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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第二章 デスゲーム開始
99/225

98話 死神と呼ばれる魔物

 さてと、ネギと白菜は入れたな。

 後は卵を割れないように包んでおかないとな。


 「あれ? お兄ちゃん今日はピクニックに行くの?」


 リュックに今日のお昼の食材を入れていると、ミュルリが勘違いしたのか聞いてきた。


 「うん? まあそんな所だ」


 「だったら、私も一緒に行きたい」


 「ああ、悪いな。ピクニックと言ってもダンジョンの中だから危険なんだよ」


 「うう、最近お兄ちゃんが工房にいないから、ちょっと寂しいかな」


 ミュルリがしょんぼりと俯くと、覗き込むようにこちらを伺っていた。


 おお、ミュルリは可愛いな。

 こんな妹が欲しかったなあ。


 まてよ? 

 今は妹みたいなもんじゃないか?


 「今度時間ができたら、何か食べに連れて行ってやるよ」


 「ほんと? 約束だからね」


 途端にミュルリは笑顔になった。


 ほっこりとした気持ちになると『行ってくるよ』とミュルリに言って工房を出た。



 そして、今はレギオンのダンジョンの入り口で弟子達3人と合流した所だ。


 「あれ? 師匠、セレナ先生は今日も一緒なんですか?」


 「ああ、ちょっとあってな。まあ今日も2階層でレベル上げだ」


 セレナは3人の姿を見つけると、嬉しそうに駆け寄って順番に頭を撫でていた。

 どうやら、頭を撫でるのが楽しいらしい。


 そういえばレベルがかなり上がったんだ。


 日坂部達也 年齢18

 冒険者レベル15→18

 HP80→95

 MP0

 力70→85

 魔力0

 体力70→85

 速さ75→90

 命中150→180


 装備 

 ベレッタMODEL92(攻撃力100)9mm×19mmブラックタロン(ホローポイント弾)×15発

 2連装ボウガン(攻撃力60×2)

 矢筒 鉄の矢×50(攻撃力20)

 ロングソード(攻撃力10)

 ナイフ(解体用)

 革のラウンドシールド改(防御力30+10)手裏剣(攻撃力20×10)

 革の鎧改(防御力40+15)投げナイフ(攻撃力50×3)

 ポシェット 火炎瓶×3 ソーン(最高品質)×10 特効薬(最高品質)×5 毒消し×5

 ジッポライター

 まきびし

 リュック


 お金

 1058220エル


 アイテム 

 ソーン(最高品質)×10 皮のマント 弦(予備) コッキング紐 水筒大(お茶) 調味料(塩 割り下 マヨネーズ バター ニンニク) 素材(白菜 しらたき ネギ 卵) 秘氷の水晶 

 レジャーシート 食器類×5 火炎瓶×7 小型ハンマー(採取用) なめし皮の風呂敷

 在庫 

 真珠×20 革のヘルメットランプ(防御力10) ナイフ(採取用) 矢筒(木の矢×3 鉄の矢尻の矢×40)


 POINT 2

 GUNBOX 

 BENELLI MODEL 3(攻撃力50×15)12GAUGE(00バックショット)×7

 HK417D(攻撃力600)7.62mm×51mm(フルメタルジャケット弾)×20

 ダネルMGL(攻撃力500)40mm×46mm(HE弾)×6

 9mm×19mmブラックタロン(ホローポイント弾)×20

 12GAUGE(ライフルドスラグ)×7

 12GAUGE(BBバードショット)×4

 12GAUGE(00バックショット)×10

 7.62mm×51mm(フルメタルジャケット弾)×14

 40mm×46mm(HEDP弾)×6

 M67 FRAGMENTATION GRENADE(攻撃力1000)×3

 M84 STUN GRENADE×2

 VICTORINOX SOLDIER(アーミーナイフ)

 NIGHT VISION ATN PS15-3I FOM 1400(暗視ゴーグル)

 COMBAT RATION(戦闘糧食)×120


 NEW EQUIP

 COMBAT RATION


 ポイントが入ったので、ダブルオーバックの弾を交換した。


 昨日入手したコンバットレーションは120食分だった。

 世界各国の軍隊の戦闘糧食である。

 これは、ミリタリーオタクにはたまらない一品なんだよ。

 それに、非常食としてもガンボックスに保管しておけるのは安心できていいよね。

 でも、ちょっとつまみ食いするくらいは……ね?

