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サイドストーリー スライムさんと転生うさぎ

2話~9話の間のスライムさん視点のお話。

スライムさんから見て転生うさぎがどのように見えていたのか、また、どのように思っていたのかそして、スライムさんの最後を描いた舞台裏。

『それ』に自我というものは無く、自然と失っていく魔力を補給して延命するためにただひたすらに辺りをさまよい続けていた。



目が無い為に周囲を見ることが出来ないため、魔力感知で魔力のあるものを判別している。しかし、素早く動き回るモノに関しては捕まえることが出来なかったため、魔力量は微量だが動かないモノを優先的に狙って取り込んでいったが、それでも一日に減っていく魔力量を補うことも出来ずに、どんどんとその体を小さくしていった。



この場所に何時から居るのかは分からない。しかし、以前はここではないどこかに居たことだけは分かる。スライムは魔力感知で周囲を視るので、周囲の魔力の状況でなんとなく違う場所かどうかが分かるのだ。それでも範囲は限られるが。



以前居た場所は身動きこそ取れなかったが、大量の餌で魔力を蓄えることが出来た。しかし、そんな時期は長くは続かずに、身動きの取れないままこの場所に連れて来られて拘束を外されて自由になった。



以前の場所の方が良かったのか、今の動き回れる自由な環境が良いのか、『それ』には考える知性は無くて分からなかったが、今のこの状態が続けば『それ』の命はそう長くは無いことだけは理解していた。



ただひたすらに魔力感知を使って餌を求めて彷徨っていると、ある時不思議な反応を感知した。



魔力はそんなに無いものの、ちょこちょこと距離を空けてながらついてくるモノが居る。今までにない不思議な動きが気になった『それ』は、その正体が知りたいと強く願って魔力感知でそれを視ることが出来ないか試行錯誤する。



そして結果として、まだ色は鮮明ではないけれど、形を把握するまでに魔力感知の精度を高めることに成功した。



『それ』の後ろをちょこちょことついてくる生き物は、長い耳が特徴的な小さい生き物だった。周りが緑色っぽい植物だがその生き物は白い色でふわふわとした毛が風で揺れているのが分かる。



この感知能力によって、『それ』は今まで捕まえることの出来なかった動くモノがどんなものなのか、今まで食べていたモノについても学び始めた。



ちょこちょことついてくる生き物に意識を傾けていたら、突然何かが自分に飛び掛かってきた。鋭い牙や爪が体に突き刺さるものの、それごと体の中に取り込んでいく。今までの何倍、いや何百倍もの魔力を取り込むことに成功した『それ』は驚き、そして歓喜した。



それから、何故今まではこんな風に襲われなかったのに今は襲われたのか、その違いについて考え始める。ふと気付けば、先ほどの小さい生き物も居なくなっていた。



これをきっかけに、『それ』は着実に頭脳型としての変異をしていった。考え、実践し、結果を知って学ぶ。そして新たな疑問についてまた考え始める。そうして得た知識は確実に『それ』の中に記憶されていった。



ただ、この考えるという行為にも魔力を使うようで、気付けば先ほど得た魔力の三割以上を使ってしまった。どうすれば、魔力を使う量を減らせるか考えた『それ』は地面を覆うように体を広げてその場に留まることにした。これにより、今までのように無駄に動き回って魔力を消費することもなく、気配を消して物音を立てないことで獲物が来るのではないかと考え付いた。



しばらくその状態で居ると、魔力感知に何かが走って来るのを感知した。その感じはさっき・・・といっても結構時間が経っているのだが・・・後ろをついてきていた小さい生き物に似ていて、その後ろに一回り大きい存在が襲い掛かっているのを見つける。



自分では到底出来ないであろう逃走劇を眺めていると、突然小さい生き物が『それ』のいる場所へ進路を向けた。そして、近くまでくると大きくジャンプした。思わず反射的に捕まえようと体を伸ばすと、その後ろについてきていた生き物が体に当たった。本能的にそれを即座に取り込むと、そのまま魔力に変えていく。ふと、小さい生き物が気になり確認してみると、生きてはいるようだが動かないで隠れるようにしてうずくまっていた。



