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詩集その1

雨と帰り道

作者: 浅黄 悠

雨のシャーベットが崩れて

時報のありふれた怖さ

つま先から濡れていくしみていく

残るのはプラスチックの折れた翼

単色の雫に

溶ける淡い灰色の瞳

古い落とし物のようだ

燕がちいさな躯をふるわせる

今年は梅雨が長いねと新聞を手にとる声で

気が重くなる

また思い出してしまった


アスファルト

集まって斜面に流される水

歩いていく自分

赤い長靴

レインコート

にっこりと笑う女の子

淀む匂いを指で弄びながら歌う女の子

傘の色だけくるくる回る


歩いて行く先はいつも

わたしの知らないどこか

白くけぶって何も見えない霧の端

勇気が

いる

まだ… 見つめられない


きみは実在するひとなの?

あじさいのゆれる路地の

細い角を曲がった

雫の滴る銀

そしてもうだれもいない


まだ降り止まないこの雨がやんだら

記憶がよく見えるようになって

彼女の事を思い出せるかな

否、忘れてしまうだろう

雨上がりの後の空しさほど格別なものはない

洗い流したパレットのようになにも思い出せない



あの少女は迷子だった

なぜかはわからない

無味な思い 空気をお腹いっぱいためこんで

窒息しそうになり

今日も言葉は続 かない 


なぜあんなに辛かったのか

もう思い出したくない昔のこと

今はこうやって安定しているのだし生きていけないよ振り返っていては

思うそれでも


明日はシャーベットのように崩れて

時報が何かやれと脅迫してくる

錆びた傘

単色が襲う、寒い。

世界に取り残され

暗がりに引きずりこまれる

そんなことを恐れていた夢

私はそれを古い記憶に落としてきた

不安の正体を見つけたつもりになって

馬鹿馬鹿しいと安心している

それが今

その実は、何もかわっていない


今の私だって迷っている

さらに深くとおく

どうやったら大人になれるかなんて

考えるのが子供じみているのかも…

手を伸ばして求めている場所にどうすればたどり着ける



の…シャーベットのようにくずれて

くずれて

うとうとと夢心地

時報の…


感じる

ざらざらした砂塵、長針

手を触れれば錆びて青白く


大人

なにそれ?

夢はあざ笑う

知能や理性やそんなものは剥がされる

その実は、何もかわっていない



六月

意地悪な六月

癖になる

なにかが側にあって掴めそうなほど近い大切な感覚

そろそろ目を開けて見つめたら如何?

霧の向こう

影が立ち止まっていた


こんにちは。浅黄です。

最近こんな曖昧な詩ばかり書いているような…

(ちなみにこれは去年の6月に思いついたものをなんとなくそのまま放ったらかしにしていたものです。)

梅雨時の帰り道は昼にもかかわらず妙に暗かったりして少し怖かったことがあったなー、いや今も少し怖いかも、そんなことを思っている人の詩を書いてみました。それでは。

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