馬鹿男
ねぇ、少し聞いてもらえるかな?
あのね、とってもくだらない事。なんだけど、あたし、あなたのこと信じてた。ってこれ、嘘なの。
今さら気づいたの、
あたし最初からあなたのことなんて信じていなかった、きっと。
あんたも、あたしのことなんて好きじゃなかったでしょう。ただその辺の女と変わらなかったんだわ。
どうすれば、よかったのかなって時々考えるんだけどさ、悪いのはあたしじゃないでしょう?お互いの魅力がお互いに感じられなかった。そうでしょう。そうなんだよね。
あたしゆっくり自分に言い聞かせるよ。
彼女の声はかすかに懐かしくて、あたしの心の引き出しの、いつも手前にある。
彼女の暗さを、彼女自身が明るいメッセージにのせて誤魔化してるんだよね。押し殺してるような。そこがね、なんか、好き。
惹きつけられるような人。
あたしは、あなたのこと馬鹿男って言えない。まだ今は。あたしも馬鹿女だから。
誰かのこと惹きつけられるような人じゃない。あたしはそこ、重要なポイントだと思うの。だから、見ててください。
いつかあんたを惹きつけてみせるよ。