59話 パーティ戦闘
何だこのチートは? 駄目だろこれは。
2人のステータスのあまりの高さに唖然として、さらにわけのわからない装備にも困惑してしまう。
あんな装備売ってないよね?
それとも俺が知らないだけか?
しかも、魔法やスキルとかずるいだろ?
高いステータスと協力な装備と魔法とスキルって、もうめちゃくちゃだ。
とりあえず、俺のステータスと比較してみようか?
日坂部達也 年齢18
冒険者レベル9
HP50
MP0
力40
魔力0
体力40
速さ45
命中90
装備
ベレッタMODEL92(攻撃力100)9mm×19mmブラックタロン(ホローポイント弾)×15発
2連装ボウガン(攻撃力60×2)
矢筒 鉄の矢×20(攻撃力20) 鉄の矢尻の矢×30(攻撃力10)
ロングソード(攻撃力10)
ナイフ(解体用)
ナイフ(採取用)
革のヘルメットランプ(防御力10)
革のラウンドシールド(防御力30)
革の鎧(防御力40)
まきびし
リュック
NEW EQUIP
まきびし
セリア 年齢18
冒険者レベル32
HP320
MP50
力271
魔力115
体力280
速さ192
命中215
装備
雷光の槍<攻撃力40+α(攻撃力80)エンチャント>
紫電の鎧<防御力40+α(防御力80)エンチャント>
魔法
サンダー MP10(初級)
サンダーボルト MP40(中級)
ライトニングボルト MP40(中級)横1m縦10m範囲
スキル
紫電 MP5(体に雷を纏わせ刹那の間、超高速機動可)
インパルスカノン MP50(武器に雷を纏わせて超電磁砲として撃ち出す)
セレナ 年齢18
冒険者レベル30
HP215
MP60
力205
魔力130
体力190
速さ277(327)
命中220
装備
疾風の剣<攻撃力20+α(攻撃力50)+速さ25 エンチャント>
シルフの羽衣<防御力20+α(防御力50)+速さ25 エンチャント>
魔法
ウインド MP10(初級)
サイクロン MP50(中級)円50m範囲
スキル
疾風 MP5(体に風を纏わせて高速移動、空中機動化)
ソニックブレード MP20(剣に風を纏わせ斬りUP、リーチ変更可、真空斬飛可)
セリアが力で敵を捻じ伏せるタイプで、セレナが速度で敵を斬るタイプなんだろうな。
この2人は冒険者のトップクラスだよね?
違う?
中堅クラスとか言ってたか?
じゃあ、上級冒険者とかどういった連中なんだよ。
それにしても、いくらレベルが違うといってもステータスの差が酷いな。
俺のステータスの上昇傾向から考えると、同レベルならどの程度の差になるんだ?
えーと、この2人の半分よりちょっと良いくらいになる……のか?
げっ、は、半分ってひど……
いや、俺のステータスの上昇率は途中で変わったんだ。
まだわからん。
だけど、命中以外はどうにもならんだろうな。
装備の方は、帰ったら親父に聞いてみよう。
「命中以外は残念能力だけど、命中が90もあるなら、後ろから誤射で撃たれることもないか。いいわ、後ろから援護して」
「援護とか必要か?」
「ここは飛翔のダンジョンだから空を飛ぶ魔物が多いのよ。私とセレナだけなら無視して進めばいいけど、それだと達也が攻撃されるでしょ? 空を飛んでる魔物を中心に狙ってちょうだい」
セリアの言葉に、俺が思いっきり足手まといになっている事を理解する。
すまんのう。
「わかった、空中にいる敵は任せてくれ」
「あと、攻撃されそうな時は私を盾にするように動いて」
女の子を盾にするのは情けないが、この世界だとステータスがすべてだからな。
ここでは俺が弱者なんだ。
変な意地は張らずに黙って了承する。
そして、ダンジョンを進むとすぐに敵と遭遇した。
ハゲアキ
レベル14
HP120
MP0
力80
魔力0
体力110
速さ20
命中35
ジャコウゲハ
レベル16
HP130
MP0
力120
魔力0
体力140
速さ20
命中40
クロメリメン
レベル18
HP150
MP0
力100
魔力0
体力80
速さ120
命中60
ジャイアントバッド
レベル20
HP180
MP0
力80
魔力0
体力150
速さ120
命中120
ハゲアキ8匹、ジャコウゲハ16匹、クロメリメン3匹、ジャイアントバッドが1匹の団体さんだ。
ちなみに、クロメリメンは1m程のでかい蛾だ。
そして、ジャイアントバッドは2mくらいある大きな蝙蝠だ。
「達也、飛んでるやつは羽を狙って落として」
セリアはそう言うとセレナと駆け出して行く。
「置いて行かないでくれ」
「もう、しょうがないわねえ」
速度を緩めてくれたセリアを情けない声を出しながら必死に追いかける。
仕方が無いだろ?
さっきは地上しかいなかったけど、上から来られると俺が死ぬんだよ。
戦端が開かれていた戦場では、セレナが縦横無尽に駆け回って魔物の戦線をずたずたにしていた。
そこに、少し遅れて戦場に到着したセリアが駄目押しで参戦する。
俺がセリアに追いついて位置取りをしている間には、地上にいた魔物はほぼ一掃されていた。
あっ、終わってる。
間抜けな顔で、空中をひらひらと飛翔している魔物を見上げる。
リュックに吊るしてあるまきびしをちらりと見る。
魔物に空を飛ばれたら意味ないよな。
所詮は浅知恵だったか……。
今までは頼もしく見えていた、まきびしの入っている袋を見て落胆する。
いや、地上の魔物には有効なはずだ。
まあ、いずれにせよ、1人ではあの数を相手にはできないだろうけど。
ふと気づくと、セリアが早く空の魔物を落とせと言わんばかりにこちらを見ていた。
わかってるよと、2連装ボウガンで空中の敵を射落とす。
そこそこ速かったが飛んでる魔物を落とすだけなら1発で充分だ。
距離も近いし的も大きいから当てるだけなら楽勝だ。
射落とされた魔物は落ちてくる途中でセリアに突かれて絶命していた。
そして、今回も楽勝だなと思った時にセリアの足元にいた魔物がまだ生きている事に気づいた。
「セリア! 足元のやつまだ生きてるぞ!」
セリアは慌てたように足元を見ると虫の息だった魔物に止めを刺していた。
「よく気づいたわね? でも、ついでに倒してくれれば良かったのに」
「倒していいのか? 倒した人しか経験値が入らないんだよな? 俺は大して役に立ってないぞ?」
「達也も知ってると思うけど、自分よりレベルが低い魔物を倒しても経験値が貰えないのよ。だから、かまわないわよ」
セリアがどうでもいいといった感じで答える。
まさか、こんなレベルUPのチャンスが来るとは……
でも、自分の力で倒せない敵を倒してレベルだけ上がっても駄目なんだよ。
俺が欲しいのは敵を倒せる力であって、ステータスだけが高くなっても意味が無いんだ。
まあ、なによりも情けないというのもある。
とはいえ、そんな個人的な理由で敵に止めを刺さないとか危険だよな。
なら、遠慮せずに瀕死の敵でも狙おう。




