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短編集 星新一風

未確認飛行物体

作者: 燈夜

未確認飛行物体。

十字を示す、光る物体。

鋭角移動を繰り返す、謎の光。


それは三カ国の住人によって、同じ時刻に目撃されたという。


青年は疑問を持った。

当然の疑問だ。


「どうせ嘘に決まっている。やらせだ」

「SNSでやり取りをし、動画サイトに上げ、口裏を合わせているに違いない」


これがこの話を聞いた青年の感想だ。

因みに一週間前にあげられた、これらの動画の再生数は三百五十万回。




さて、この十字のUFO。

通った跡に花を咲かせるという。


青年は思った。

植物を枯らせるUFOの話は耳にしたことがある。


しかし、植物を繁茂させ……あまつさえ花を咲かせるUFOとは?


青年は疑問を持った。

当然の疑問だ。


「どうせ嘘に決まっている。やらせだ」

「SNSでやり取りをし、動画サイトに上げ、口裏を合わせているに違いない」


これがこの話を聞いた青年の感想だ。





そしてある日の事。青年は十字の光を空の彼方に目撃する。

青年はスマホを取り出し、動画を撮影し始める。


「やらせじゃなかったのか! まさか本当だったなんて!」


青年は感動に震えている。


そしてそのUFO。

段々と大きくなっているではないか。

違う。

青年の方に向かってやってきているのだ。


UFOの飛んできた先を見る。

白い線が見える。

やや桃色がかっている。


「花……だ」


背年はスマホで撮影し続ける。

その十字の、花を咲かせながら近づいてくるUFOを。


やがて、十字の光は忽然と消えた。

それも青年の目の前で。

花は相変わらず咲いたまま。




「素晴らしい……」




青年はスマホで撮影した動画を投稿サイトにUPする。

青年はワクワク感を抑え、皆の反応を待つことにする。

再生数はきっと鰻上りになるはずだ。

なにしろ、あんなにリアルだったのだから。

青年はこの目で見たのだ。

十字に輝くUFO、そしてその通った道筋に咲き乱れる花々を。






青年は風呂にでも入って皆の反応を待つ。

背中を流しつつ思う事は今上げた動画の事ばかり。

きっと今頃大騒ぎだ。

再生数は凄い事になっているに違いない。

青年には確信がある。

















──三十分後。

で。

皆の反応は?


「どうせ嘘に決まっている。やらせだ」

「SNSでやり取りをし、口裏を合わせているに違いない」


これが青年の動画を見た誰かのコメントだ。

再生数は僅かに三十二回。

まぁ、コメントが付いていただけマシかもしれない。

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― 新着の感想 ―
[一言] シンプルでしたが楽しめました。 オカルトってお金に繋がっちゃう部分ありますから、しょうがないのかもしれません。
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