一瞬、これも取り込もうか考えた『それ』は体を伸ばすが途中で止めた。何故だか『それ』はこの小さい生き物が気になってしまい、ここで取り込むのは勿体ないと考えてその場で再び地面に広がった。これが『それ』が初めて感じた興味という感情で、感情という存在を知るきっかけにもなった。



それからというもの、その小さい生き物はこの間のように逃げ回るようにしながら誘導し、『それ』の下へ生き物を連れてくるようになった。そのおかげで、今までのことが嘘のように魔力が蓄積されていき、体の大きさも元の大きさへ戻っていく。しかし、このままでは以前よりも体が大きくなって隠れるのに不便だと判断した『それ』は、自分の意思で体積を調整出来るようにした。



そして、『それ』にとっては生きるための魔力を持ってきてくれる小さい生き物にお礼がしたいと思い始める。しかし、その生き物は食べ物は近くの緑色の植物を食べるようなので、同じように餌を持ってきてあげても食べないだろうし、そもそも、自分では難しい。



考えた末、大きくなる体の調整の為に体を切り離して魔力を分け与えようと、体の一部をその小さい生き物の前に落とした。最初はおっかなびっくりだった態度だったが、恐る恐るその体の一部を食べると、嬉しそうにぴょんぴょんとその場を跳ねる。その様子を見て、『それ』は嬉しいという感情が芽生えて、今後もお返しに渡そうと決めた。



魔力感知で周囲を視るのにもすっかり慣れて、今では色や形の他、質感までも分かるようになってきた。そのおかげで、一日という概念と朝や夕方、夜といった変化による生き物達の行動の変化についても知ることが出来た。



そんなある日、いつものように、餌を連れてきた小さい生き物にお礼として自分の体を渡すと、それを食べた生き物がふるふると震えだして倒れた。驚いた『それ』は慌てて魔力感知で視てみると、今まで少なかった魔力が膨れ上がって全身に巡り渡っていくのが分かった。体全体が暗い時間に空にある大きな丸い物のように淡い金色に光りだす。



『それ』は小さい生き物を守るためにそっと自分の体の中に包んだ。この時から、『それ』の中ではこの小さい生き物は自分の守るべき存在であると思うようになった。



一度周囲が暗くなり、また明るくなり、しばらくして赤く染まり、そしてまた暗くなって金色の光が暗くなった周囲に降り注ぎはじめた頃、ようやく小さい生き物は目を覚ました。



ゆっくりと自分の中から解放して地面に下ろすと、小さい生き物は困惑したようにあちこちへ周囲に顔をきょろきょろとさせる。そして、いくつかの植物を加えると、ゆっくりと移動していった。もちろん『それ』も後についていく。



やがて、他より少し高い位置にある岩の上で植物を咥えながら上を見上げている。見ているのはやはりあの大きな丸い物なのだろう。不思議とあの丸いものが放っている優しい光を、この生き物からも感じるようになった。



心の奥底にある本能のようなものが、この生き物を喰らえと訴えてくるが、それを意識的に封じ込める。『それ』にとってこの小さい生き物は命を救ってくれた恩人であり、一緒に助け合って生きる相棒であり、なによりもかけがえのない友達であった。たとえ、『それ』に友達という言葉も、その意味も知らなかったとしても、『それ』が感じている想いはきっとその小さい生き物と同じであったであろう。



それから、その小さい生き物は体内にある魔力を使って様々なことをやりだした。あまりに考え無しに魔力を使いすぎて一度気を失ってしまった時は『それ』も大変焦った。



しかし結果として、小さい生き物は『それ』の協力が無くてもこの辺りの生き物に殺されるようなことは無くなった。少し寂しくもあるものの、何よりも、この小さい生き物が自力で生きれるだけの力を得たことが『それ』は嬉しかった。このまま、この場所でこの面白おかしい奴と生きていこうとそう思っていた。



