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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第一章 特効薬開発
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39話 特効薬完成

 「うぉおおお! やったぞ!」


 「お爺ちゃんどうしたの?」


 「ついに完成したのじゃ!」


 工房へ入ってすぐに、工房の奥にある研究室の方から親方の大きな聞こえてきた。


 嬉しそうな声の調子から厄介ごとではないようである。

 急いで研究室へ入る。


 そこには『がはははは』と豪快に笑う親方と『良かったね』と嬉しそうに微笑むミュルリがいた。


 「おお、達也か? 待っていたぞ。ついに特効薬が完成したのじゃ」


 親方は俺に気づくと嬉しそうに伝えてきた。


 まあ、喜ばしい事で良かった。

 また癇癪でも起こしたのかと思ったからな。


 俺が『良かったですね』と答えると、親方は『うんうん』と言って難しい顔をした後に『1つ問題がある』と言ってきた。


 う~ん、この流れ……嫌な予感がするぞ。


 親方の後ろで、まるで溶鉱炉のような炉でボコンボコンと濃縮が続けられているソーンをちらりと見る。


 「実際に効果があるか確かめねばならんのじゃ」


 親方が不吉なフラグを立ててきた。


 そして、なぜか親方のそばにある大かなづち。

 そして、俺を待っていたという言葉。


 「おおっと手がすべった、でりゃあ!」


 親方は大かなづちを手に取り振り上げると、俺に向けて振り下ろしてきた。


 予想していた俺は『見える! なんとぉ!』と叫びながら余裕で避ける。


 冒険者をなめるなよ?


 空振りした親方は体勢を崩して転がった。

 そして、そのままの勢いで溶鉱炉のような火元に手を突っ込んでしまう。


 「ぎぃやぁぁぁ!」


 親方が悲鳴を上げて転げまわる。


 「お爺ちゃん!」


 親方の突然の奇行を前に固まっていたミュルリが、親方の叫び声を聞くと慌てたように駈け寄って介抱をはじめた。


 「親方、大丈夫ですか?」


 「あいたたた。すまん、手がすべった」


 この親方は! と思いながらも一応は怪我の心配をする。


 でりゃあ! とか言ってたよね?

 あんなんで殴られたら、怪我どころか死んじゃうでしょうが。


 「がはははは、まあ、ちょうど良く怪我をしたから良しとしよう」


 火傷した手を摩りつつも笑いながら言っていた親方に、転んでもただでは起きないなと思わず苦笑した。


 まったく、この親方はしょうがねえな。




 親方はすぐに持っていた特効薬を自分に使用する。

 すると、親方の赤くただれていた手は見る見るうちに再生して跡すら残さすに怪我が治っていた。


 とんでもねえぞ、これ。


 ソーンと比べてその回復速度はあきらかに異常で、俺とミュルリはその再生していく傷を声もなく呆然と見ていた。


 親方の計算によると効果はソーンの10倍だそうで『これ以上は濃縮しても効果が見込めない』と残念そうな顔で言っていた。


 ここで詳しくソーンについて詳しく解説する。


 ソーンは重ねがけできず、1回使用すると1時間は使えない。

 それは特効薬でも同じ。

 そして、1時間でその回復量分回復する。


 ソーンの回復量は最大品質で30回復する。

 1分で0.5回復、2分で1回復だ。


 親方の作った特効薬も同じだが、回復量は最大で300だ。

 12秒で1回復、1分で5回復するのだ。


 今まではHPを300回復するのに10時間掛かっていた。

 それが1時間で済むのだからとんでもない代物である。


 自分の冒険者カードを見ながら親方が回復量の確認をしていた。

 『よしよし』と頷いてる所を見ると、どうやら実験は成功したようである。


 それにしても親方も冒険者だったんだな。

 過去に名前を馳せたとかあるんだろうか?


 その後は、親方の命令で特効薬作りを行う事になった。

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