 うへへへ。


 今日はソーンを大量に持ってきた。

 ポシェットに入らないので緊急用を除いてリュックにも入れている。


 そして、今日も大部屋で料理をしようと考えていた。

 食事による士気の向上は無視できないものがあるからな。

 美味しいものを食べると力が出るんだよ。


 卵は産み立てを水で良く洗って、サルモネラ菌が繁殖しないように秘氷の水晶で冷やしている。

 まあ、この世界にサルモネラ菌がいるかはわからないけど、注意するに越した事は無いからね。


 今日は卵もあるから割れないように戦う必要がある。

 テクニックの見せ所だ。

 イニシャル○並のバトルはさすがに無理なので、豆腐はあきらめた。

 いずれは、リュックに入れた豆腐を崩さずに戦えるようになりたい。


 さあ、行ってみよう。



 「センセイ、お願いしやす」


 「うむぅ、まかせるのぅ」


 30度の角度でお辞儀をして、センセイに雑魚の始末をお願いする。

 昨日と同じで1階層はセレナ無双で消耗を避けて移動した。


 2階層へと到着すると早速戦闘を開始する。


 弟子達の動きは昨日とは別人だった。

 魔物の動きを予測して的確に戦っていた。

 ステータスだけが強さではないという事だな。


 しかし、俺の方は卵というハンデを背負っていたため厳しい戦いを強いられる事になっていた。

 なんせ、射撃するにも卵が割れないよう体勢を固定する必要があった上、投げナイフを投げるモーションなどは卵が割れる危険性が非常に高かったので迂闊にできなかったのだ。

 まあ、とんでもないハンデだ。


 だが、過酷な戦いが終わる頃にはなんと新しい力に目覚めていた。


 そう、精密射撃とでも名づけようか?


 卵が割れないように戦っていたら極めてしまったのだよ。

 効果は射撃精度の向上だ。


 まあ、いつものなんちゃってスキルで射撃が格段に上手くなってしまっただけなんだけどね。



 そして、お昼の時間になった。

 手際よくロブスタークラブとボア系を仕留める。

 すでにみんな手慣れたものだ。


 はい! 今日はすき焼きです。

 やっぱり鍋の王様のこれをやらないと駄目だよね。

 しっかりと昆布で出汁を取った割り下も作ってきました。

 わざわざ帝都から極上の醤油を取り寄せたんだ!

 これは美味しいですよ?


 ロブスタークラブの甲羅の鍋にボア肉の脂を入れて火を点ける。

 牛脂の代わりだ。

 ボアの脂身の多い肉を甲羅で少し焼いて香ばしさを出すのだ。

 今回はロブスタークラブの身は入れませんよ?

 使うのは甲羅の鍋だけで身は別にして食べる。


 ネギを焼いて香りを出すとここでボアの肉を投入。

 ほど良く色が変わった所で割り下を投入。


 しかし、ここでセレナが食べようとした。


 「めっ! まだ食べちゃ駄目」


 「セレナお腹空いたのぅ」


 つぶらな瞳で見つめられる。


 だが、断る!

 鍋奉行に逆らったら食事は抜きである。


 でも、ちょっとかわいそうになったので蟹の身を食べさせる。


 気を取り直すとしらたきと野菜を入れていく。

 後は弱火で煮込むだけだ。


 ちなみに、俺はすき焼きにしいたけは入れない。

 しいたけは美味いのだが、味が強すぎて他の素材の味を消してしまうからだ。


 割らないように必死で守った生卵を器に割にわってみんなに渡す。

 しかし、渡された生卵にみんなは戸惑っていた。


 あれ?

 やっぱり、すき焼きも知らないのかな?

 醤油はあるんだよな?


 何で料理の方は知られてないのだろう?

 うーん、値段も高いし普及してないのかな?


