ソウルの夜
2人ぼっちに出てきた、タカとシュンが共演したドラマはどんな話だったか?を想像して書いた作品です。私の彼役がシュン、画家役がタカと明記してあります。
シュンのソウルの会社に行ってみる。
何も喋れずしどろもどろだったが、皆さん親切で、空港で、いろんな人が車に乗れって寄って来たのが怪しかったが、標準タクシーってのを捕まえる。街では日本語も通じる人も多くて、なんとか無事に辿り着く。
私の取ったホテルのすぐ近くにシュンの事務所はあった。
受付の人に取り次がれてシュンが私に気が付いた時のあの顔!ビックリカメラにでもあったような?顔をくしゃくしゃにして子供みたい寄って来る。
ほらほらイケメン台無しだってば。ちよっと気取った女顔の容姿がシュンの売りなんだからさ。
....と私は自分の婚約者を冷静に観察する。もしかしたらこの数日で、婚約者じゃ無くなっちゃうかもだけど。
『利佳ぁ。来るなら来るって言ってくれれば良かったのに。待って待って。今から全部仕事キャンセルするから』
....と、猛烈な勢いで電話やメールで連絡を始め、現地のスタッフの人にもう今日は彼女と帰れみたいな感じでからかわれてるのか、シュンは顔を真っ赤にして嬉しそうに、そうするみたいな事を韓国語で喋ってる。
シュン、英語喋れるのは知ってたけど、韓国語も喋れるのかぁ。今更ながら感心する。
とりあえず、隣のコーヒーショップで待つ事にする。一時間もしないでシュンがすっ飛んで来る。
『えっ?ホテル予約したの?ロイヤルホテル3泊?高いだろ?僕のマンションに来いよ。』
『ううん。仕事だと思ったし。シュンのマンション、社宅でしょ?なんか悪いし。それに今日キャンセルしたらキャンセル料取られちゃう。』
するとシュンはそっかぁと言いながら私に番号や部屋を聞き出して、さっさと1人から2人になったから大きな部屋に変更お願いします....みたいな事を電話で予約し直してしまう。せっかち^_^
それからの金土日の三日間、私とシュンは、はしゃぎにはしゃいで過ごした。
地下鉄に乗る。バスに乗る。眠らないソウルの街を練り歩く。明洞のあちこちの店をひやかす。屋台のトッポギやチキンをほおばる。南大門市場を見て歩く。行きたいところばかりで、楽しくてたまらなかった。身体中にエネルギーが湧いた。
たったの3日間で、初めてまともに飲んだマッコリも日本物じゃない本場キムチも大好物になった。
そして.....
ホテルでのシュンとの夜は激しかった。
2人ともどうしちゃったの?ってほど、貪欲にお互いを求め、初めてオスとメスのような交わりを経験した。なんの理屈も無く、今、貴方と私がやるべき事はこれなんだよね?みたいな。やっと原点に戻ったよね?ここからがスタートだよね?みたいな........
シュンが言う。
『僕達、やっぱり直ぐに暮らさないか?こっちで暮らすの嫌かな?式なんか落ち着いたら日本でやればいいんだしさ?』
私もそう思っていた。
私達、離れて居てはいけない。
愛子との事はやっぱり怖くて聞けなかったけど、私は自分の中に封印する事に決めた。いつか真実が明るみに出るかもだけど、シュンに裏切られてないと今は信じてみたい。
私だってタカに触れた事こそ無いが、気持ちは十分に浮気していたわけだし。
何かと甘いんだろうな、私....
シュンのマンションにも、月曜日シュンが仕事に行く途中に
『飛行機✈️夜だから、まだまだ時間あるだろ?空港まで送るから悪いけど掃除しておいて!利佳もここに住むんだからさ!と、1人置いて行かれてしまった。
仕方なく隅から隅まで掃除する。シュンは綺麗好きで日本の部屋もこちらの部屋もきちんとしてるし、探した訳では決して無いが怪しげなものも無い。
私は日本での雑事を整理して、すぐにソウルに来るとシュンに約束した。時期も今月3月締めでちょうど良い。
私は昼間は歩き過ぎて、夜はシュンと交わり過ぎで、正直、日本に帰る飛行機の中で身体はガタガタだったが、幸せだった。シュンの精一杯の誠意を見せたもらった気がした。
私は来月の4月からソウルでシュンと暮らすのだ。
シュンを信じて付いて行くと決心した私。このまま何も起こらないといいね?