武器調達からの
「母さんおはよう」
「おはようございます」
大広間に入り、先に席に座っていたクレイアにそれぞれ挨拶をする。
「おはようございます、グレイス、エレイナさん達はどうしたのです?」
「さっき起こしに行って、ここに来るように行ってあるよ」
そう言うと、母は頷いて新聞に目を落とした。
俺たちも席に着き、テレビから流れてくる昨日の大爆発事件についてのニュースを眺めながら待っていると、しばらくしてエレイナ達が大広間に姿を見せた。
「おはようございます、お待たせしてすいませんでした」
「お、おはようございます」
自然な挨拶をするシェートに比べて、エレイナはあまり人との交流がなかったせいか辿々(たどたど)しくなっていた。
「おはようございます、昨夜はよく眠れましたか?」
「はい、それはもう」
母とも自然な会話をするシェートの横でアワアワしているエレイナを呼んで、隣に座らせる。
「あまり気を張らないほうがいい、そんなに気張っていると疲れてしまうよ」
「で、でも私もシェートみたいに自然にお話ができるようになれれば、グレイス達に迷惑をかけなくていいから」
そう言ってしゅんとしてしまうエレイナの頭を撫でてやる。
「誰も迷惑だなんて思わないよ、あまり人と接することができなかったんだからしょうがない事だし、人と会話をするのが苦手な人だっているんだ、エレイナだけが特別変っていう訳じゃないんだよ」
「グレイスの言う通りです、人という存在は本人の意思に関わらず他人に迷惑をかけているのです、そんなことでいちいち思い悩んでいたらきりが無いですよ」
いつのまにかエレイナの隣に座っていたシェートがそう声をかける。
「あー!エレイナちゃんずるい!グレイス私の頭も撫でてよ!」
「何でだよ!」
ーーー
いつもより騒がしくなった朝食を済ませて、シェートが装備を持っていないことに気づき、例の武器屋へとやって来た。
因みに、アリエステも同伴で。
「こんにちは〜」
「いらっしゃい、ってあんただったか、今日はまた沢山連れて来たな」
俺の顔を見て、厳つい職人顔を破顔させる店主。
「その節はどうも、今日はこの子の武器の作成と、こいつの装備のメンテナンスをしてもらいたいんですけど」
「武器の作成とメンテだな。それじゃあこの紙に詳細を書いてくれ。装備のメンテナンスは・・・」
そう言って、店主が固まる。
「どうしました?」
自分を見て固まった店主に声をかけるアリエステ。
あ、そうかそういえばこいつって街の守護者だったな、すっかり忘れてた。
「い、いや、何でもねぇよ。メンテナンスをする装備を渡してくれ」
アリエステに気づいた店主は少し挙動不審になってしまっていた。
「はい、えっとメンテナンスはどれくらいで終わりますか?」
「そうだなぁ、これだけのもんとなると、しばらくかかるが、こっちの嬢ちゃんの武器と一緒に引き渡しでいいならそれに合わせるけども」
「じゃあそれでお願いします」
店主は頷き、アリエステの装備を工房に持って行った。
扉の向こうから「この装備に傷一つでもつけたらクビにするからな!」という声が聞こえた気がするが、気のせいということにしておこう。
「いやぁすまねぇな、気にしねぇでくれ。そちらのお嬢ちゃんは終わったかい?」
「はい、こんな感じでお願いします」
シェートから紙を受け取った店主は一通り目を通して唸った。
「お嬢ちゃん、この武器の注文だと結構時間がかかっちまうが大丈夫かい?」
「大丈夫ですよ、予定としてはどのくらいかかります?」
「そうだなぁ、これに専念させてもらうが・・一週間程度はかかっちまうだろうな」
「分かりました、じゃあ一週間後にまた来させてもらいます」
「悪いな」
そうして俺たちは店を後にした。
店を出てしばらく街をまわっていると、派手な鎧の騎士達が近寄ってきた。
久しぶりに尺を長めにとってみました。
いつもなら二部に分けちゃうんですが、学生さんは夏休みに入っているはずなので、学生読者のために(いるかどうかはわからない)暇つぶしにでもなってくれたら幸いです。




