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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第一章 特効薬開発
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24話 達也はボッチ

 ギルドに到着して受付に居たナタリアさんに声を掛けようとすると、しかし、受付に長い列ができている事に気づいて列の最後尾に並ぶ。


 今日は混んでるんだな? 


 そう思いながら周りを見渡すと、ナタリアさんの隣の受け付けにいるエミリーさんに目が止まった。

 なぜか誰も並んでいない。


 暇を持て余しているのか、エミリーさんは大きな口を開けて欠伸あくびまでしていた。


 おいおいと思いながらエミリーさんの受付へ向かう。



 「こんにちはエミリーさん」


 「何か用?」


 声を掛けると、気だるそうな態度でエミリーさんがぶっきらぼうに返答してきた。


 あんた受付でしょうが? 


 内心あきれながらも疑問に思っていた事を聞いてみる。


 「どうして、此処には誰も並んでいないんですか?」


 「あいつらは、ナタリアのファンだからね。ナタリアに話し掛ける口実で来ている連中だから相手にする必要は無いの」


 『適当に相手をしてやればいいのに、真摯しんしに対応するから相手が勘違いするんだ』とエミリーさんは口を尖らせて辛辣しんらつなことを言っていた。


 少しねたみが入ってないか? 


 相変わらずのエミリーさんに苦笑しつつ、パーティーメンバー募集についてどうなったのかを尋ねてみる。


 「あの、俺のパーティ募集の件はどうなりましたか?」


 すると、エミリーさんがにやりと笑って俺の肩に手を掛けてきた。

 そして『1人もいないよ』と淡々と言った後に、ポンポンと俺の肩を叩きながら『まあ、元気だせ』と嬉しそうに含み笑いをしていた。


 この人ほんと性格が悪いというか……物凄く嬉しそうに伝えてくるな。

 まあ、いいんだけど。


 でも、どうするかな?


 頭を搔いていると、ナタリアさんが『すいません少し失礼します』と話していた相手に断りを入れて突然俺の所に来た。

 そして、申し訳無さそうに謝罪してくる。


 「パーティーメンバーが来ないのは私の所為なんです。私がゴブリン相手にぼろぼろになった事をギルド内で大声で言ってしまって、それで達也さんが弱い人だと広まってしまったので……」


 悲壮な顔で謝罪しているナタリアさんの隣でエミリーさんが『それだけじゃないけど、ナタリアは天然だから気づかない』と独り言を呟いていた。

 ちらりと横目でエミリーさんを一瞥いちべつすると、不安そうな顔をしていたナタリアさんの目をしっかりと見て心の底から感謝の念を込めて伝える。


 「気にしないで下さい。ナタリアさんがいなかったら、俺はとっくに野たれ死んでいましたから。感謝こそすれ、恨むなんて絶対にありませんよ」


 まあ、確かにナタリアさんは天然なんだよな。

 悪意がないだけに、性質たちが悪いんだけど。


 心の中で苦笑していると、感極まったようすのナタリアさんがいきなり俺の手を握ってきた。

 そして『達也さん』と瞳をうるうるさせて見つめてくる。


 うわっ!? びっくりした。

 まさか、いきなり手を握ってくるとは。


 はっ!? しまった!


 やっちまったかと恐る恐る背後を盗み見ると、ナタリアさんのファンの方々が『殺す、絶対に潰す』と何やら物騒な事を呟いている。

 そして、ナタリアさんの隣ではエミリーさんが『ご愁傷様です』と縁起でもないことを言って両手を合わせていた。


 どうやら、俺のボッチが確定したらしい。

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