表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第一章 特効薬開発
29/225

28話 腹から来るぞ!気をつけろ!

 この階層に出現する魔物は、レベル1の髭モグラ、レベル2のホーンラビット、レベル3のオオトカゲの3種類だ。


 ちなみに、弱い魔物ほど強い魔物に追い立てられ、自然とその階層の入り口付近に集まることになるため、出現する順は基本的にレベルの低い順になる。

 なので、今日は入り口付近から奥へは行かないと決めていた。


 奥まで行かなければ、オオトカゲなどの強い魔物に遭わないだろうからな。


 そんなことを思っていた時期が私にもありました。

 すでに、10匹もの髭モグラを完全無双でヒャッハーしていた俺の前にオオトカゲが現れた。


 なんでこんな入り口付近にいるんだ?

 ホーンラビットすらまだ見てないのに。


 予想外のことに呆然としていた俺に向かって、オオトカゲがのっそりと近づいて来た。


 オオトカゲは名前の通り、3mくらいはあるイグアナがでかくなったような大きなトカゲだ。

 動きは緩慢なそうだが、表皮が厚いためダメージが通り難くてそこそこの耐久力を備えているそうだ。


 いっそのこと逃げてしまおうか? 

 だけど、速度も遅く俺には組しやすい相手なんだよな。


 どうせすぐに戦うことになるのだから、戦うことにしよう。


 オオトカゲ

 レベル3

 HP50

 MP0

 力20

 魔力0

 体力30

 速さ5

 命中20


 俺は疲弊していた。

 予想以上にオオトカゲがタフだったからだ。


 だがそれは、オオトカゲのタフネスだけが理由ではない。

 オオトカゲと戦う前の髭モグラ相手に、何度も矢を装填してはダッシュで距離を取っては撃つを繰り返していたことが原因だ。

 連戦による疲労の蓄積は馬鹿にできない。


 やっぱり、止めとけば良かったか?


 後悔の念が頭をよぎる。

 まあ、モンスターパニックでも無い限りはダンジョンの外まで追いかけては来ないので、いざという時は逃げてしまえばいいわけなんだが。

 もっとも、その場合はオオトカゲに刺さっている矢は回収できない。


 ふと手元に目線を向けると手がぶるぶると震えていた。


 そして、手の振るえはそのまま命中率の低下へと繋がる。

 距離が20mあったとはいえ、3mもある大きなオオトカゲに攻撃を外してしまうという失態を犯してしまう。

 オオトカゲはのっそりとこちらへ向かって来た。


 くそっ、ただでさえ何発も当てないといけないのに。

 動きが遅いのがせめてもの救いか……


 心の中で愚痴りながら距離を取るために再び走る。


 すでに5本の矢を当てていたのだが、それでもまだHPは30も残っていた。

 さすがはオオトカゲ、なかなかのタフネスである。


 疲弊しながらも親父の戦術講座パート2を思い出す。


 弱点を攻撃せよ。

 人間にも心臓や脳幹のうかんなどの1発食らえば終わりという急所がある。

 そこを狙うのだ。


 もっとも、遠距離から矢の先程をピンポイントに当てるのは至難の技である。

 一応は狙って撃っているのだが、オオトカゲも動き回っているからそうそう当たるものではない。


 後退しながら矢を打ち続ける。


 「当たらないか」


 10本あった矢も残り2本となっていたがオオトカゲのHPは22も残っていた。

 どう見積もっても矢が足りない。


 そういえば、親父が弓兵のセオリーが50本単位だと言っていた。

 これは、どうもライトボウガンだけで倒せそうにないな。


 残り少ないHPに剣で行くべきか? 

 いやいや、髭モグラであれなのにどう考えても無謀だろ。


 逃げるか?


 だけど、ここで矢を失ってしまうのは痛手すぎる。

 やっぱり、安全をとってベレッタで仕留めるしかないみたいだ。


 そんなことを考えながら放った1射がオオトカゲの急所に決まった。

 何本もの矢が刺さって、ハリネズミのようになっていたオオトカゲが魂が抜けたようにドサリと倒れる。


 そして、レベルが上がる音が聞こえた。


 「やったぞ!」 


 狙っていたとはいえ、なんという行幸。

 しかし、オオトカゲが倒れた時、刺さっていた木の矢がパキパキと何本か折れたようだった。


 「なん……だと?」


 やっと倒したというのにこの仕打ち。

 喜びも束の間、購入したばかりの木の矢が折れた事にがっくりとうなだれる。


 複雑な気持ちで無事だった矢を回収する。

 結局は2本の矢が使用不能になっていた。


 所詮は1本500エルの安物よ。

 まあ、レベルも上がったし気持ちを切り替えて戦利品を回収しよう。



 オオトカゲは肉と皮が売れるので早速解体する。

 しかし、解体用のナイフが無いときた。


 採取用のナイフではさすがに無理があったので、腰から抜いたロングソードを使ってみる。


 ああ、ザクリ、サクサクサクと。

 あれ? なんか引っ掛かった。


 当然と言うか皮はズタズタで肉もささくれ状態になっていた。


 まあ、解体なんてやった事ないし解体用のナイフでもないからな。

 それに、何処を切ったらいいのかよくわからん。

 少なくとも、解体用のナイフを買わないとだめだな。


 皮はあきらめて肉だけ回収する。

 見様見まねで、ロングソードを使って適当に切り裂く。


 そして、それはぎこちない手つきで腹を掻っ捌いていた時に起きた。

 胃か食道でも切り裂いてしまったのか、オオトカゲの腹の中にホーンラビットがいたのだ。


 丸呑みにされたのだろうか?


 そんな事をぼんやりと考えているとホーンラビットが突然目を開ける。

 次の瞬間、間抜けにほうけていた俺に突然襲い掛かってきた。


 「ぎぃにゃー!」


 声にならない絶叫をあげて、咄嗟に握っていたロングソードでホーンラビットを斬りつける。

 ホーンラビットはすでに虫の息だったのか、俺が1回斬りつけると動かなくなった。


 びっくりした! びっくりした! びっくりした!

 とてもびっくりしたので3回言いました。


 びっくりしたけど、こんな入り口に近い場所にオオトカゲがいた理由もなんとなくわかった。

 恐らくは、このホーンラビットを追いかけてここまで来たんだろう。


 倒したホーンラビットの耳を掴んで持ち上げる。


 棚ぼたと喜ぶべきか?


 皮、肉、角と捨てる部分がないのでホーンラビットはとにかくおいしい。

 ホーンラビットは小さいので、血抜きだけして解体せずそのまま持ち帰ることにする。

 解体の仕方もよくわからないしね。

 あとは、オオトカゲの肉を回収するだけだ。


 身の部分がかなり削れてしまったようだが、オオトカゲの肉は全部で5kgくらいはあった。

 まあ、解体の仕方がわからないのだからこれは仕方ないよね?

 なめし皮の風呂敷に肉を包むとリュックにしまう。


 レベルも上がって切りもいい。

 ナタリアさんと親父にも報告に行かないといけない。


 そろそろ切り上げるか。


 鼻歌混じりで意気揚々とダンジョンを後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