出逢いと告白
この主人公は、口調がめちゃくちゃ変わります。
読みづらいと思いますが、あらかじめご了承ください。
おいおい、こういう予測つかねぇことは、主人公サマの特権だろ!?
なんだってこんなことになってんだ!!
そんなむなしい叫びが木霊する一時間前。
下駄箱の前に一人の女がいた。女の手には紙が。ひけらかすように握られていた。
「こんなご時世に手紙とは、ずいぶんと古風なやつもいたもんだ。」
女は紙を天に掲げ、空に透かしてみる。
『演習室Aで放課後、まってます。』
らぶれたー、というやつだろうか。にしても、急いでいたのであろう。字が乱雑だし、可愛らしいメモ紙は女子力を感じさせるが、手紙に使うには派手すぎる。
そもそも、僕は好かれるようなことをしたおぼえはないし、したとも思えない。ということは、真実は只一つ。入れる場所を間違っている。よって、この紙は送り主に要返却。入れる場所が違う、と返そうと思う。
もしや初めての告白なのかもしれない。だから焦って、入れる場所を間違えてしまったのだろう。うん、うん。そういうときこそ落ち着かなくてはいけないのに。
「つーか、これ・・・男か?女か?どっちだ・・・?」
乱れているため、字面からは性別が分かりにくい。若干丸文字な気がする。が、そういう字を書く男性だっているだろう。
「ま、いっか。にしても、宛先は誰なんだろうなー。」
一年生にそんな一目惚れされるような奴がいたとは。面白い。ついでに誰か聞いてみよう。一目惚れの感覚なんて、どんな感じなのだろう。よく聞くのは雷に打たれたとかだが、雷に打たれたとは?実際に雷に打たれた人の話なら聞いたことがあるが、一目惚れはなかなかに聞きづらい。少しだけなら心に踏み込んでも許してくれるだろうか。
それから数十分。SHといわれる、まあ、帰りの会、みたいなのが終わる。
なんか、先生若いっぽい?ていうか、サッカー部多っ!関西から来てる子もいるんだぁ~。と、心の中はうるさいくせに、表情筋は全く仕事をしようとしない。おい、ニート。働け(怒
そんなこんなで約束の時間だ。ここで今更なのだが、意中の相手ではなく、こんな自分みたいなどこの馬の骨とも知らんような奴が来て、相手は怒らないのだろうか?いや、怒るんじゃないか?手紙見られてるし。
・・・どうしよう。行くのはやめようか。いやしかし、ここで仮に告白を諦められてしまったら、きっともったいない。うん、なんかそんな感じがするっ!上手くいくかも知れない恋路を邪魔するわけにはいかんぜよ!ほら、よく言うじゃん。人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られてなんちゃらほいって!手紙を返さない=恋路の邪魔ってことだからさ~。僕ちん、痛いの嫌~い。
そぉーっとメモ付で置いてくれば良いんだ。うん、そうしよう!そうと決まれば、こうしちゃいられねーぜ!早速行動あるのみ!
ガラガラガr、っておいっ!かたいんだよ、ここのドア!中に人はいないな。まぁ、ちょっと先生が熱い人なのかもな。
さてさてさーて、ミッションスタート!ぬっきあっし、さっしあっし、し~のび~足~♪っとぉ、そして、そばの机に・・・置いたっ!よぉーっし、ミッションコンプリーツッ!あとは上手くいくことを願って帰るだけ・・・
「来てくれたんだ。」
・・・・・のおおおおっ!おそだろっ!あ、押し間違えた。嘘だろおおっ!ちょっと待って、待ってよ~。ちょ、待てよ。待って、待って、振り向けな~い。振り向く勇気がな~い。
「大丈夫?どうしたの?」
やべーよ。マジやべーよ。めっちゃ心配してるじゃん。やだ~もぉ~待ってってばぁー(泣)
・・・って、ん?ホントに待って。キテクレタンダ?どういうこと?だって、手紙は間違いで・・・
「ねぇ、大丈夫?」
近っ!何この人。距離近くない?
「だ、いじょうぶ・・・です。」
人のぱーそなるすぺーすに入ってこないでよ。
「よかった。」
今のは体調を確認しただけか。いかんね。動揺して誤った判断しちゃ。
「急に呼び出してごめんね。」
靴のラインの色は緑。同じ学年ってことかな?
「呼び出したのには理由が・・・って、あたりまえか!理由があるから呼び出すんだもんね。」
というか、話し続けてるってことは、手紙は僕宛ってことでおーけー?僕、目を付けられるようなことしたっけ?
「あの~、きいてる?」
相手の言葉にハッ、とする。何だっけ?
「は、、い。聞いて、ます。」
しっかり聞いてはいなかったけど、まぁ、こう答えるしかないよね~。
「そっか。それでね、その~。うん、俺とお友だちになってください!!」
・・・・・は?→冒頭へ戻る
っっっっっと、ちょっと待て。まあ、待て。冒頭へ戻るんだったら浮き足立ってシンセツかまそうとしてる俺を止めてくれ!そんな手紙さっさと捨て・・・るまではいかなくてもその場所には行かないように!
