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俺の嫁は奴隷だけど何か?  作者: chionauth
第1章 奴隷
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ボス戦①

 草原を我が物顔で闊歩する白いスライム。何も知らない者が見れば突然変異種(アルビノ)か何かだと勘違いするだろう。

 だが、スライムには突然変異種なんてものは存在しない。

 この平原における最強の存在、この平原の支配者。

「…全員俺の後ろに下がってろ」

 魔物の中でも上位種よりも更に上の存在、厄災級(デザストル)に分類される程の強さを持つ


帝王(デザイア)スライムだ…」


 “帝王スライム”この世界に存在するスライムからごく稀に、それも天文学的確率を超える程の確率で生まれる“王様(キングス)スライム”が何人もの冒険者との戦闘を重ね、様々な戦闘技術を学習し、戦闘力、魔力共に通常のスライムの500倍にまで跳ね上がった個体の事を指す。

 それ故に、伝承では帝王スライムが生まれてしまった際に、国の軍隊及び冒険者が総出で討伐隊を編成するという言い伝えがある。


「で、帝王スライム!?なんでこんなタイミングで…。

 と、取り敢えず軍に報告してくる!」

 アリエステも帝王スライムの脅威は以前、帝王スライムと戦ったことのある兵士に聞いたことがあるのだろう、青ざめた顔で一目散に街へと走って行った。

「お前達も早くここから逃げるんだ。あいつはただのスライムとはわけが違う」

 二人に逃げるように言ったのだが、震えながらも二人は武器を構える。

 奴隷としては正しい判断なんだろうが、眷属の証を持った二人の判断としては落第点だな。

「二人とも、逃げるように言ったはずなんだが」

「グレイスを一人だけ置いて逃げるなんて私には出来ない」

「そうですよ、グレイスは私たちの主人であり、夫なのですから。夫一人に負担を押し付けるなんて妻として最低な行為です」

 その言葉にグレイスは思わず吹き出してしまった。

 この前まで奴隷であることを受け入れていた少女と自分の置かれた状況に絶望していた少女の口から出てくるとは思ってもいなかった言葉に嬉しくもあり、滑稽さも相まってかグレイスはこの少女達になら安心して背中を任せることができるだろうと思った。

「それだけの覚悟があるのなら俺は止めないが、前には出てくるなよ、今日スライムを狩り始めた者が相手をするような敵じゃ無いからな」


 帝王スライムは基本的に好戦的では無い。攻撃の意思を感じさせるか、視界内でスライムが倒されると、様子を一変させて襲いかかったくる。

 気をつけてさえいれば至って安全なのだが、一度攻撃体制に移ってしまうと、周辺のスライム全てがの好戦的になり、目に映るのもの全てを襲い始める。

 その怒りは、1日で収まるとも、1ヶ月続いたとも言われ、厄災級と言われる所以(ゆえん)でもある。

 だからこそ帝王スライムの討伐というクエストは、入念に作戦を練ったうえで何人もの犠牲者を出しながらやっとの思いで討伐ができるというかなりの難易度になっているのだが、今回はそういった作戦を練るような時間は無い。

 だから今回の作戦においては、その場での判断が討伐成功の鍵となる。

「エレイナは俺が帝王スライムに斬りかかる直前に矢を打ってくれ。

 シェートはこの巻物を使って帝王スライムを牽制してくれ。

 そのあとは各自、帝王スライムのターゲットを俺から取らないように立ち回るように」

 スライムに襲いかかろうとしたその時、帝王スライムのすぐ側の草むらから駆け出しだろう冒険者のパーティーが出てきた。

「お!何だこの白いスライム、レアな魔物なんじゃないか!?」

 パーティーリーダーと(おぼ)しき青年が帝王スライムを見つけ声を上げる。

「その可能性が高いですね、討伐したらギルドから報酬が支払われるかもしれませんよ」

 パーティーは帝王スライムに対して攻撃態勢をとる。

「おい!お前達、そのスライムには手を出すな!」

 冒険者に向かって声を上げたが、手遅れだった。

 冒険者が帝王スライムの異変に気づくのよりも早く、帝王スライムは攻撃態勢になった冒険者を敵とみなし、前衛の剣士に向かって粘液を飛ばした。

「うわ!何だこれ、汚ねぇ」

「何をやってるの、レアな魔物なのだから特殊な攻撃手段があってもおかしくないのよ?

 少しくらいは警戒しなさいよ」

 粘液まみれになった剣士に(あき)れながら、女性冒険者が粘液を取るために手を伸ばす。


「きゃあああぁぁぁぁ!」


 粘液を取ろうとしていた女性冒険者が突如として悲鳴を上げた。

 それもそのはず、帝王スライムの噴出する粘液は、濃塩酸を優に越える程の強酸性を示す。

 その証拠に、粘液に触れた女性冒険者の右手の小指から中指にかけての第二関節までが溶けて無くなってしまっている。

「お前達!早くここから逃げるんだ!

 剣士のお前、お前はその粘液を誰にも触らせるな。

 街に戻ったらそのままお湯に浸かって粘液が分解されるまで待て」

 冒険者達はグレイスの言葉に驚きを示したが、痛みに呻いている仲間を助けるために、その言葉を信じ女性冒険者を担いでこの場から離脱する。

 しかし、帝王スライムに敵を逃がしてやるつもりは無いようで、逃げていく冒険者達を追いかけようとする。

 だが、そんな事はさせない。

 追いかけるために横を通り過ぎようとした所へ、グレイスの回し蹴りが炸裂。

 帝王スライムは、冒険者とは反対方向へと吹き飛ばされる。

帝王スライムが飛んで行っている間に咆哮(ハウル)を発動。

“咆哮”は効果範囲内の魔物等の敵対心を全て自分に向けさせるというスキルである。

「スライムさんスライムさん、そんなに急いでどちらまで?」

お待たせいたしました。

冒険編第2話!

しかもいきなりのボス戦!

なんだか書いている途中からおかしなテンションになってしまい、このままボス戦行っちゃうか!

という発想になり今に至ります。

次は少し落ち着いて書いていきます。


今回もお楽しみいただけたら嬉しい限りであります。

次回もお楽しみに!

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