38話 魔改造?改造ライトボウガン
武器屋に入ると、いつものようにポージングを決めていた親父に話しかける。
「親父! 相談したい事がある。ライトボウガンに火力が無いんだよ。どうにかならないか?」
「ったく、お前はいつもいきなりだな。うーん、まあ、無いこともないが」
親父は目を閉じて唸った後にぼそりと言った。
そして『ただ、金が掛かるからお勧めはできんな』と、なんだか気の進まないような言い方をする。
「真珠貝タートルを倒したから金ならなんとかなるぞ?」
「達坊! お前あれを倒せたのか?」
俺が倒したと答えると『あの強固な装甲を』と親父はかなり驚いているようだった。
真珠を売った金額の46万エルを見せる。
「おいおい、いったい何匹狩ったんだよ。それにどうやったんだ? お前のステータスじゃ無理だろ?」
「蒸留酒を使ったんだよ」
「蒸留酒? なんだそれは?」
蒸留酒について詳しく説明する。
親父は『達坊はすごいことを考えるもんだ』と、驚くというよりはなんだか怪訝そうな顔をしていた。
その瞬間、俺の頭に何かのノイズが走る。
なんだ? 今のは?
疑問を感じたが、すぐに治まったので気にしない事にする。
「まあ、金があるならかまわんか。簡単なことだ、ライトボーガンを2つ繋げて2連装ライトボーガンにすればいい」
「おお! その手があったか!」
「もっとも、どうせすぐにボウガンに換装するだろうからな。金の無駄になるぞ?」
「かまわないよ」
ライトボウガン代が20万エルで改造費用が10万エルということだ。
まあ、金でまかなえるなら真珠貝タートルで何とでもなる。
それよりも……
「親父! 2連装ライトボーガンなら、3連装も出来るのか?」
「出来はするが、使い難すぎて使い物にならんよ」
俺が勢い込んで尋ねると親父が苦笑しながら答える。
うーん、2回攻撃なら攻撃力2倍、3回なら3倍と言う男のロマンが……。
まあ、何事もバランスが大切だよね。
残念。
そして、改造するのに3日以上は掛かると言われた。
ならば、しばらく冒険者は休業だな。
一階層の魔物が枯渇してたからちょうど良かったかもしれん。
しばらくすれば、また沸いてくるしね。
ついでに、矢尻の矢が燃えてしまった話をすると親父に大笑いされた。
「親父! これは買い取る事はできないか?」
矢尻の鉄の部分を見せる。
「買い取る事は出来るが、達坊の持ってる木の矢と結合させれば矢尻の矢にできるぞ? 生産ラインが同じだからな」
「本当か? いくらだ?」
「繋げるだけだからな。おまけでやってやるよ」
「おお、助かるぜ。それじゃあ頼む」
それと、真珠貝タートルのおかげで資金はたんまりあるから、ここらで必要な物を一気に揃えておくか。
ワックスと弦の予備、さらにコッキング紐を購入する。
ついでに、残りのお金で鉄の矢尻の矢を17本購入すると意気揚々と武器屋を後にした。
工房に戻ると何やら騒がしい。
また親方か?
やれやれと苦笑すると、急いで工房へと足を運んだ。