そんな中、無情にも時は過ぎ話は進んでいく。
「いきなりこんなこと言われて、びっくりするよね。」
びっくりどころか頭真っ白なんですけど?
「俺も、同じクラスになったら普通に話しかけるつもりだったんだけど、ちがうクラスになっちゃったから。」
だからってこのアプローチはなくない?
「でも、俺、ほんとに君とお友だちになりたくて。」
お友達お友達って・・・はぁ、もう。
「私じゃなくても・・・・いいじゃない・・・です・・か。」
そう。僕じゃなくても、これだけの行動力があれば友達なんて沢山できるはずだ。なのに何故、僕を選んだ?
「それ・・は、君じゃなきゃ嫌だから。」
名前も知らないのに?この人が分かっていることといったら、多分、年齢・性別・外見くらいだろう。
疑問が伝わったのか、彼は言葉を続ける。
「俺、声がコンプレックスで、周りからもそれを理由にいじめられたことがあるんだ。」
おんもっ!重いよ、話がっ!そこまで変な声じゃないと思うけどな~。
「中学でも、声変わりしたのに他の子より高いから女の子みたいってからかわれて。」
いやぁ~。女の子はもっと可愛いでしょ。それ言った奴、見る目ないな。
「家族にもその事は言えなくて。ただ俺のなかに積もっていって。」
詩的だな。要はストレスが溜まったんだな。
「それで、俺、はじめて家出をして・・・といっても学校に連絡を入れて、学校に行く代わりにちょっと遠出しただけなんだけど。」
ふむふむ。大体概要は分かってきた。が、肝心の僕が出てきてないぞ?
「てきとうに降りた駅から、ちょっと歩いてその町を見てまわったときはとっても楽しかったんだ!でも・・・歩いていくにつれて道が分からなくなって、聞こうにも声が変だって言われたらどうしようって・・・」
声が変だから道教えないはその人の性格を疑った方が良いと思うけど。
「しかも雨が降ってきて、雨宿りしようと公園のベンチに座って、どうしようって思ってたら、女の子が近づいてきて。」
知らない町を勘で歩くのは良くないな。
「傘をかしてくれたんだ。それで、どうしたの?って聞かれて、答えられなくて。そしたら、迷子?って言われて、うなずいたら、親は?って。首を横に振ったら、なにで来た?って。」
ふんふん。世の中にはそんな勇気ある少女がいるんだな。世の中捨てたもんじゃない。でも、僕だったらそんな面倒いことしな~い。は~い、自分グズ~。
「そのとき声が出せなくなって、それを見かねたその子が、交番と駅ならどっちに行く?って。俺、駅って怒鳴るように答えちゃって。」
怒鳴るように、か・・・声を出そうとして無理をしたんだな。なるよね~。分かりみ~。
「そしたら、その子。笑いながら、大きい声で言ってくれてありがとうって。それだけ。」
おお~。神対応ってやつ?すげー。
「それで、駅まで一緒に行ったんだけど、ずっと気になってた。声のこと、言われないから逆にね。」
指摘してくれた方がまだいいってことか。
「駅についたとき、思いきって聞いたんだ。僕の声、変でしょ。って。」
うぉおー。それで?その子はなんて?
「変じゃないって。普通の声だと思うけど?って。何かおかしな声でも出してたの?って。」
そういう彼は、心底嬉しそうで、こちらがドキッとするような顔をする。きっとそこで恋に落ちたのだろう。
「俺は家にかえってからも、その子のこと忘れられなくて。また駅に行ってみたけど、会えなかった。」
あ~らら~。そりゃ困ったもんだ。
「でも!会えたんだ!オープンスクールで!この高校の!」
いきなり大きな声にな~る~な~(怒 びっくりするだろ。
「君だった!」
・・・へ?
「助けてくれた女の子!」
・・・・・・あったっけ?
「おぼえてないの?俺はすぐに分かった。だって、すっっっっっごく会いたかったんだもん。」
だ~めだ、こりゃ。全く覚えてない。そりゃそうだわ。中学校の修学旅行でさえ覚えてないんだもん。そんな日常の一コマ、覚えてるわけないわ。
「おぼえてないか~。そっか~。でも、俺は確かにおぼえてるよ。」
そういうと彼は、もう一度頭を下げる。
「ということで、俺とお友だちになってください!」
はい。ちょっと長めなんですけど、お付き合いくださり、ありがとうございます。
これはね、実は主要キャラは大体ですが声優は決まってるんですよ。だからね、こう、この人かな?とか、考えつつ、見ていただけると、嬉しいです。柳に関してはもう、バレバレだと思うんですがね。
三話目からは、日常に入っていきますんで、こう、自分の日常と同時進行にしたいので、早めに一年生は終わると思います。
あと、ボーイズラブのタグなんですが、もっと後なんで、あんまり要るのかどうかは定かではないんですよね~。
はい、ここら辺で締めます。
ご意見・ご感想、お待ちしております。皆様に楽しんでいただければ、嬉しい限りです。