 今日のメインはすき焼きとヒレステーキでサイドメニューは蟹だ。

 こうしてみるとかなり贅沢な食事だよな。

 素材を現地調達できる冒険者ならではだ。


 用意が整うと、溶いた生卵に豪快に肉を浸してがぶりと食べる。


 うーん、旨い!

 甘くて香ばしい醤油の味がしっかりと肉に染みこんでいて、生卵のまろやかな味がそれを包み込んでくれる。

 続けて汁をたっぷりと吸い込んだネギに齧りつく。

 予想通り、噛み締めるとじゅわっと旨みを含んだ汁が口の中に滲み出る。

 くぅー! 最高だぜ。


 みんなはどうだろうと見てみると、弟子達は器に入った生卵を見ておろおろとしていた。

 あれ? 生卵につけて食べるのは駄目なのかな?


 しかし、セレナだけはあむあむと美味しそうに食べている。


 「大丈夫だから食べてみろ」


 最初はみんなおっかなびっくりだったが、俺が旨い旨いとバクバク食べていると食べ始めた。


 俺がネギの美味さに舌鼓と打っていると、キールがすき焼き鍋からごっそりと肉を取る。

 それを見たデールも負けじと肉をごっそり取る。


 キールがまるで飲むかのように一瞬で肉を平らげると、デールもキールの真似をして喉をつまらせた。


 「ごほっ、ぐぉほ」


 「ほら、もう、馬鹿な事で競わないでよ」


 「あははは、でーるん面白い」


 「うま、うま、おで、もっとくうどー」


 そんなデールを見てセレナは大笑い、キールは我関せずと一人鍋から肉を取り出してもくもくと食べる。

 喉を詰まらせて苦しんでいたデールにはチップが甲斐甲斐しくお茶を渡していた。


 なんやかんやで、すき焼きは大好評であっという間に鍋は空になった。


 すき焼き鍋が空になると、デールとキールはヒレステーキを何回も焼いては食べ始める。


 あいつらまだ食べたり無いのか?

 20人前くらいはあったと思うんだが?


 女性陣のセレナとチップはマヨネーズが気に入ったようで、蟹をしきりに食べていた。


 チップが身をちくちくとほじってはセレナが食べ、チップが身をほじってはセレナが食べと。

 まあ、ほとんどセレナが食べてたんだが。

 マヨネーズ美味しいもんな。


 さてと、俺はポカ○スウェットでも作ろうかな。

 シンガポール軍のレーションセットに付いてるんだよね。


 粉を適量入れると水を汲み水筒の中に入れる。

 後はこの秘氷の水晶で冷やしてやれば、キンキンに冷えるだろう。


 後で喉が乾いた時に飲んでリフレッシュだ。



 食べ終わってしばらく休憩すると2階層へ移動した。


 弟子達は戦い方が手慣れてきたようで、1階層の魔物のようにサクサク倒す。

 そして、卵の封印から解き放たれた俺も水を得た魚の如く絶好調だった。


 魔物の強さは変わらないがこちらは格段に強くなっている。

 相対的に狩り効率は上がっていた。


 昨日と同じ様に気が狂ったように戦い続ける。

 激戦を物語るように、投げナイフや手裏剣には魔物の血がこびりついて、刃先には無数の細かい傷が出来ていた。

 ずいぶんと損耗が激しい。

 矢は装填に時間が掛かるがナイフと手裏剣にはないのでフル稼働だったから尚更だ。


 ソーンを使い傷を癒すために休憩する。

 すでにあれだけ持ってきたソーンも残り少ない。


 そろそろ頃合かな?


 たくさん汗を搔いたし喉も渇いたので、○カリスウェットを飲もう。


 「弟子集合! セレナも集合!」


 「はーい! たっつんなあにぃ?」


 「師匠? 何ですか?」


 地面の草を毟って遊んでいたセレナが、手を上げると元気にこちらに走ってきた。

 座り込んで休んでいた弟子達も立ち上がって集まってくる。


 集まったのを確認すると、コップに○カリスウェットを入れてみんなに配る。


 そして、ゴクゴクと喉を鳴らして飲む。


 たまらねえ! キンキンに冷えてやがる。

 これは犯罪的な旨さだ!

