Aの場合
杏翔です。
2回目の投稿となりますが、メインとして投稿したものの1話目から随分期間を空けての投稿になるため、文章に鈍っている部分が見られるとは思いますが、温かい目で見守ってくださると幸いです。
A
私は4つの時、交通事故で両親を亡くした。
名前をAという。
現代社会においての私の待遇は、まあ悪くはない。両親のいない私を哀れんで親切な態度で接する人間が多く、それでいて、団体のお陰で大学までの金銭の援助は完璧らしい。
——私にとって人生における孤独は、今の今まで一瞬たりとも無い。
妹がいる。
妹とは結構歳が離れている。大人しい性格で、人見知りが激しい。
私が友人を家に招いて遊んでいる時など、自分の部屋にこもったり、隠れてしまうのだ。
それでも私の前では可愛らしく笑ったり、我が侭な振る舞いを見せるものだ。
それに、今日は妹の行きたい所に出かける約束がある。最近相手をしてあげられる時間も少なくなっていたし、いい機会だ。
私はよく、友人に妹がいることを話すが、どうしても「意外だ」と言われる。酷い時は「妹がいるという夢のよう」だと言われる。
れっきとした妹だ。両親のいない私と寄り添ってきた可愛い妹なのだ。
妹と初めて会ったのは4つの時。
父親が運転する車の後部座席で揺られ、田舎にいる祖母の家に遊びに行った帰りだ。幼い私でも分かる、時がゆっくりと流れる感覚。
確か、トラックか何かが山道から飛び出し横から突っ込んできたのだ。車の運転席と助手席だけを抉り取るようにして。
勿論後部座席の私も頭をぶつけるくらいはしたが、ほぼ無傷だった。そんな中、いつの間にか隣のシートに座っていた、自分より一つ下くらいの女の子。
これが妹と私の出会いだ。
可愛い可愛い妹の。
少し我が侭で、無邪気で、色素が薄くて、明るい所を嫌い、ご飯を食べず、肌が冷たく、私以外に視えない、この妹は。
ずっと私と一緒にいる。両親が死んだのは、きっとこの子と私を引き合わせるためだったのだ。
だからきっと いま じめんがどんどん ちかづいてくるかんかく は いつもの あそびなんだ
というわけで、ショートショート、Aの場合でした。……後味最悪ですかね…?
妹の存在が人間ではないという事をもっと簡単かつゆっくりと気がつかせたかったのですが…中々に難しいですね。
さて、前書きでも触れた通り、メインのはずのローファンタジーものをとっても長い期間放ったらかしてしまっている現状なのでした。どうしましょう。……と言いつつも自分を奮いたたせ、自分の思いついた文章をこのような所にぶつけつつ、のんびりかつしっかりと書いていくつもりなのでどうぞよろしくお願いいたします。