44話 再びダンジョンへ
此処で働き始めてから、2ヶ月の月日が流れました。
そう、今日は待ちに待った給料日なのです。
そして、ミュルリさんからお給料を貰いました。
しかも、200万エルと前回の2倍です。
『お兄ちゃんはがんばってくれたから』と、きゅーとな笑顔でまさに天使ですね。
そして、あれから特効薬は1日に1~2個は売れるようになりました。
噂を聞いた冒険者や商人達が、効果の確認のため試しで購入しているのかもしれませんね。
あきらかに同業者である薬師の人まで来ているそうで、たまに5個~10個くらいをまとめて購入していく人も出てきたそうです。
口コミで広まっているようなので、ここまでくれば後は時間の問題でしょう。
ああ、そうそう。
あの後、ソーン作りの方がどうなったのかと言うと。
最初の何日かは、ひたすらソーン作りに明け暮れる日々でした。
俺がソーンを作っても、親方がその分の特効薬を作るといったいたちごっこです。
ソーンを作るペースは俺の方が早いのですが、特効薬は1つ作るのにソーンを10個も消費してしまうといった、まさに一進一退の攻防でした。
しかし、レースは意外な結末で終了したのです。
なんと、親方が張り切りすぎて倒れてしまいました。
歳なのに無理をするからですね。
親方はミュルリさんにさんざん怒られてました。
あの屈強な体格をしたドワーフのような親方が、まるで借りてきた猫のようにシュンとなってです。
いいですか? ミュルリさんですよ? さんつけです。
うちの工房のトップですから誰も逆らえる者はいません。
こう、顔はにっこり笑顔でも笑っていない……ガクガク、ブルブル。
なので、ミュルリ審判からイエローカードを出された親方は午前中だけしか特効薬を作っていません。
しかも、俺の方は親方に負けまいと必死になってソーンを作っていたおかげでソーンの在庫に余裕ができました。
だから、そろそろダンジョンへ行こうと考えていたのです。
そして、久しぶりに洞穴のダンジョンへ来た。
そういえば、レベルが上がったんだ。
日坂部達也 年齢18
冒険者レベル5→6
HP30→35
MP0
力20→25
魔力0
体力20→25
速さ25→30
命中50→60
装備
ベレッタMODEL92(攻撃力100)9mm×19mmブラックタロン(ホローポイント弾)×15発
2連装ライトボウガン(攻撃力30×2)
矢筒 鉄の矢尻の矢×40(攻撃力10) 木の矢×3(攻撃力1)
ロングソード(攻撃力10)
ナイフ(解体用)
ナイフ(採取用)
木の盾(防御力10)
革の鎧(防御力40)
リュック
お金
2004520エル
アイテム
ソーン(最高品質)×5 特効薬(最高品質)×3 毒消し×2
皮袋大(蒸留酒)火打石 調味料(塩) 皮のマント
水筒(お茶) なめし皮の風呂敷 弦(予備) コッキング紐
POINT 1
GUNBOX
BENELLI MODEL 3(攻撃力50×15)12GAUGE(00バックショット)×6
9mm×19mmブラックタロン(ホローポイント弾)×13発
12GAUGE(ライフルドスラグ)×6
12GAUGE(BBバードショット)×6
NEW EQUIP
2連装ライトボウガン
12GAUGE(BBバードショット)
1ポイントは予備として溜めておくとして、細かい敵が来た時用にバードショットを交換した。
バードショットの表記でサイズの単位はBBだ。
所謂エアガンで使われてるBB弾はこれのことで、ペレットのサイズは4.57mmの弾である。
ちなみに、おもちゃのサイズと紛らわしいということで、おもちゃのBB弾のサイズは5mmに変更された。
矢尻の矢を50本まで購入しようと思ったのだが、親父に『ボウガンなら鉄の矢がいいぞ?』と言われたので止めた。
矢尻の矢が40本もあれば洞穴のダンジョンなら問題なさそうだしね。
そして、今日は真珠貝タートルを大量に狩るために蒸留酒を大量に持ってきた。
ボウガンへ換装する時には、最初から2連装ボウガンにしたいからお金が必要なんだ。
ボウガンの値段が1つ120万エルなので2つで240万エル。
それと改造費を合わせると250万エルになる。
ミュルリから200万エル貰ったから残り50万エルかな。
ああ、鉄の矢も必要なのか。
鉄の矢は1つ2万エルと高額だった。
矢尻の矢は、矢尻の部分しか鉄を使ってないから安いそうだ。
最低でも10本は欲しいから20万エルと、必要なのは合計70万エルだな。
お金はいくらあっても足りない。
真珠貝タートルを最低でも14匹は狩らないとね。
ダンジョンの中は静かだった。
しばらく来ていなかったから魔物も沸いているはずなんだけど。
そんな事を考えながら進んでいると、途中に髭を切られた髭モグラの死骸が転がっていた。
どうやら、魔物が居ないのではなくて他の冒険者が倒しているようである。
どんどんダンジョンの奥へ進むも、結局は1匹のエンカウントもなく2階層への入り口まで到着してしまった。
そのまま2階層へと降りる。
2階層に降りてくると、他の冒険者が降りてきてないか最初の左右の道を調べてその痕跡が無いか調べてみる。
右側には5匹のミニテラーバッドが天井にぶら下がっていたが、左側には1匹も居なかった。
そして、左側の地面にはミニテラーバッドの羽の部分が切り取られた死骸が転がっている。
う~ん、やっぱり誰かが通った痕跡があるな。
足跡も新しい。
たぶん、2人だと思う。
これは2階層に降りてきたかな?
そういえば、他の冒険者とダンジョンでバッティングしたことなかったよな。
まあ、田舎町のマイナーなダンジョンだからな。
争いにならないように気をつけないと。
さらに進むと、2つの足跡は真っ直ぐ続いているようだった。
狩場がぶつからないように右の方へと進路を取る。
さあ、真珠貝タートル狩りを始めよう。




