由紀子さんとタカ
2人ぼっちに出てきた、タカとシュンが共演したドラマはどんな話だったか?を想像して書いた作品です。私の彼役がシュン、画家役がタカと明記してあります。
50歳の由紀子さんは昔デザイナーが夢だったとかで、ラフ画ってのかしら?女性の外見とか描くのがもの凄くうまかった。
毎回着てくる服は、妙に勝負服っぽく、色っぽくて視線のやり場に困る。
ある日私がスケッチブックと格闘してたら由紀子さんが
『ねぇ、貴女って普通の人に見えるけど、なんであんな綺麗な男、捕まえたわけ?ボディも普通よね?てか貧弱?』
と大変、失礼な悪口を言ってきたが、それが嫌味が無く、私は笑ってしまった。
『たまたま、成り行きで。でも気が合う気はしましす。喧嘩もしないし』
『ふふ?お子ちゃま同士の関係ってわけね?』
私は真っ赤になって俯いた。
確かに私はシュンと既に深い間柄ではあったが、女の悦びと言うか、我を忘れてのめり込むとかそういうんじゃない気がした。礼儀正しくそれこそ普通?女としてまだまだ未熟なんだろうか?
タカ『ほらほら、由紀子さん、手が止まってる。若い子に絡まないの!』と、タカがちゃちゃを入れてくれたのでその場は救われたが....
驚いた事に、由紀子さんは男女と言うか夫婦関係と言うか、身体の関係に異常なぐらい興味を示す人だった。何でも離婚までは行かない中途半端なご主人がいるらしく、とっくに夫婦は崩壊している。ご主人は娘さんのところにいるらしく、由紀子さんはローンの残った大きな家に下の娘さんと暮らしており、その家が売れないと離婚出来ないらしい。
これはバツイチの愛子さんから聞いたのだが由紀子さんから愛子さんは離婚した後、毎晩の自分の身体の火照りをどうやって鎮めているのか教えて欲しいと真面目に質問されて、どうにもこうにも参ったと苦笑いしていた。
私は無神経に聞いてしまった。
『鎮まらない時ってあるもんなんですか?』
愛子さんは笑って綺麗な髪をすきながら言った。
『ノーコメントよ!』
私はやっぱりまだ女じゃないらしい。今日シュンとしないと眠れない何てこと一度も無いし。下手すると何もしないで2人で高鼾だし。私はそれでも十分に幸せだった。幸せだと思っていた。
愛子さんはさらに私に言った。
『知ってる?タカ先生が最後に戸締りする時、あの人(由紀子さんの事)必ず先生の足、触りに行くのよ。てか、レッスン中も必ずタカ先生の何処か触るから見ててごらん?』
私は由紀子さんをちょっとだけ観察して見た。
そしたらタカも由紀子さんもタバコを吸うのだが、喫煙室で2人でいちゃついてるでは無いか?いや、そんな風に見えた。タカの吸い差しのタバコを由紀子さんが吸う。タカが辞めてよぉと笑う。これがいちゃついてるんじゃなかったら何なんだ?しかもタカの耳に息なんて吹きかけてる!
私はなぜか真っ青になり、腹が立った。由紀子さんにもタカにも。2人の吸ってるタバコを取り上げて捨てたい衝動に襲われた。
青ざめた私に気が付いてシュンが
『なんか具合悪い?帰り少し飲んで温まってく?』と言ってくれなかったらほんとに2人を怒鳴ったかもしれない。
私はその夜シュンに抱かれながら、初めて乱れた。何もかも忘れたかった。シュンが入って来た時、閉じた目の後ろに火花みたいのが散った。もしかしてこれがエクスタシィ?
タカと由紀子さんへのヤキモチが引き金になってるなんて事にも気づかず、私は行く時、思わずシュンの肩を噛んでいた。
中年の叔母様にあっさり翻弄される私。まだまだウブですね!