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俺の嫁は奴隷だけど何か?  作者: chionauth
第2章 交流
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新しい街と新たな懸念

 グレイランド聖法国 王城地下2階

「何で毎回毎回こんなことになるんだ…」

 石畳にグレイスのため息が反響し、暗闇の中に溶けていった。

 グレイス達は何故か警ら隊に補導され王城へと連れてこられたのだが、グレイスにもアリエステにも王城に用事なんてなかった。

「ご主人、確かグレイランド聖法国には奴隷制度がありません。もしかすると彼女が奴隷だから捕まったのでは?」

 シェートの言うことは最もだ、グレイランド聖法国は奴隷制度を布いていない。逆に奴隷制度を嫌悪しているとも言っていい。

 現国王が着任してから、その気が強くなった気がする。

「ご主人様、申し訳ありません。

 私が奴隷であるばかりに旅の計画に支障をきたしてしまって」

「まぁ、何とかなるだろう。

 君も気にしなくていいから、気になるようならそこの二人が奴隷の先輩だからある程度のことは教えてくれると思うよ」

 心配しなくていいと伝えてもかなり気にしているような彼女のことをエレイナ達に託す。

 急に振られたエレイナ達は驚き、話を聞きに来た彼女にどう接したらいいか戸惑っているが、それは置いといて、これからの話をしよう。

 アリエステ王国を出て、初めて着いた別の街で早速トラブルに巻き込まれた。出発前にも色々面倒臭そうな事に巻き込まれていたのにさらに面倒ごとが増えるなんてな。


 ……面倒臭っ!

 心の中で思いっきり叫び、グレイスは今後について考え始める。

 さぁてこれからどうしようかな。どうしたってこの中からじゃどうしようもできないから何とかしてここを出ないといけないな。理由は何でもいいから謁見の間とかに連れて行ってくれねぇかな。

「グレイス。何か悪い事考えてたでしょ」

 謁見の間に行けたらどうしてやろうか考えていると、アリエステが珍しく鋭い事を言う。

「いや、悪い事なんて考えてないぞ。ただどうしたら面白いことになるのかなって考えてたんだよ」

「グレイスの面白い事ってろくな事じゃないんだよ」

 なんだかとんでもない誹謗中傷を受けている気がするが、今は気にしないことにしよう。

 だが、アリエステには後で碌なことにならない件について問いただしてやろう。

「ご主人は悪いこと考えると顔に出るんですよ。」

「いやいやシェート、子供でもあるまいしそんなことあるはず…」

 言いながらエレイナ達を見ると、目を逸らした。

 …え、マジ?

「はぁ…今まで気づかないなんて。だからグレイスは友達がいないんだよ」

 ため息を吐きながら気になる一言を呟くアリエステの事は後で虐めてやろう。

 そんな馬鹿なことをやっていると通路の向こうから歩く音が近づいてくる。

 牢の前で立ち止まると、鍵を開けて中に入ってきた。

「おい、お前たち。これから取り調べを行う、付いてこい」

 それだけ言うと隊長っぽい騎士が牢屋から出て歩いていく。

 他に選択肢もないのでとりあえず騎士について牢屋を出る。

 階段を上り、何度か扉をくぐり歩くのにも飽きてきた頃、ようやく騎士が立ち止まった。

「お前たちの取り調べは国王様自ら行われる。少しでもおかしな行動をしたら…分かっているな?」

 なぜこんなに歩かされたのかの理由が分かったところで、騎士が剣を抜き、切っ先を向けてくる。

 そんな脅しをしなくたって変な事なんてするつもりは無いよ。俺たちの冒険の邪魔にならない限りは。

「分かってるよ」

 グレイスの返事を聞いた騎士は剣を鞘に戻し、扉に手をかける。

 ゆっくりと開けられた扉の先にはアリエステ王国とは全く違う雰囲気を持った部屋が広がっていた。

 アリエステ王国は城っぽい城だったのに対して、グレイランド聖法国は城というより教会に近い。国王っぽい人物が座っている後ろには鮮やかな色で光を透過しているステンドグラスが構えられており。透過した光によって神々しく見えるようになっている。部屋の装飾も豪華な物はなく、シンプルでありながらどこか気品のある仕上がりになっている。

「来ましたか。待っていましたよ」

 ステンドグラスの光が影になって顔ははっきりと見えないが。声からしてグレイランド聖法国の国王は女性だな。国王というよりは聖法国というくらいだから聖女とかなのか?

「私はグレイランド聖法国の国王兼聖女スカリア・ミレスタイアと申します」

 いや当たっちゃったよ、女性だから聖女とかなのかなぁとか思ってたら当たっちゃったよ。一瞬吹き出しそうになっちゃったから笑いこらえるのに必死だよ。

「それで?その聖女様が俺たちなんかに何の御用ですか?」

 いつもの感じで聖女に言葉を投げる。

「貴様!聖女様に向かって何だその口の利き方は!」

 案の定頭の固そうな老人が声を上げた。それに呼応するように他の人間たちも声を上げる。

「貴様ら冒険者には他の物を敬うということを知らんのか」

 その様子を見て聖女様は人差し指を立ててゆっくりと唇に当てた。

 その瞬間やいやい騒いでいた老人たちが静まり返った。

「彼らをここに呼んだのは私です。彼らはこの国の者ではないのでこちらの意見を押し付けるのは良くないですよ?」

 まるで幼子に諭すかのように言葉を紡いでいく聖女様を尻目に同じ質問を投げかける。

「その意見には賛成ですが、俺たちをここに呼んだ理由をまだ聞いていないんですが?」

「それを語るには少し長い話になるので、要点だけ掻い摘んでお話します」

 そういうと聖女様は、なぜここに俺たちを呼んだのか、俺たちに何をしてほしいのかを簡潔に話した。

大変お待たせいたしました。

今回は新しいキーキャラクターとなるスカリアが登場し、グレイス達の冒険をどのように彩ってくれるのかお楽しみに!ということで、この不定期投稿の「俺の嫁は奴隷だけど何か?」これからもよろしくお願いします。

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