その気持ちは人間の存在によりあえなく裏切られることになる。小さい生き物と『それ』はここ最近では別行動をとるようになっていた。小さい生き物はあちこちと走り回っては辺りが赤くなってくる頃に戻ってくる時が多い。その時は自分の倒した獲物を『それ』に自慢げに渡してくるのだ。



その日も同じように明るい時間は別々に行動していた。すると、突然体に風の刃で切りつけられ、ダメージを受けてしまった。『それ』は慌てて魔力感知の範囲を広げた。色などの知覚感知の精度が落ちる代わりに魔力を感知する範囲を広げるのだ。これは、あの小さい生き物がいろいろと魔力使っているところを近くで見ていたおかげで使えるようになった技術だ。



そして、『それ』は攻撃してきた敵を見つけた。『それ』が魔物としての知識として知っている、人間という生き物だ。魔力を自在に操り、想像もつかないような攻撃を仕掛けてくる非常に危険で厄介な存在だ。何故人間に対してこれほど敵愾心があるのかは『それ』にも分からないが、少なくとも、攻撃され、傷つけられたからには敵である。



これまでとは違う強敵だと判断した『それ』は押さえていた魔力を開放した。みるみるうちにその体は大きくなっていき、やがて人間達がまるごと飲み込めそうなほどの大きさになった。そして、いくつも体を伸ばして一番近くに居た人間を取り込むべく襲い掛かった。



しかし、人間は大きく後ろに跳んで避けてしまった。さらに、その人間の後方から違う人間が炎の玉を出して『それ』に向かって撃ちだしてくる。全て『それ』に攻撃が当たるものの、ほとんどダメージは無いようだ。それでも、全く無い訳ではない。早く決着をつけようと、執拗に一番前にいる人間に攻撃を仕掛けた。



しかし、一緒に居たもう一人の人間も前に出てきて伸ばした体を斬って応戦し始めた。それから、何度か応酬が続き、一度人間を一人取り込めるチャンスがあったが、それも上手く凌がれてしまう。



それでも、段々と優勢になってきているのは理解していたので、時々フェイントを使いながら攻め立てた。もう少しというタイミングで前に出ていた人間が大きく後退する。逃がすまいと『それ』も体を伸ばそうとしたが、突然大きな土の壁が出てきて邪魔をした。何度か殴ってその壁を壊した時には、もう人間達探知範囲外に出てしまっていた。『それ』は諦めて再び魔力を圧縮して体を小さくして身を潜める。



その日、小さい生き物は帰って来ると、『それ』の体を必死に引っ張って何かを伝えようとしてきた。最初は何が何だか分からなかったが、その必死そうな様子と『それ』を動かそうとしているのはなんとなく理解したので、小さい生き物が何処かに行きたがっていると判断して、後をついていくことになった。



それからしばらくの間、移動の日々が続いた。この小さい生き物と自分では移動のスピードが大きく異なる上に、『それ』は小さい生き物と違って移動に使う魔力と自然と失う魔力を回復する手段が何かを取り込むことしか無い為、時折、小さい生き物が何処からかともなく獲物を狩って持ってきてくれた。そのおかげで、どれだけ移動してもほぼ万全の状態を維持したまま、草ばかりの場所から木々が多くある森の中の更に奥地のとある場所まで辿り着くことが出来た。



なにやら、とても近づきたくないような魔力を感じる場所だったが、小さい生き物が近くに寄っても特に問題無い様で、かつこの場所を気に入ったようだったので、それに従うことにした。不思議な魔力を放つ木の近くにある窪みに潜んで小さい生き物が丸くなって休憩している。この長い移動の間、ずっと自分を気にかけて手を尽くしてくれていたのだ。それに、きっとこの移動も自分に関わることなのだろう。



