神殺し
掲載日:2018/08/18
神殺し
神は死んだ
俺が殺した
殺すつもりはなかったのだが
気がついたら死んでいたのだ
真理の道を歩む途中で
踏んづけちまっていたらしい
踏まれて潰れた惨めな神を
俺は拾って涙ぐむ
そんなつもりはなかったのだと
殺すつもりはなかったのだと
たかだか俺が歩いただけで
死んじまうような神がいるかと
神を殺した俺の涙は
神通力を得たらしく
潰れた神は 息吹き返し
息も絶え絶え 俺に言う
「殺してくれて ありがとう
潰してくれて ありがとう
私は実際 辛かった
祈りの嵐に苛まれ
尽きぬ願いに日々追われ
死ぬにも死ねず 苦しんでいた
人 生かす為 獣を殺し
人 生かす為 草木を燃やす
凄惨極まる これなる日々を
地獄と呼ばず 何と呼ぶ
人の都合良き奴隷たる日々
これの終わりを喜ぼう」
神は こう告げ 砂となり
風に吹かれて過ぎ去った
神を亡くした世界では
それに気づかぬ人々が
諸手を合わせ祈ってる
俺はその時 確かに聞いた
新たな神の産声を
わけもわからず泣き叫ぶ
新たな奴隷の誕生を




