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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第二章 デスゲーム開始
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70話 クエスト達成報告

 「やっぱり、雨か。空模様が怪しかったんだよな」


 外は生憎の大雨。

 雨が地面に叩きつけられ、泥が盛大に跳ね上がっていた。



 助けた3人のひよっこ冒険者に特効薬を使ってしまったので、俺は補充の特効薬を作っていた。

 本当なら特効薬を作っている暇はないんだけど、ロイドさんの活躍でお店の在庫も無いんだよね。


 まあ、外は大雨で外出するのも億劫おっくうだったから、ちょうど良かったかもしれない。

 よし! どうせならまとめて作っておくか。


 気合を入れると、滑らかに砕かれた水晶の粉を混ぜて10個分の濃縮したソーンを薬剤を混ぜた水で薄める。

 ゴリゴリやりながら特効薬を作っていると、不意にギルトのクエストの事を思い出した。


 そういえば、ギルドのクエストを何とかしないといけないんだったな。


 でも、受けられるクエストが薬草クエやバイトしかないんだよな。

 バイトもそうだが薬草探しとかやってる時間がもったいない。


 何か良い方法がないだろうか?


 ふと、工房に置いてある薬草の束に視線が止まる。


 うん?

 工房にある薬草を持って行けばいいんじゃないか?

 必要なのはお金じゃなくて冒険者カードなわけだからな。

 ちょっとナタリアさんに聞いてみるか。


 ソーンを濃縮するのに時間が掛かるから、その間に行ってこよう。



 「ふへぇ、こりゃ止めとけば良かったか?」


 工房を出ると、蛇口からこぼれてくるような雨が降ってくる。

 強烈な雨に後悔しつつも、這う這うの体でギルドまで足を運ぶ。


 早速ナタリアさんに聞いてみると。

 にっこり笑って『だめですよ』と速攻で怒られました。


 目が笑ってないんです。

 怖かったよ。


 やっぱり、地道に薬草クエストをやるのが無難か。


 雨が降りしきる中、溜息混じりでとぼとぼと工房へと戻る。


 討伐クエストとかあればいいのにな? って、あれ? 

 ゴブリン討伐があるじゃねえか!

 完全に忘れてたぜ。


 俺にとっては完全にトラウマになってたから、無意識のうちに考えないようにしていたんだろう。


 ああ、ギルドにいる時に気づけばなあ。

 うう、この大雨の中また行くのは嫌だ。


 よし! 明日にしよう。


 そう決めると、その日は特効薬の製作を終えるとすぐに寝た。



 そして、次の日。

 昨日までの大雨が嘘のようにカラッと空は晴れていた。


 いい天気だと思っているとナタリアさんが朝早くに帰ってきた。

 どうやら、モンスターパニックの問題が解決したので戻ってきたらしい。


 まあ、俺がすべて始末したから当たり前なんだけどね。


 さあ、そろそろギルドへ行ってゴブリン討伐の報告をしてこよう。


 「こんにちは、エミリーさん」


 声を掛けると『何か用?』と相変わらずのエミリーさんだった。


 この人はまったく成長していない。

 やれやれだぜ。


 ゴブリン討伐の報告をしてギルドカードをエミリーさんに渡す。

 石の上にギルドカードを乗せるとカードが光り出した。

 どうやら、ギルドカードのデータを読み取っているようだ。


 そして、確認にしばらく掛かるから待合室で待つようにと説明される。


 ギルドカードか……

 この世界の文明レベルから完全にオーバーテクノロジーだよな?

 こんなのがあるなら、自動車とか無いのはおかしいと思うんだけどな。


 ギルドの待合室で待っていると、予想外の人物が急に声を掛けて抱きついてきた。


 「たっつん!」


 「なぬ? セレナ? なんでここに?」


 「無事だったみたいね」


 セリアはいつものポーズを取ると、俺をゴミを見るような視線で見ていた。

 まあ、俺もセレナに抱きつかれてニマニマしていたわけだが。


 「どうして、お前らがここにいるんだ?」


 「あのねぇ、たっつんが秘氷の水晶の洞窟に行くって言ってたでしょ? モンスターパニックに巻き込まれたんじゃないかって、心配で助けに来たんだよぉ。ね? セリアちゃん」


 「私は、ただ仕事で仕方無しに来ただけよ」


 にこにこした笑顔のセレナとは対象的に、セリアはツンと澄ました顔だ。


 「え~? いつもなら、割りに合わないってぇ受けないよねぇ? セリアちゃんは恥ずかしがり屋さんだからね。えへへ」


 俺の事を心配して助けに来てくれたのか?


 「俺はセリアの事を守銭奴だと思ってた、ぐぎゃあ!」


 セリアが持っていた槍の柄の部分で俺の足の甲をドスンと突いてきた。


 しまった、つい声に出してしまった。


 俺に抱きついていたセレナが『セリアちゃん怖い』と怯えていた。


 「それより、聞いてよ達也。私達がモニカに来て詳細を聞いてたら、すでに討伐されたと連絡が来たのよ」


 「まあ、モンスターパニックで沸いた魔物は俺がすべて倒したからな」


 やば! 思わず言ってしまった。

 どうやってと聞かれたら答えようがないんだが。


 「は? あんた何わけのわからないこと言ってるの?」


 「ええ? たっつん、すごぉい!」


 ぶすっとした顔でまったく信じていないようすのセリアと、すごい! と信じきっているようなキラキラとした瞳のセレナ。


 「達也! 嘘は止めなさい。セレナが信じちゃうでしょう?」


 「え? たっつん、嘘なのぅ? 嘘は駄目だよぅ」


 本当の事なんだけどなあ。

 しくしく。


 まあ、どうやって倒したか聞かれても答えられないからしょうがないか。


 「目撃者の話しによると、ガンマンとか名乗ってたらしいわ」


 あの助けた3人が証言したんだろうな。

 危ねえ、本名を名乗ってたらめんどくさい事になってたな。


 「達也君、手続きが終わったから来て」


 そんな事を話していると、エミリーさんが手続きが終了した事を伝えてきた。


 「セリア、セレナちょっと待っててくれ」


 「わかったぁ」


 「早くしなさいよ」


 2人に伝えると、エミリーさんについて行った。

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