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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第二章 デスゲーム開始
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93話 セレナは甘えん坊

 昨日はさんざんだった。


 レイチェルとアーチェに魔物を擦り付けられた所為で、とんだ無駄弾を使うことになったんだ。

 あれは、俺じゃなかったら死んじゃってるね。


 だから、レギオンのダンジョンでレイチェルとアーチェに魔物を擦り付けられたことをナタリアさんに報告しておこうと思っていたのだが……。

 すっかり忘れていた。


 ナタリアさんはすでにギルドへ出勤してしまっているようなのでギルドに向かう。



 「たっつん!」


 「ぐわぁあ」


 ギルドに入ると、いきなりセレナが抱きついてきた。


 「なぬ? どうして此処にセレナがいるんだ?」


 セレナは久しぶりに俺に会えたのが嬉しいのか、抱きついたままごろごろと甘えてきた。


 「久しぶりね達也、少しは強くなったのかしら?」


 「まあ、ぼちぼちと言った所かな? それよりお前らは何で此処にいるんだ?」


 セレナの後ろではセリアがいつものポーズで泰然たいぜんと佇んでいた。

 セレナが抱きついたまま離れないため理性を総動員して答える。


 「達也はこの町……いえ、都市に住んでいるのだから知っていると思うけど、モニカでしか売っていない特効薬を買いに来たのよ。もっとも売り切れ中らしくてね。何とか入手できないかと、今日はモニカを散策しようと思っていたのよ。……達也? 私の話しを聞いているのかしら?」


 「へ? 何だっけ?」


 セレナが今も抱きついていたためセリアの話しは頭に入っていなかった。

 セリアがゴミを見るような目で俺を睨めつけている。


 まずい! 落ち着くんだ。

 セリアに気持ち良くなんかないんだぞ? と示さねばならん。


 セレナが猫のように甘えてくる。


 「たっつん」


 すりすり。

 うぐ、気持ちよくなんか……


 ごろごろ。

 うぐぐ……


 ぷに。

 でへへ。


 「達也!」


 セリアが非難したような叫び声を出してきた。


 「こんなの耐えられるわけがないだろう!」


 やけくそになって逆切れして叫ぶ。


 「まったくもう、スケベなんだから。いい? セレナは5歳の女の子と精神年齢は同じなのよ? ただ子供として甘えてるだけなんだから勘違いしないでよ?」


 「ああ、わかってるよ」


 セリアがあきれたようなあきらめたような顔をして警告してくる。

 名残惜しいがセレナをそっと引き離す。


 「たっつん、今日はセレナと遊ぼう?」


 「うん? 悪いがレギオンのダンジョンに行く約束があってな」


 「やだやだ、たっつんはセレナと遊ぶの! たっつん遊んでくれるってこの前約束したぁ!」


 セレナのほっぺたがぷくりと膨らんだ。


 困ったなあ。


 「セレナ、なら達也とレギオンのダンジョンへ行ってくるといいわ。私もモニカに用事があるし1人の方が何かと動きやすいから」


 頭を搔いて悩んでいるとセリアが助け舟を出してくれる。

 そして『夕方になったらギルドで落ち合いましょう』と約束して、セリアはギルドから出て行った。


 今日は予定を変更だな。

 セレナが居るなら、もっと効率的に高レベルの魔物を相手に出来そうだ。


 さっさと用事を済ませてしまおう。


 「セレナ、ちょっと待っててくれよ」


 「わかったぁ」


 セレナにはギルドの待合室で待っていてもらう。

 ナタリアさんがいなかったのでエミリーさんに話し掛けた。


 「こんにちは、エミリーさん」


 「あら、達也君じゃない」


 挨拶もそこそこにレイチェルとアーチェの2人の事を話す。


 「あら! 達也君もなの?」


 驚いた様子のエミリーさんがうんざりしたような顔で答える。


 他にも何件か苦情が来ているそうで、経験値泥棒をしたりピンチになると盾にして逃げたりと散々だったそうだ。


 「何件もなんですか? 何処の誰かもわからないのに、そいつら何で気軽にパーティに入れるんですかね?」


 「馬鹿ね。エッチな格好をした可愛い女の子に言い寄られたら、達也君は了承するでしょ?」


 「はい、もちろんです」


 間髪入れずに答える。


 あんなけしからん格好をしてたのはそう言う事だったのか。

 恐ろしい! 罠だとわかっているのに引っ掛かってしまうぞ。



 話を終えると、エミリーさんに挨拶をしてセレナの待っている待合室へ向かう。


 「たっつん! 遅いのぅ」


 待合室に入ると同時にセレナが叫ぶ。

 ほっぺたをぱんぱんにして相当怒っているようだ。


 「すまん、待たせてしまった」


 弱ったな、何とかセレナの機嫌が直る方法はないか?

 俺なら美味しいものでも食べれば機嫌が直るんだけどなあ。


 おっ、いい事を思いついた。


 「セレナ! お昼御飯に美味しいものを食べさせてやるぞ?」


 「ええ? ほんとぅ? やったー!」


 どうやらセレナの機嫌は直ったようだ。

 単純で助かる。


 セレナがいれば予備の矢はいらないだろう。

 一旦工房に戻って代わりにアレを持っていこう。


 フフフ、みんな喜ぶぞ。

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