53話 達也の覚醒?
親方から受けた秘密のミッションで新しいダンジョンへ来ていた。
ここは青色水晶の洞窟と呼ばれるダンジョンで、特効薬の制作に必要な青色水晶の鉱石が採掘できる。
鉱石の出るダンジョンは総じて暗いため、探索するには松明が必要である。
リュックから取り出した松明を手に持つと、2連装ライトボウガンを手に取ろうとしてふと気づく。
2連装ライトボウガンは両手持ちなので松明を持つと使えない。
やっちまったぜ。
青色水晶の洞窟の前で愕然とする。
まあ、あれだ。
やってみないと気づかない事ってあるよね?
え? 間抜け?
うるさい。
さて、結局はどうするのかなんだけど、別に松明じゃなくてもいいと思うんだよね。
ようするに、松明の代わりになる明かりがあって両手が自由になればいいわけなんだから。
アイディアはあるんだよ。
あのヘルメットにライトがついてるやつだ。
あのライトの部分をランプにすればいい。
ただ、ランプの光だけだと弱いから装着面に鏡をつけて集光する。
そうすれば、松明の代わりとしてなんとか使えるはずだ。
親父に作ってもらおう。
両手が使える盾とかもないかなあ?
それも、親父に聞いてみよう。
「親父! 相談したい事がある」
「どうした達坊? ボウガンはまだ無理だぞ?」
いつものように武器屋に入って話しかけると、親父が怪訝そうな顔で尋ねてきた。
事情を説明してヘルメットランプの制作と盾について聞いてみる。
「ふむ、両手が自由になる盾か。達坊はボウガンも使うんだろ? ならバックラーのラウンドシールドがお勧めだぜ」
親父のお勧めは、ラウンドシールドという腕に装着できるタイプの小さい丸い盾だった。
形状が円のため、ボウガンを装填する時なんかも引っ掛かって邪魔になることはないそうで、いざという時は武器として殴りつけることもできると言っていた。
多少値は張るそうだが、力の無い俺でも装備できる軽くて防御力もある革のラウンドシールドにする。
価格は80万エル。
今は金が無いのでダンジョンへ行って金を作ったら購入しよう。
次に、ヘルメットランプの説明をする。
「ほう、頭にランプか? それはなかなかに面白いアイディアだな。だが、頭に装着できる程度の大きさのランプだと暗いんじゃないのか?」
「それなら問題ない。鏡を張り合わせ反射させて前方に光を集めるんだよ。そうすると弱い光でも集まって明るくなるんだ」
「光を集める?」
親父は集光の理論がわからなかったらしく、驚いたような顔をしていた。
「達坊はすごいな。それに比べて、俺は何にもできねえ……」
親父がごにょごにょと何か呟いていたが、小さな声で良く聞こえない。
「親父? どうしたんだ? 無理なのか?」
「いや、すまねえ。大丈夫だ、問題ねえよ」
制作の方は革の兜をベースに使えばいいと言われる。
うーん、兜か。
兜を装備した方が安全なのはわかっているんだが、視野が狭くなるから嫌なんだよね。
「全部でいくらぐらいになるんだ?」
「そうだなあ……使う面積はわずかとはいえ、鏡は高いからなあ。製作費を入れると値段が50万エルは掛かるぞ?」
親父が大体の費用を教えてくれた。
ちなみに、革の兜は30万エルだ。
ランプの側面に張り合わせる鏡だけで20万エルか?
いや、親父の技術料も入ってるか。
しかし、何をするにも金、金、金だ。
金が無ければ何もできねえ。
そして、お金が必要になった時のATMこと真珠貝タートル君。
1匹が平均5万エルくらいだから、130万までは26匹ほど狩る必要がある。
ただ、今ある蒸留酒で最後なんだよな。
でも、ミュルリさんが機転を利かせて少しだけ確保してくれていたのですよ。
さすがはミュルリ様です。
だから、蒸留酒用のお酒の購入分も気持ち多めに狩りたい所だ。
ダンジョンに行ったり来たりで時間も押してる。
急いで洞穴のダンジョンへ向かおう。
そういえばレベルが結構上がったんだよね。
日坂部達也 年齢18
冒険者レベル6→9
HP35→50
MP0
力25→40
魔力0
体力25→40
速さ30→45
命中60→90
装備
ベレッタMODEL92(攻撃力100)9mm×19mmブラックタロン(ホローポイント弾)×15発
2連装ライトボウガン(攻撃力30×2)
矢筒 鉄の矢尻の矢×40(攻撃力10) 木の矢×3(攻撃力1)
ロングソード(攻撃力10)
ナイフ(解体用)
ナイフ(採取用)
木の盾(防御力10)
革の鎧(防御力40)
リュック
お金
900520エル
アイテム
ソーン(最高品質)×5 特効薬(最高品質)×3 毒消し×2
皮袋大(蒸留酒)火打石 皮のマント 水筒(お茶)
なめし皮の風呂敷 弦(予備) コッキング紐
在庫
真珠×5 殺人兎鉈×4
POINT 3
GUNBOX
BENELLI MODEL 3(攻撃力50×15)12GAUGE(00バックショット)×7
9mm×19mmブラックタロン(ホローポイント弾)×8発
12GAUGE(ライフルドスラグ)×6
12GAUGE(BBバードショット)×6
12GAUGE(00バックショット)×2
1ポイントだけ使って、ショットガンのダブルオーバックの弾を交換した。
それにしても命中の伸びがすごい。
親父からは、命中だけはすでにそこらにいる中堅クラス変わらんと教えられた。
それと、他のステータスは上がりやすいが命中は上がり難いんだそうだ。
洞穴のダンジョンに入ると、2階層へと向かう。
途中でホーンラビットが出現した。
しかし、ホーンラビットの動きが何かおかしい。
最初は何かのフェイントか? と警戒したのだが何もない。
いいのか? と思いつつも2連装ライトボウガンの引き金を引く。
当然、矢はホーンラビットに突き刺さる。
そして、戦闘が終了した。
もしや? と思いつつ2階層へ降りる。
そして、疑念を解消するのに最適な相手で確認してみる事にした。
2層へ降りて左へ行くと4匹のミニテラーバッドがいた。
2匹は止まっている状態で倒したが残り2匹がこちらに向かって来た。
急いで矢を再装填すると、飛び回っている状態のミニテラーバッドに向けて矢を放った。
1発目、2発目と、変幻自在に飛び回っていたミニテラーバッドを空中で串刺しにして射落としてしまう。
「………………」
自分でやっておいてなんだが自らの神業に声を失ってしまった。
その後は真珠貝タートルの狩りをしたのだが、数が目に見えて激減していた。
ちょっと狩り過ぎちゃったかもしれない。
なんとか25匹の真珠貝タートルを狩るとダンジョンを後にした。
今回の戦果
髭モグラ2 ホーンラビット1 オオトカゲ1
ミニテラーバッド3 真珠貝タートル25
今回の収益
1483000




