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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第一章 特効薬開発
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45話 真珠成金

 これで、何匹目だったか?

 ぐふふふ。


 蒸留酒で燃やして止めの一撃を加えると、ホクホク笑顔で戦利品を回収する。



 2連装ライトボウガンの威力と言ったら、まさに圧倒的ではないかの一言だった。


 なんせ、最初に貝の口を開けている状態の真珠貝タートルなど、先制攻撃の2連射だけで瀕死状態で、さすがに倒せはしなかったものの、あとは火を点けて開いた口へ矢を射って終わりというありさまだった。

 笑いが止まらないと言うか、親父も良い仕事をしてくれたもんだよ。


 持ってきたお茶をがぶがぶ飲みながら、小分けに切った真珠貝タートルの身に塩を掛けて食べまくる。


 「ゴクゴクゴク、ぷはぁ! ああ、お茶がうめえな」


 やっぱり、食べる時はお茶だよね。

 だけど、そうなると醤油も欲しいんだけど小瓶でも2万エルするんだよな。


 この世界にも醤油が存在している。

 緑茶や味醂みりんや味噌など、なぜか日本人に縁のある食べ物が存在しているのだ。

 誰が作ったんだろうな?


 休憩を終えるとステータス画面を確認する。


 すでにレベルも2つ上がり、現在はレベル8になっていた。

 持ってきた大量の蒸留酒は使い果たしてしまって無くなっていたが、すでに目標の14匹はダブルスコアでクリアしている。

 そして、まだ時間はある。


 あと1レベル上がれば力が40に届くと思う。

 そうすればボウガンが使える。

 ならば、ホールアリゲーター狩りに行ってみますか。


 そう決めると、ダンジョンの奥へと足を進めた。



 探索の途中に何匹かの真珠貝タートルがいたが、足が遅いので完全に無視して進む。


 ちらりと、あれ1匹で5万エルも稼げるのになあと、通り過ぎた真珠貝タートルに未練がましく視線を向ける。

 普通の冒険者はこんな感じで真珠貝タートルをやり過ごすんだろうな。


 この世界にも油はあるが油は火を近づけてもなかなか燃えない。

 この世界には火を点ければすぐに燃え上がるガソリンのような液体はないのだ。


 つまり、蒸留酒は異世界の文化から生まれた完全にチートアイテムである。


 そんなの使うなんてずるい! なんて言う人がいるかもしれないが、少し考えてみて欲しい。

 現状、俺はステータスにおいて他の冒険者より圧倒的に劣っていて不利なんだ。


 だが、その代わり俺には異世界の知識がある。

 だから、俺はただそれを利用しただけでずるくもなんともない。


 むしろ、今俺がやるべきは無いものを悔やんで他者を妬むのではなくて、自分の持ってるものを最大限に活用して不利な状況を打開することなんだからな。


 そこで、俺はこの蒸留酒の発展系としてこの蒸留酒をさらに火炎瓶にできないかと考えてみた。

 火炎瓶を使うことができれば、非力な俺でも複数の魔物を一気に殲滅できるようになるからな。

 上手くいけば戦闘がずいぶんと楽になる。


 しかし、それには1つ大きな問題があった。

 それは、この世界にはマッチのように手軽に火を起こせるような火種がないことである。


 う~ん、火種か……

 ジッポライターなら簡単に作れるかな?

 時間があれば親父に頼んで作ってもらおう。



 そして、ホールアリゲーターの生息域へと辿り着いた。

 ホールアリゲータは5m近い巨体を横たえて、閑散とした岩場に静かに佇んでいた。


 ホールアリゲーター

 レベル8

 HP60

 MP0

 力60

 魔力0

 体力100

 速さ30

 命中10


 ステータスを見るとそのタフネスに驚く。

 初めてのステータス3桁の敵である。


 レベル8にしては、ちょっとステータスが高いと思うんだが?

 レベルはステータスだけで決まるわけではないのだが、それにしても地味に力まで高いのは絶対におかしいだろ。

 噛まれたらきっと終わりだ。


 しかし、一番注意しなければいけないのは刹那的に出る速度だと親父が言っていた。


 一見すると速度が30と遅いようだが、短距離だけなら3倍くらいの速度になるそうだ。

 但し、持久力がまったくないため、親父曰く『近づかなければどうということはない』とのことだ。

 絶対に近づかないように戦おう。


 これは……矢は足りるよね?


 ステータスだけでなく、戦車の装甲を思わせる平べったい外見にたじろいてしまう。

 まあ、いざとなったら銃を使って矢は回収すればいいんだけど。


 微動だにしないホールアリゲーターにそっと近づくと、天敵が居ないのかホールアリゲーターはふてぶてしく眠っているようだった。


 これは絶好のチャンス。


 ホールアリゲーターの弱点は左の目の後ろと狙い難い場所にある。

 静かに後ろに回りこむと狙いを済ませて射る。


 1発目は左目に当たる。

 惜しい、もう少し上の部分だ。


 続けて射った2発目がホールアリゲーターの急所に見事に命中する。

 ホールアリゲーターは断末魔の叫びをあげるとぴくりとも動かなくなった。


 あっけない。


 いや、違う……どんなに強くても油断すればこうなるんだ。

 明日は我が身、肝に銘じておこう。


 さて、戦利品はどうしようか?

 お肉だけでも50kgくらいあるんだけど、重いからこいつを持って戦うのは厳しいんだよな。


 うーん、肉はあきらめて鰐革だけ持っていこうかな。

 お金の方は真珠貝タートルで充分稼いだから、無理する必要はないしね。


 戦利品の回収をすると、次のホールアリゲーターを探した。

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