冷たい感覚が走っていることに気がついた。
と間もなく雨が降り出した。
「濡れちゃうね。」
「いいんじゃない。」
「いっそ遊んでみよっか。」
「いいね。」
こんなに自然に話したのは何日ぶりだろうか。楽しい。
君が走っていく。
僕も負けじと追いかける。
雨は激しくなってきた。