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不在者新聞 ~あなたは、信じますか?~

作者: 四宮 皇季

 夢の御告げに従い、作ってみました。1話完結です。


 5000文字もないので、簡単に読みきれるとは思いますが、ご感想などをいただけたら嬉しいです。


 2月18日 誤字部分や、説明不足な箇所の補足をいれました。


 2月21日 本文の改稿を行いました。

       5000文字越えました。

 今、巷を騒がせている1枚の紙(モノ)がある。大きさはA4で、両面カラー印刷の紙面だ。

 その紙面の名は、【不在者新聞】と呼ばれている。

 何故、その名称で呼ばれているかは不明だが、渡している本人が【誰か『不』明】であり、【実『在』する人物か】も分かっていない、その内容は渡された人物限定で、その時の選択から【最も近い、『新』しい未来】を、まるで【先を見てきたように『聞』かせてくれる】紙面……だとか。

 その例を紹介しよう。



 :とある受付嬢の場合


「いらっしゃいませ。本日は、どのような……」


 そう言い、目の前に現れた男に話しかける女性。彼女の目の前にいる男性は、白のカッターに赤いネクタイ、上下ともに漆黒のスーツを着こなしている。右目には中世ヨーロッパ風なモノクルを付け、頭にはシルクハットを被っている。

 男性が手渡しで渡してきたモノは、A4サイズの用紙だ。ご丁寧に、白い手袋を着けている。


「あの…………?」

「【不在者新聞】です。読むも読まないも、信じるも信じないも、貴女次第です。

 これは、貴女が『選ばなかった』もしくは『選んだ』場合に起こりうる、貴女にとっての利益・不利益が書かれています」


 そういって、その紙面を女性に渡したら180度方向転換を行い、遠ざかっていく男。

 渡された紙面を見て、嫌そうに顔をしかめる女性。その紙面の表面には『【不在者新聞】○○ ○○様』と書かれている。当然のことながら、渡された女性の名前である。

 表面を見る限りでは、それは只の怪談としか思えなかった。

 不幸中の幸か、この女性は【不在者新聞】と言うモノの話を聞いたことがあった。いわゆる"都市伝説"の1種である。元々そういったモノに興味の強い彼女は、紙面の裏側を昼休憩の時に確認した。



 彼女が紙を裏返すと、そこには『12:30 同僚の受付嬢から電話あり。今夜の合コンに誘われる』と書かれていた。スマホに手を伸ばし、時間を確認すると12:29であった。30分を刻むと同時に、画面には同僚からの着信があった。


「もしもし、ХХさん?」

『ごめんね。お昼中に!』

「構わないわよ。さっき、食べ終わったところだから」

『よかった。それで、急で悪いんだけど、今夜空いてない?』

「えっと…………今のところは、予定が無いけど?」

『実は、合コンに誘っていた後輩がいたのだけど、風邪を引いたらしくて今日は休んでいるのよ』

「ХХさんは、本当に合コンが好きね!」

『私にはいい出会いはないし、紹介した娘は"ハッピーゴールウェディング"ばっかりでちょっと残念だけどね。それでも結婚報告で「先輩のお陰で、素敵な彼氏が出来た上、結婚まで出来ました! 本当に、ありがとうございます!!」なんて、嬉しそうな笑顔で感謝されると止められないわ!』

「……ってことは、わたしに替わりに出ないかって話?」

『そう。人数合わせで申し訳ないけど、出てくれないかしら?

 今は、付き合っている男性はいないでしょ?』

「ちょっと! 最後の一言は酷いじゃないの??」

『ごめん、ごめん! で、どうかな?』


 そういって女性は、先ほど見ていた紙の続きを見ていた。


『合コンに参加しなかった貴女は数年後、ごく普通の先輩と付き合い、結婚する。』


『合コンに参加した貴女は、2人のイケメンと1人の普通な青年と出会う。同僚が連れてきた女の子たちは、イケメンの彼らにご執心で、もう1人の青年には興味が無くなっている。

 ここで、貴女が取るべき選択は、青年に『声をかける』か『声をかけない』かである』


 さらに続きを読んでいく。


『青年に声をかけなかった場合、貴女は同僚の男性と数年後、結婚する』


『青年に声をかけた場合、貴女は青年の興味を引き、その視線を一身に浴びる。所々、貴女を見る視線がその大きな胸に向くが、我慢する方が良い方向に未来は流れる』


 そこまで読んだ彼女は同僚に対して「参加してもいいよ」と返事を返した。『助かるわ! 私はプランナー的な立場だから、参加できないのよ』と歓びの声を返してくれた。

 話が終わり、手にしている紙を見下ろすと、今まであった文章が消えていた。目を擦り、再度見直すが、元からそうであったかのようだ。

 しかし、新しい文章が追加されていた。


『2次会で軽くお酒を飲んだ貴女たちは、良い気分のまま別れることになった。そのとき、声をかけた青年は、貴女に何かを言おうとしている。その話を『聞かずに別れる』か『2人っきりでの時間を過ごし、落ち着いて話を聞く』かの判断は貴女次第』


 この文章に少し戸惑いながらも、仕事を終わらせ、合コンに参加した。

 合コンが始まると後輩2人は、同僚の呼んだイケメン2人に釘付けになってしまい、青年は居心地が悪そうにしていた。【不在者新聞】の内容を思い出した彼女は、縮こまっている青年に声をかけた。


「もしかして貴方は、合コン(こんなこと)は初めて?」

「はっはい。大学では、機会がなくて……」

「ふふ。あまり緊張しなくてもいいわよ?

