同伴ですって?
2人ぼっちに出てきた、タカとシュンが共演したドラマはどんな話だったか?を想像して書いた作品です。私の彼役がシュン、画家役がタカと明記してあります。
次の日は日曜日だったので、私とシュンはのんびり過ごす事にした。
私はちょっと拗ねて見せる。
『愛子さんや百合さんに囲まれて随分ご機嫌だったじゃない?愛子さんがあの店のスタッフだなんて驚いちゃったわね?』
シュンは笑ったが、ほんの一瞬答えが遅れたのを私は見逃さなかった。私が不可思議な顔をしたんだろう。シュンは諦めたように言った。
『知ってたんだ。』
『........?』
『最初はお客さんに連れて行かれて、偶然あの店に行ったんだ。そしたら愛子さんがいて、タカ先生がお客で来てたんだ。みんなで驚いたよ。いやクラスの人に言わないで欲しいと言うかさら。なんか悪いじゃない?』
分かるけど、私にぐらい言いなさいよ?
『タカ先生は何回も行ってるんだって。同伴って知ってる?』
水商売の人がお客と一緒に店に行って帰りはご褒美に同衾するってやつだよね?
『いや、そこまでは知らないけど、タカ先生は愛子さんに頼まれて毎週火曜日に行ってるんだって。』
『で?』
『タカ先生からこの前連絡来て、展覧会の準備で画材を大量に買って今月、ピンチだから愛子さんの同伴に付き合ってやってくれって。なかなか経済的に余裕がある奴じゃ無いと頼み辛いからって。可哀想な人だからって』
『で、行った訳?』
もう、私は怒りで震えていた。
『タカ先生に頼まれたら断れないじゃないか。ほら僕だったら飲み代も父の会社の経費で落とせるしさ。でもボトル一本入れてすぐ帰って来たよ、あの日電話したろ?』
『なんで、今まで黙ってたの?』
『タカ先生が利佳(私の事)に内緒にしといて、変な誤解させるしって言うからさ。その顔だとやっぱり気分悪くしたろ?』
もうすっかり昨日の酔いは覚めたはずなのに、私はまた気分が悪くなって来た。いったい全体何なの?ただのお稽古仲間でしょ?なんでみんなしてお互いを狙ってる訳?
私はその日完全にブスくれたが、シュンがお詫びに、私が欲しがってた新作のセリーヌの長財布を買いに、今から青山に行こうと言うのでとりあえず許したふりをする事にした。
全く物で誤魔化そうなんて。フン。
シュンは私がそんなに拗ねるならもう愛子の店には二度と行かないと約束してくれたが....私もシュンも甘かった。
愛子の方が役者が上だった。
タカ先生もシュン君も着々と愛子さんに狙われてますね?2人とも大丈夫なんでしょうか?