無口な少女
どうも雪月華です。
すいません、次話投稿が初めてだったので、ごたついてもう一シリーズみたいな事になりましたが、上げ直しましたのでこちらを見てしただければ幸いです。
「ビードリンク2つとワッフルパンケーキを」
グレイスは席に着きながら注文をする。
「・・・。」
「君も座りなよ」
自分の横で居心地の悪そうにしている少女に席に座るように促す。
グレイスがそう言うと少女は席に着く。
「「・・・・。」」
料理が来るまでの間、少女とグレイスの間には重苦しい雰囲気が漂っていた。
「お待たせいたしました。ビードリンクとワッフルパンケーキでございます」
二人は何も喋らないまま料理が来た。
グレイスは、自分の下にあるワッフルパンケーキを少女の方へと押しやる、少女はそれを見て目を白黒させる。
「こういうの苦手だった?」
グレイスが心配そうに聞くと少女は首を振る。
それを見てグレイスは顔を綻ばせた。
「良かった」
グレイスがそれだけ言うとその後は二人とも無言でそれぞれの料理を楽しんだ。
しばらくして2人とも頼んだ料理を平らげると、席を立つ。
どうするにしてもこの街は出ないといけないから防具は買っておかないといけないな。
グレイスは支払いを済ませて防具屋へと脚を向ける。
「これから防具屋と武器屋を回るつもりなんだけど得意な武器とか使いたい武器とかある?」
店へと向かう道中、グレイスは少女に問いかける。
少女は驚いた様子を見せたが、グレイスが何を言いたいのかを、理解したようで、少し悩んだ結果
「・・・弓」
グレイスに聞こえるか聞こえないか分からない程小さな声でそう言った。
「へ!?」
グレイスは声が返って来るとは思っていなかったのか、とんでもなく間抜けな声が出る。
「・・弓が得意・・です」
少女がもう一度グレイスに聞こえるように答えると、グレイスは驚きの表情を満面の笑みへと変え、
「そうか!分かった!」
スキップをしながら武器屋へと向かう。
「・・・。」
グレイスがスキップをしながら前を行く。
少女はそんなグレイスの様子を見て口元を綻ばせてた。
そうして武器屋に着いた二人は少女が使う弓を探していた。
「どう?」
そう聞くグレイスの視線の先で、少女は既製品の弓を手に取り感触を確かめる。
一通り確かめて少女は首を振る。
「そっかぁ、これも駄目かぁ」
グレイスは弓を棚に戻しながら残念そうに呟く。
棚に戻すグレイスの視線の隅に気になるものが映った。
『武器のオーダーメイド承ります』
「これだ!」
いきなり叫ぶグレイスに驚いて少女は目を丸くす る。
「・・どう・したの・・?」
困惑している少女に一言謝ると、グレイスはチラシを見せる。
「・・オーダー・・・メイド・?」
頭にクエスチョンマークを浮かべる少女に頷きを返す。
「そう!君の理想の弓を作ってもらうんだよ!」
「え?・・でも・・」
心配そうな少女の背中を、いいからとレジへ押しやる。
「いらっしゃい。何をお求めで?」
気前の良さそうな店主に問いかけられると、少女はわたわたする。
俺以外と話すのはまだ駄目か。
そう思ったグレイスは店主に言う。
「弓のオーダーメイドをお願いしたいんですけど」
それを聞いた店主は、カウンターの下から一枚の紙を取り出した。
「それに、自分の理想の弓がどんな物かを書いてくれ」
紙を受け取った少女は、紙を持ったまま固まった。
まさか...
「字・・読めないのか?」
グレイスが聞くと少女は頷く。
少女のその反応を見てグレイスは目に見えて落胆する。
落胆するグレイスを見て少女は申し訳なさそうに俯く。
・・・何この負の連鎖。
「・・話す分には問題ないんだよな?」
グレイスが確認するように聞くと少女は頷く。
それにグレイスは安心する。
「それなら、俺が文字を読んで書くよ」
少女は嬉しそうに頷く。
それからグレイスが文字を読んで、少女の応えを紙に書いていった。