そう思った『それ』はそっと窪みの入り口を隠すように体を動かして、小さい生き物がゆっくり休めるように鎮座した。といっても、この場所は危険な敵はこの木のお陰で近づかないようだ。だからここを選んだのだろうか?相変わらず不思議でとても賢い奴だ。



それからはまた、ゆっくりとした日常が流れた。周囲をうろうろとしては、適当に狩りをして帰って来る小さい生き物は、帰ってきて暇になったら『それ』の上に乗ってぴょんぴょんと跳ねたり、『それ』の体を引っ張って変な形にして遊んだりと自由気ままに過ごすようになり、『それ』もまた、上に居る小さい生き物をぴょーんと勢いをつけて飛ばしたり、必死に引っ張っても動かないように抵抗してみたりして相手をしていた。久し振りの穏やかで平和な日常を、『それ』はとても気に入っていた。こうして小さい生き物と遊ぶことが楽しいと思えるほどには。



その日は、まだ日が出て間もない時間に小さい生き物は森の中に消えていった。『それ』は地面に伸びていたが、意識はあったのでその様子を静かに見守っていた。



しかし、その日はいつもと違い、周りが暗闇に包まれる時間になっても帰って来なかった。心配にはなるものの、『それ』の力では探すことは難しいことを理解しているため、帰って来るまでこの場所で待って居ることにした。



そして、空が再び白くなってきた頃、ボロボロの状態で小さい生き物は帰ってきた。慌てて『それ』が駆け寄ると、動くのも億劫な様子で木の窪みまで移動して丸くなった。『それ』は何も出来ない自分を歯痒く思いながらも、せめてこれぐらいはと、いつもより大きく自分の体を切り離して小さい生き物はに渡した。



小さい生き物は嬉しそうにそれを何処かに仕舞うと、静かに目を閉じた。『それ』は窪みの中に居る存在を守るように入り口に移動して周囲を警戒した。完全に回復するまでは自分が守るのだと強く決意して。



それの気配に気付いたのはこの警戒をしていたお陰だった。隠れてはいたが、非常に強い魔力を感知して『それ』は全身に魔力を巡らせて巨大化した。その瞬間、自分の居る手前何かがやってきて大きな物を振り下ろしたかと思うと地面が爆発して大きく抉った。その合間を縫うようにいくつもの風の刃がまるで嵐のように吹き荒れて『それ』に襲い掛かった。



咄嗟に小さい生き物がやっている身体強化を真似たおかげで、思ったよりダメージは無かったものの、それでも、この間の人間達の時よりもずっと多くのダメージを負った。そして、嵐が止むと四人の人間達が姿を現した。



その四人を魔力感知で一瞥した『それ』は悟った。これは逃げられないし勝てないと。特に、四人の中の一人に自分よりもかなり強大な力を持つ者が居ることに気付いた。今は攻撃するつもりが無いようだが、こいつが攻撃してきたら自分はひとたまりもないだろう。



そう判断した『それ』は即座に頭を切り替えた。この場を生き残る方法から、大切な友達を助ける方法を必死に考えた。そして、その危険な人間の視線が僅かに逸れて木の窪みを見たのを確かに『それ』は感じた。



咄嗟に窪みの中にいた小さい生き物を体を伸ばして捕まえようとしたが、同時に再びいくつもの風の刃が襲い掛かり余裕が無くなったため、とにかくこの場から逃がすために回転するしながら突き飛ばした。同時に大きく伸ばした体を鞭のように横なぎにして人間達に攻撃するも、大きな剣を持った人間がそれを叩きつけるようにして切り伏せて止めてしまう。



『それ』は身体強化で器用に動かせるようになった体で軽く跳ぶと、小さい生き物の前に壁になるように移動した。それからは、後方からくる矢や風の刃、炎の玉などを叩き落としながら、目の前で守りを固めている大きな剣を持った人間に攻撃を仕掛けるが、中途半端な攻撃は体ごと叩き切られ、攻撃に注力すると、弓矢や魔法が核を狙うように攻撃してきた。