 まあ、わたしも経験豊富……とは言い切れないけどね♪」


 彼女の言葉に少し固さの抜けた青年は、柔らかな笑顔を向けた。その笑顔に、一瞬心を彼女は奪われることになる。


「(何なのかしら? この"守ってあげたい"とか、"渡したくない"っていう感情は??)」

「あの、お名前を聞いてもいいですか? 僕は■■ ■■です」

「ごめんね! わたしは○○ ○○よ。■■くんは大学を出たばかりよね?」


 彼は緊張のあまり、最初にした自己紹介を覚えていないようだ。そんな彼に会わせるように彼女も再度自己紹介をする。


「はい。ただ僕は遅生まれなので、まだ21ですけど…………」

「3つも離れているのね。■■くんも、彼女たちのように年の近い娘の方がよかったかしら?」

「いっ、いえ! ○○さんも彼女たちに負けず劣らず美しいです!!」

「(わあ。真っ赤になって……彼って、可愛いわね)」


 心のなかで、彼に惹かれている自分に少し驚きながらも、イケメンと談笑している後輩2人の様子を見た。彼女の目から見て、完全に彼らの話術に落とされていると感じられた。

 彼女は、自分の話している彼が後輩たちの視界に入っていないことを安心すると共に、ほんの少し残念に思った。

 そのままの流れで2次会は居酒屋に行き、皆の体には少なからず、お酒が入って出来上がってしまう。


「○○さん。今日は助かったわ♪」

「ХХさん、気にしないで。十分、楽しんでいるから。

 それに■■くんの初々しさに、わたしの心も潤ったから♪」


 彼女は心の底から、誘ってくれた同僚に感謝している。

 それに、紙に書かれている通りだった。彼の視線はお酒が入ると共に、彼女の大きな胸に時々向かうようになった。ただ、『見ていません』ではなく、『見ちゃってます。すみません』という彼の態度に、何度心が潤ったことだろうか?

 彼女自身はその胸の大きさから、周囲の男たちのそういった視線に晒され続けていた。それから比べたら、彼の行動は分かりやすく、逆に可愛いくらいだった。

 居酒屋を出る前に"化粧直し"と言って、トイレの個室に入った彼女は【不在者新聞】を取り出して確認する。


 そこには変わらずに、『2次会で軽くお酒を飲んだ貴女たちは、良い気分のまま別れることになった。そのとき、声をかけた青年は、貴女に何かを言おうとしている。その話を『聞かずに別れる』か『2人っきりでの時間を過ごし、落ち着いて話を聞く』かの判断は貴女次第』と書いてあった。続きの文章も出ていた。


『聞かずに別れる場合は、『また明日会える?』と聞けば、縁は切れずに続くが、結婚までは5年はかかる。

『今日は楽しかったわ♪』で終わらせた場合は、青年との縁は切れる』


『2人っきりでの時間を過ごし、落ち着いて話を聞く場合は、『少しお姉さんぶって、青年をリードするが吉』

 そして、落ち着いた雰囲気の個室でのんびりと話そう』


 と書かれている。この時点で彼女は、1つの考えに行き着いていた。『もしかしたら、彼と幸せな結婚生活が出来るのかもしれない!!』と。

 ある意味で、この【不在者新聞】にどっぷりとハマっている状態だ。集団催眠商法のようで危うい。

 しっかりとメイクアップして、皆のいるテーブルに戻る。そして、同僚から「お開きにしましょうか?」と言われた面々は1組、また1組とバラバラに解散していく。彼女は帰る前に「頑張ってね♪」と肩を叩かれた。同僚の足取りは軽く、少しスキップしながら街に消えていった。

 彼女は肩を叩かれて、自分が彼を少なからず好きになっていることを再確認させられて、顔を赤くしていた。2人は肩を並べ、最寄の駅までゆっくりと歩いて行く。

 彼女は隣に歩く彼の様子を横目で伺うと、何かを言おうとしているのか、少しマゴマゴしている。【不在者新聞】に書いてあったことを思い出し、優しい年上のお姉さんの顔で、彼に話しかけた。


