第8話 〜幼き紅い月と少女〜
試験やっと終わりました!
今日からまた三日以内のペースに戻ります‼︎
私が訪れた館は紅魔館と言う館らしい。
館に入る許可が下りたあと、戻ってきた美鈴に扉まで案内して貰った。
そしたら咲夜さんと言う人が来て、美鈴と交代して館内を案内しながらレミリアさんというここの主の所に連れて行かれ、紅茶を出されて説明を受けた。至れり尽くせりである。
なんでも、ここは幻想郷という現実とはかけ離れた世界らしい。妖怪が普通に住み、不思議な力が存在して、人妖問わず空を飛べる物がほとんどの世界。まさに絵本の世界だ。
この話をすんなりと受け入れられたのは咲夜さんが瞬間移動して来たり、現にたった目の前に吸血鬼がいるからだろうか。
「そんな感じよ。大体分かった?」
「…はい、少しは分かりました」
「ならいいわ」
「…お嬢様、夕食の準備が整いました。小桜様もこちらへ」
「丁度みたいね。望、行きましょう?」
「え…あの、私も良いのですか?迷惑になったり…」
「あら?私は貴女のことをお客様だと思っていたのだけれど」
「あ、お言葉に甘えさせて貰います」
「ではご案内致しますね」
血のスープとか出てきたらどうしようか。いや人間もいるし流石にそれはないかな?
紅くて薄暗い延々と続く廊下を歩いて行く。窓が無いのはここの主が吸血鬼だから、と咲夜さんが言っていたような気がする。蝋燭が廊下の両脇にあるだけでそれが雄一の光源となっていた。たまに妖精メイドさんが通りかかると挨拶をしながら咲夜さんの後をついて行く。暫くして、大きな扉の前に来た。
咲夜さんは扉を押して開けると、一つ会釈をして促した。二人で真ん中の大きな高級そうなテーブルの前に行くと、咲夜さんが瞬間移動して来て私とレミリアさんの椅子を引いてくれた。
隣には三つ程席が余っていた。他にも誰か来るのかな?
「貴女、外の世界から来たんだったわね?」
「はい、そうですけど…」
「貴女の話も聞かせてくれないかしら?退屈なの。」
「…えと、私は今朝、友人と一緒に森へ行きました。森の中で蛇を見つけて取ろうとしていたら、木にぶつかって…そこから記憶が無いのです。」
「なら貴女は、木にぶつかった拍子にこっちへ飛ばされたのかしら?」
「そうかもしれません。でも、そんなことってあり得るのですか?」
「あり得ないことは無いわ、飛ばされて来た時点で幻想郷なのだから。…あら?なら一緒にいた友人はどうしたのかしら?」
「外の世界にいるのでは無いですか?木にぶつかったのは私だけですし」
「…そうなるとまずいわね」
「へ?何がまずいのですか?」
「もし貴女が木にぶつかったのを丁度友人が見ていた場合、いきなり消えた貴女を見て驚愕するでしょう」
「あ…」
「そう、そう言うことよ。私は最近の外の世界のことはあまり知らないけれど、もうこの世界の常識は認められていないのでしょう?」
この世界の常識とは、私がいた世界の非常識だ。もちろんいきなり消えるなんて、私が見てもありえないって否定するよ。
「そちらの方での非常識的な現象に遭った友人はどうするのでしょうね?まあ、貴女の方がずっと非常識的な事が続いているのでしょうけど」
「確かに…」
「パチェ、遅いわね。この私を待たせる気かしら?」
「パチェ、とは?」
「私の友人よ。この館の図書館に引き籠ってる」
「他にも住人がいたのですね」
残っている二つの席は咲夜さんと美鈴の席なのだろう。
とりあえず、私達はその『パチェ』と呼ばれる人物を待つ事にした。