グレイスの怒り
よくある町の武器屋。
その店内は今、静寂に包まれていた。
・・・・・・・・。
「・・・あの、お二人さん?何か言って欲しいんですが・・」
グレイスが恥ずかしそうに口を開くと、固まっていた二人が目を覚ます。
「あ、あぁすまん。ちょっと思考が飛んでいた」
「///」
店主はそういうが、エレイナは首まで真っ赤にして俯く。
「お前さん自分の嫁だと言っていたが、まだ結婚できる歳じゃないだろう?」
店主の疑問にグレイスは頷く。
「はい。ですが、僕はこの子を誰にも渡すつもりはありません。結婚ができる歳になったらプロポーズをする予定です」
そう自信満々に答えるグレイスに店主はニヤニヤしながら伝える。
「自信満々に答えてるとこ悪いんだが・・・後ろ。聞いてるぞ」
店主に言われてグレイスが振り向くと、そこには顔どころか胸の前で握り締めている手まで真っ赤にした エレイナが驚きの表情でこちらを見つめていた。
「・・・えっと・・」
「冗談じゃないぞ?これが俺の本心だ」
あぁあ、言っちゃった、意識しないようにしてたのに。
・・・。
「・・仲がいいのはいいんだけどよ。ここお店。」
二人が見詰め合っていると店主がジト目で訴えかけてくる。
「・・・あ、すいませんでした///」
「///」
そう言って二人はそそくさと店を出た。
そして、二人は昨日と同じ喫茶店に入る。
空いている席を見つけてグレイス達は席に着く。
すると、ウェイターが水を持ってくる。
「ご注文は?」
「えっと、本日のおすすめを二つ」
かしこまりましたとお辞儀をしてウェイターは下がっていく。
「「・・・・。」」
え?何これデジャビュ?
そう思ったグレイスが、口を開こうとしたとき。
「お嬢ちゃんかわいいねぇ~、俺達と遊ばない?」
どこからどう見てもナンパだけが目的ではないようなゲス顔の男達がエレイナに絡んできた。
それにエレイナは怯えてしまっている。
「ねぇねぇ、いいじゃん遊ぼうぜ」
そんなエレイナに男達は更に食いつく。
君達の目の前に居る俺は無視ですか・・。
「あの、すいませんが連れが困っておりますので止めていただけませんか・・・」
すると男達はグレイスに視線を向け、ゴミを見るように見下す。
「はぁ?何だって?」
「いえ、ですから連れが困ってますので―」
「はぁ?外野は黙ってろよ」
グレイスの台詞を遮って男達はナンパに戻る。
そしてそんな中、エレイナはグレイスに助けを請うような視線を送る。
そんな目をしないでくれよ・・・。
「・・・面倒くさいな・・」
そう呟きながらグレイスは立ち上がる。
「あ?何だ?」
急に立ち上がったグレイスを見て男達は警戒する。
「その手を離して下さい」
グレイスの言葉に男達は目に見えて機嫌を悪くする。
「あ?調子に乗ってんじゃねぇぞ?」
「それはこっちの台詞だ。」