「■■くんは、まだ時間はあるかしら? 良かったらもう少し、わたしに付き合ってくれるかしら?」


 彼女の言葉に唖然とするが、言っている意味を理解した彼は、元気よく頷いた。きっと、お酒が入ったことにより、肩の力が抜けたのだろう。


「はっはい。○○さんに誘っていただけるのでしたら、お供致します!!」

「ふふ。そんなにカチカチにならないで。ただ"2人"でゆっくりとお話しできたら……と思ったからよ」


 彼女は"2人"の部分を分かりやすいように、少しだけ強調して話しかける。彼の顔はお酒なのか、照れで真っ赤になったのか、分からない状態になっている。

 そんな彼を、優しく見つめる。彼女は気付いていないが、自分の顔も真っ赤になっている。


 彼の父が懇意にしているという、ちょっと高めのバーの個室で、2人窓の外に広がる夜景を肩を並べて見る。その個室は10階と高い場所にあるので、闇に煌めくネオンの光が天の川のように、キラキラ輝いてキレイだ。

 2人で夜景を見ながら、ありふれた話を交わし、どちらともなく笑う。彼が何か言いたそうだったので、話を進めるとその顔は、彼に負けないくらい真っ赤になった。


「○○さん! 出会ったばかりですが、僕は貴女のことを好きになりました!!

 大好きになってしまいました!! 大学を出たばかりで、未熟な社会人ですが、僕と付き合ってください!!」


 彼は真っ正面から、彼女に想いを伝える。告白と言っても、ストレート過ぎる気がしないでもないが……。

 そんな真っ直ぐな告白に、彼女の顔はさらに真っ赤になり「ちょっと待ってね!」と言って顔を反らした。【不在者新聞】を読まずとも、自身の選ぶべき道は分かっていた。

 深呼吸をして、彼のストレートな告白で昂った自身の女としての欲情(感情)と、きゅんきゅんとさっきから疼いている体を落ち着かせる。そして、彼女は「嬉しいわ♪」と返事を返すのだった。



 ちなみにそのときの【不在者新聞】の文章は、『青年の告白を受けなかった場合は、バットエンド』『受けた場合は、今夜に結ばれるが大吉』と書いてあった。読んでいない彼女は知らない。



 しかし、これ以降の文章は必要ないだろう。彼女はマンション自室に彼を呼び、甘く情熱的な一夜を過ごした。



 時が過ぎるのは早く半年後。彼女は、少し大きくなったお腹を撫でている。あの日から付き合い続けている彼の子供である。彼女は、彼と初めて結ばれた日に、天からの祝福として授かったのではないかと思っている。

 そして、誰も──彼女を、合コンに誘ってくれた同僚の受付嬢ですら──知らなかったことだが、彼は彼女たちの働く会社の社長の一人息子、御曹子であった。


 彼女が知ったのは、妊娠したことを彼に報告報告した時だ。その時は物凄く驚いたことを、今の彼女は懐かしく思っている。


 それは、式の前に祝いに来てくれた皆に報告した時だ。口を揃えて『○○は運よく玉の輿に乗った』と、特に合コンの日に参加した女性陣に言われた。

 しかし彼女はこの幸せが、運ではなかったことを知っている。【不在者新聞】の導きのお陰だと。彼女にとって唯一の悩みは、あの日に【不在者新聞】が消え去ってしまった為、生まれてくる子供が幸せになれるか分からないことである。



 そんな彼女を、式を行っているチャペルを見下ろせる高さのビルの屋上から、見ている人影があった。彼女が見ていたらどういう反応を返しただろうか?

 その人物は、白のカッターに赤いネクタイ、上下ともに漆黒のスーツを着ている。右目には中世ヨーロッパ風なモノクルを付け、頭にはシルクハットを被っている。シルクハットを白い手袋を嵌めた指で軽く位置を直している。


 《ふふ。【不在者新聞】とは、あなたが選ばなかった道と、選んだ道の未来を少しだけ教えてくれるモノ。

 あくまでも"ただの紙"でしかない。

 しかし貴女は、自身にとっての"正解"を選び取れたようだ。まあ"不正解"を選べば、どうなるか……ワタシにも分からないですがね♪》


 空に響く鐘の音と共に、男の姿は消え去った。その場には、男がいた痕跡は、何も残っていなかった。


 今日も何処かで、男から【不在者新聞】を受けとる人がいるのだろう。男が"何処の誰か"を知っている者はいない。目的も分からない。

 分かっているのは、男は傍観し、【不在者新聞】を渡すだけ。

 あなたがそれを受け取ったとき、内容を『信じる』か『信じない』かは、"あなた次第"です。

 前書きに書いたように、夢の御告げです。


 初めて短編を書きましたが、結構書いたようで少なかったです。稚拙な作品ですが、お読みいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] まず、根本的に日本語が間違ってます。 「不在(者)」は、【作(執筆)者不明】という意味ではありませんし、 「新聞」は、【一個人の人生を現在進行形で追い掛ける】ものではない筈です。 更…
2016/02/18 23:49 退会済み
管理
[気になる点] 合コンって始めに自己紹介しないのですか 熱い熱帯夜 熱を重ねるのがどうかなと思いました [一言] こういう少し不思議系んあ日常ものは好きなのでよかったです
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