 汗を搔いた時は最高だよな。


 みんなもゴクゴク喉を鳴らしながら美味しそうに飲んでいた。


 「お師匠様、これは何という果実なのですか?」


 「え~と? 何になるんだろう? ブドウ糖?」


 「そうですか、ぶどうなのですね。大変美味しいです」


 何かチップが勘違いしているようだが、似た様なもんだろうからいいや。

 セレナも喜んでいるかな?

 あれ?

 さっきまで目の前にいたのに、いないぞ?


 気づくと俺の背後にいた。

 そして、○カリスウェットの入った水筒に口をつけてゴクゴク飲んでいた。


 「あっ!?」


 「ごきゅごきゅごきゅ、ぷはぁ! 美味しいよぉ」


 飲み終わったセレナは目をまんまるに大きくしていた。


 あ~あ、全部飲んじゃったよ。

 しょうがないなあ。


 セレナの顔を見て苦笑する。


 さあ、休憩は終わりだ。

 戦闘を続行するぞ。



 レベルはすでに21になっていた。


 目標としていたレベル20は達成したのだ。

 まさに感無量と言った感じだろう。


 ソーンも無くなったので弟子達にそろそろ帰ると伝える。


 「たっつん! 逃げて!」


 セレナが急に叫んだ。


 なんだ!?


 セレナの切迫した声に尋常ではない危険を察知する。

 理由など確認せずに即座に叫ぶ。


 「全員1階層へ戻るぞ! 走れ!」


 「は、はい」


 脇目も振らずに1階層へ向けて必死に走る。


 ガキン!


 逃げ出してから数秒後。

 後方で、ぞっとする様な派手な金属音がした。


 逃げながら後方を確認すると、セレナがそいつと戦闘を開始した音だった。


 キラーマンティス

 レベル40

 HP320

 MP0

 力270

 魔力0

 体力330

 速さ380

 命中230


 キラーマンティスは鎌が鉄で出来ていて、体も固い表皮に覆われている3mくらいの大きなカマキリだ。

 ステータスのトータルバランスが軒並み高くて、中堅クラスの冒険者達には死神と恐れられているこの階層で出現する最強最悪の魔物だ。


 しかも、速度が327のセレナより速い。


 やばい、確かにここはレベル40までは出現する。

 でも、こんな入り口付近に出なくても……

 いや、そんなルールはないんだ。


 「師匠? セレナ先生はどうするんですか?」


 「俺達は邪魔にしかならん。止まるな走れ!」


 落ち着いて自分が取るべき行動を考える。


 まずは、応戦できるセレナが足止めをして俺達が撤退を完了させる。

 その後に、安全な距離から矢で援護射撃をしてセレナの後退を援護する。


 階層を跨いでまで襲ってこないはずだから、これで何とかなるはずだ。


 足の遅いキールが1階層へ移動したのを確認する。


 「セレナ! タイミングを見計らって後退してくれ! 援護する」


 返事をする余裕がないのかセレナが答えない。

 セレナとキラーマンティスは睨み合って対峙していた。


 セレナの剣からは薄っすらと真空の剣が生まれていた。

 目を凝らしてみると剣先の空間が歪んでいる。

 おそらくはソニックブレードだろう。


 さらに体から空気が噴出しているのか渦を巻いていた。

 ダンジョンの粉塵が舞ってセレナの体の回りに渦を作っているのだ。

 おそらくは疾風のスキルだろう。

 セレナはスキル全開のようだ。


 じりじりとした緊張感のある対峙が続いた。

 そして、刹那の時間でセレナとキラーマンティスの位置が入れ替わった。

 次の瞬間、キラーマンティスの体が真っ二つにずれた。


 「たっつん! もう大丈夫だよ」


 セレナがこちらに振り向きニコニコといつもの笑顔を見せる。


 「ははは、セレナさん強すぎでしょ」


 頬の筋肉をぴくぴくさせながら、セレナに笑って答えた。

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