このままでは長くは持ちそうにない。小さい生き物には早く逃げてほしかったが、迷うように未だ茂みに隠れている。それどころか、自分を援護しようと魔力を込めたのが分かった。真っ先に逃げようとせずに自分の為に戦おうとしてくれることに、その気持ちがとても嬉しかった。でも、だからこそ、一刻も早く逃げて助かって欲しかった。



その時、最も警戒していた相手が、片手を上げて光の鎖を小さい生き物に向けて放った。咄嗟にそれを体を伸ばして庇うと、その鎖に貫かれ爆発すると同時に、魔力ごと綺麗に消滅させられた。こんな攻撃を今の小さい生き物が喰らったら一撃で消されてしまう。『それ』はバレない様に目の前の敵を攻撃しながら、小さく体を伸ばして小さい生き物の頭をぺしぺしと叩いた。



小さい生き物は困惑するように自分を見上げるが、それも無視して早く逃げるようにと意思を込めてその小さい体を押した。



何故か攻撃が止んでいる時、小さい生き物はそっと自分の体を押し返して背を向けた。『それ』はとても満足して、そして、決意した。この()()()()()だけは守ると。何度も決意したその想いの全てでこの人間達を足止めしようと。



今までため込んだ魔力を全て開放して、体を大きくさせた。その姿を見て、再び人間達は武器を構えなおして陣形を整えた。例の危険な人間は自分の後ろを気にしているようだが、目の前の自分にその目を向けた。その間に小さい友人は全速力でこの場は離れていった。今まで見たことのない速さで、あっという間に自分の感知外まで行ってしまった。



どうか生き延びてほしい。そして、このような命の危険の無い様な場所で暮らしてほしい。『それ』はそう願って大きな体全体を使って大きく薙ぎ払うように先制攻撃した。



一秒でも長く、少しでも長く戦うために、今まで記憶してきたあらゆる知識を使って戦った。地面を這うように体を伸ばして下から奇襲攻撃してみたり、いくつもの体を伸ばして偏差攻撃を仕掛けてたり、身体強化を部分的に強化しながら攻撃して、攻撃の強弱をつけてみたりとやっていたが、いずれの攻撃も誰一人として当たることが無く防がれてしまった。もう少しというところで、あの危険な人間が邪魔をしてきた。



それでも、多彩な攻撃手段で翻弄して、少しは時間が稼げたはずだ。もう何回も伸ばした体を断ち斬られて、様々な魔法でダメージを負ったせいで残りの魔力はほとんど残されていなかった。



・・・せめて自分の魔石だけはあの友人に託したい。



いよいよ、死を覚悟した『それ』は直後に喰らった大規模な爆発で体がちぎれちぎれになった。本来ならばそれで核が粉々になって死んで、それが後に魔石に変質するのだが、その粉々になった核のほんの少しをその場に残して、咄嗟に木の窪みの奥へ飛んで行く体の一塊に混ぜて核の欠片のほとんどを隠した。



体をほぼ失い、核が粉々になり、回復する魔力も無くなった『それ』は、消えていく意識の中楽しかった友人との暮らしを思い出しながらその意識をゆっくりと閉じていった。






それから、小さな白いうさぎが二度その場を訪れ、さらにそれからしばらく長い時間が経った時。



大きな月の光が木々を照らす中、白銀の髪の少女がその場に現れた。小さな墓標に『スライムさん』と日本語で書かれいるそれに目を閉じて手を合わせます。



「・・・スライムさん。貴方のおかげで、わたしはこうして生きていますよ。・・・いろいろとありましたが、今はある程度落ち着いて平穏に暮らしています」



そこで一度言葉切ると、少女は目を開けて墓標を見詰めてそっと手の平で撫でます。



「・・・だから、安心して眠っていてください。わたしの最初の、大切な親友」





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