タカ役の絵画教室に入る
2人ぼっちに出てきた、タカとシュンが共演したドラマはどんな話だったか?を想像して書いた作品です。私の彼役がシュン、画家役がタカと明記してあります。
シュンと私は気がっ合ったのだろう。映画や飲みや食事やその辺のドライブは勿論、意外と2人が意気投合したのが美術館回りだった。
いろんな画家の書いた作品を、レプリカであろうが見に行くのはワクワクした。2人ともただ絵が好きと言うだけで行ってたので、互いの感想も穏やかなものであり、討論でぶつかるなんて事も無かった。
シュンと恋人になって三ヶ月も過ぎた頃、私はシュンが雨で困って駅まで送って行った日、絵画教室の入会体験日だった事を思い出した。シュンと付き合う事に夢中で毎日が楽しかったので、すっかり忘れてた。
コーヒーを飲みながらシュンにその話をしたらシュンが思いがけず興味を示し、もう一回そこに連絡して良さそうだったら2人で通わないか?と言う。
『僕、前から絵を描きたいって思ってたんだ。書道でしょ。ピアノでしょ。スイミングでしょ。英会話でしょ。テニスでしょ。親がミーハーで、大抵はやったんだけど、絵だけは機会がなかったんだよね?』
私はそれを聞いて吹き出した。私も似たり寄ったりのお稽古の経歴の持ち主だったからだ。
私は小学生の頃一度、これまた母のもの好きで油絵教室に通い出したが先生が高齢のおばあちゃんのワガママな人で、父兄を買い物や足などのパシリに平気で使う勘違い人間だった。車なら運転をあまり苦にしない母が散々それらをやらされてネを上げて逃げ出した。 それからは絵には縁が無かった。
私は次の日、その教室に前回キャンセルしてしまった無礼を詫び、今度は知人と2人で体験したい旨、連絡を入れた。
その絵画教室の講師がタカだった。
タカはイケメンだった。甘さと孤独をミックスさせたような雰囲気があり、厳しい表情でフッ笑うと可愛いくて母性本能をくすぐる顔をしていた。こりゃ奥様方に人気だろうなぁって感じ。まさにその通りだったが。
私は正直、自分の回り、自分が知り合った男性で、過去にシュンほどイケメンに出会った事は無かった。シュンと歩いてたり店に入ったりすると、女性達の私に対しての羨ましげな嫉妬顔が小気味良かった。
しかし、しかしですよ?
タカだったら、シュンとタイマン張りますよ?
あくまで容姿です。容姿!人間性としての中身はまだタカは知らない分、シュンの方が満点で勝ってるから!とか、私は勝手に内心ブツブツ言いながら、無邪気に喜んでるシュンと、絵画教室の手続きをしたのだった。
シュンと順調に付き合い出した私。しかしイケメン講師の絵画教室へ。何か起きそうですよね?