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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第一章 特効薬開発
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2話 最初の戦闘

 覚悟を決めてベレッタを握ると、突然自分の手がぶるぶると震え始めた。

 恐怖と緊張で視野が広くなったり狭くなったりとだめだめな状態である。


 生まれて初めての実戦(殺し合い)。


 戦闘において、胆力というものがどれほど重要なのかを思い知る。


 こっちは銃を持っているんだ。

 行け! 行け!


 心の中で尻込みする情けない自分を叱咤する。


 他の異界転移する奴らは恐れずに突っ込んで行くけど、あれは絶対におかしいよな?

 相手は刃物を持っているんだぜ?


 愚痴りつつゴブリンとの距離を10mまで縮めると、背丈ほどの草むらに身を隠して銃口だけを草の隙間からそっと出す。


 さて、何処を狙うか?

 ハンドガンのベレッタ(9mm)だとマンストップが弱いから、1発だと止まらないかもしれない。

 下手に突っ込んで来られると危険だ。


 1発で仕留めるには頭を狙うしかないけど、こんな震えた手じゃヘッドショットは難しいだろう。

 弾は惜しいが、ここは命中率の高い胸辺りを狙って2~3発で確実に仕留めた方が無難かもしれない。


 作戦を決めるとゴブリンに狙いを定めてトリガーを引く。

 最初にパン! と小口径銃の軽い銃声が鳴り、続いて森の木霊こだまに反響してパァンとタイヤが破裂したような音が鳴り響いた。


 弾の着弾先は……予想より遥か上だった。

 ゴブリンの遥か頭上の木の枝に命中して木片が飛び散る。


 ぶっ!


 あまりにも的外れだったことに思わず心の中で吹いてしまう。


 予想よりも遥かに大きな反動で銃口が完全に上を向いてしまっていた。


 まあ、使い方を知っているのと実際に撃つのとは違うよね。


 反省しつつ、ゴブリンの様子をこっそりと草の隙間から窺う。

 どうやらゴブリンは何が起きたのかわからなかったみたいで、銃弾の当たった木の方をしきりに何度も振り返っては見ていた。


 まだ、こっちには気づいていない。

 気づかれないうちに……


 銃の反動を計算にいれて2発目を撃つ。

 今度は狙い通りに胸元に命中する。


 しかし、ゴブリンは倒れなかった。

 さすがに気づいたのか俺を睨みつけると、よたよたしながらもこちらへ向かって来る。


 くっ! 1発じゃ止まらんか。

 やっぱり、9mmだと弱い。


 焦って3発目をすぐに撃つが弾が狙った位置より上に行ってしまう。

 だが、それが結果的にヘッドショットになった。


 ゴブリンがその場にどたりと倒れてぴくりとも動かなくなった。


 よし! 結果オーライだ。


 ほっと安堵のため息をつく。

 未だバクバクと心臓の鼓動が鳴っていたが、すぐにステータス画面を開いて経験値の確認をする。


 弾は生命線だからな。

 俺の予想だとレベルが上がれば弾が貰えるはずだ。


 しかし、経験値は0のままだった。


 あれ?

 まだ、ゴブリンが死んでない?


 ハッとなって慌ててゴブリンを見るも、ゴブリンはナイフを握った状態で倒れたままだ。

 ステータス画面のHPも0になっている。


 本当に死んでいるのか確認するため、銃口をゴブリンに向けつつ油断無く近づくとナイフを持った手を蹴り飛ばす。

 ナイフは何の抵抗もなくゴブリンの手から離れて近くの木に当たって止まった。

 ゴブリンはぴくりとも動かない。


 やはり死んでいる。

 そして、経験値も0のままだ。


 何で経験値が入らないんだ?

 そういう設定なんじゃないの?

 なら、このステータス画面は何なんだ?


 「…………」


 疑問はあるが、いつまでもこの場所に留まっているのは危険である。

 このゴブリンは間違いなく斥候だろうから。


 ゴブリンの生態はわからないが、単独でしかもナイフ1本で襲うなんてことはまず無いだろう。

 近くに仲間がいる可能性が高い。


 大きな音も鳴らしてしまったから早くここから離れた方がいい。


 ゴブリンの持っていたナイフを戦利品としてポケットにしまうと、急いでその場を後にした。

ステータス画面は意識して見るをしないと普段は見えません。

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