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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第四章 為すべきこと
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181話 セリアと俺と

 「ミュリちゃん、ミュリちゃん」


 「セレナちゃん、くすぐったいよ」


 セレナとミュルリが遊んでいた。

 2人の仲睦まじき姿を眺める。


 うんうん、仲良き事は美しきかな。

 可愛いいが2倍になって心も2倍癒されるのだ。


 それはそうと、セリアのやつは親方に上手く交渉できたんだろうか?

 ちょっと様子を見てくるかな。


 「あ! お兄ちゃん待って。セレナちゃんも行こう」


 「待ってぇ! ミュリちゃん」


 扉を開けて部屋から出ると、セレナとミュルリも後から付いてきた。



 軽くノックをしてからセリアと親方の居る談話室に入ると、2人は未だに向かい合って何かを熱心に話していた。


 2人が会話を中断してこちらを向いた。


 「おう、達也かどうじゃった?」


 親方が少しだけ心配そうな顔で聞いてくる。

 にこりと笑って答えると、俺の後ろから続いて部屋に入ってきたセレナとミュルリの2人に視線を向ける。


 セレナとミュルリは手をつないで楽しそうに笑っていた。


 「そっちは、上手く行ったみたいね」


 セリアが嬉しそうな顔で聞いてきた。


 「ああ、そっちの交渉の方はどうなんだ?」


 セリアに答えてから親方の顔を見る。


 「特効薬の方はわしの方で何とかしてやろう。じゃが、そのリュカとか言う軍人さんの方はわしは知らんぞ。まあ、話しを通すくらいなら、なんとか手配できるだろうがな」


 「ありがとうございます。そこまでしていただければ充分です」


 セリアが懇切丁寧にお辞儀をしていた。


 「さて、それじゃあそろそろ行くかの。達也! 暇があればいつでも遊びに来いよ。お前は家族みたいなもんだからな」


 「はい! 親方も体に気をつけて」


 親方の言葉に思わず目頭が熱くなる。


 「お兄ちゃん! いつでも戻ってきていいんだからね」


 「ありがとな、ミュルリ」


 抱きついてきたミュルリの頭を撫でる。


 セレナをちらりと見ると大人しくミュルリを見ていた。


 「セレナちゃん、またね」


 「うん、ミュリちゃん、バイバイ」


 親方とミュルリが部屋から出て行った。


 部屋から出て行くミュルリをセレナは名残惜しそうに見ていた。


 わずかな時間だったけど本当に仲良くなったみたいだな。

 やっぱり、友達になれるやつは時間じゃないんだよ。


 「フフフ、それじゃあ、私達も帰りましょうか」


 「何だ? ずいぶんとご機嫌だな」


 「もう、からかわないでよ。帝都に来てからまったく状況が進展してなかったんだから」


 怒ったように言ったセリアは笑顔で、憑き物が落ちたような晴れ晴れとした顔をしていた。

 どうやら、遅遅として好転しなかった状況に相当なストレスを感じていたようだ。


 着替えを済ませてセリア達と合流すると、セレナがうつらうつらと船をこいでいた。


 「ほら、セレナ。宿に戻るまでだから頑張って」


 「うーん。セレナ眠いのぅ」


 「もう、はしゃぎすぎちゃったのかしらね」


 「たっつん、抱っこしてぇ」


 「しょうがねえな。ほれ」


 しゃがんでセレナを背おうとセリアと帰路に着いた。



 宿までの帰り道にセリアに詳細を聞いてみる。


 「セリア、結局のところどうなったんだ?」


 「うん? そうねえ……リュカ元帥とのアポイントの約束は、遅くとも数日中にはと言っていたわ。おそらくは、リュカ元帥の出向している帝都の軍務省まで足を運ぶことになるわね」


 「ふーん。確か、リュカは薬師に興味があるんだろ? 俺に何か手伝える事は無いか?」


 「それなんだけど、特効薬に詳しい達也に交渉の場についてきて欲しいのだけど?」


 セリアが手を後ろで組むと、少し前屈みになって俺の顔を覗きこむようにしてお願いしてくる。


 「やっぱりそうなるよな」


 帝都の軍務省か……

 ナインスと鉢合わせしないだろうな?


 「達也、何か問題があるのかしら?」


 「いや、問題無い。それより、交渉にはセリアと一緒に向かうんだろ? セレナはどうするんだ?」


 「あっ!? そ、そういえば、そうよね。まあ、一緒に連れて行くしか……ないわね」


 セリアが俺の背で可愛い寝息を立てているセレナを見て、はっきりと不安そうな顔をしていた。


 宿に到着すると、眠っていたセレナを部屋のベットに寝かしつける。

 宿屋の共有スペースに戻ってくると、セリアと2人でのんびりと談話する。


 「それにしても、達也がこんなに役に立つとは思わなかったわ」


 「あのなあ、それ酷くねえ?」


 「フフフ、達也、ありがと」


 「なんだよ? セリアに改めてお礼を言われると正直照れるな。セリアには世話になってばかりだったからな」


 「そんな事ないわよ。セレナの件ではお世話になりっぱなしだもの」


 セリアとお互いの顔を見合わせる。


 「ぷっ! あはは」


 「フフフ」


 なんだか他人行儀な話し方になると可笑しくて笑ってしまった。

 セリアも可笑しかったのか2人して笑い合った。



 セリアに寝ると言って自分の部屋に戻った後、ベットに横になってステータス画面を確認する。


 今日は新たなデスゲームの条件が掲示される日なのだ。


 ドラゴン100匹の討伐 仲銃可 報酬 RPG-7

 火竜の討伐 仲銃可 報酬 高速哨戒艇

 ヒュドラの討伐 仲銃可 報酬 AT4


 猶予期間360日


 デスゲームの難易度が急激に上がったみたいだな。

 覚悟はしていたが、ついに来たか……

 ドラゴンがよ。


 それにヒュドラはレベル70だったか?

 どっちも化け物だな。


 えーと、ドラゴンはモンド大陸だったな。

 となると、次はモンド大陸へ向かうのだからドラゴンが先か。


 それにしても、条件が全部仲間も銃器の使用も可なんだな。

 それだけヤバイ相手と認識するべきなんだろうけど……でも、ヒート弾があるから負ける気がしないんだよね。


 問題があるとすれば弾数の方だな。


 ドラゴンを倒すのにヒート弾が100発もねえぞ?

 せっかくカールグスタフM3を入手して万全な体制を整えたと思ってたのに……


 どうするかな?


 そして、一番の悩みはヒュドラだ。

 こいつが出るダンジョンといったら、魔境のダンジョンぐらいしか知らない。


 またあそこに行くのか?

 俺は、もう行きたくないぞ。


 確か、魔境のダンジョンはケルベロスが出たよな?

 以前は手も足も出ずに泣く泣く撤退したんだが、ヒュドラはそいつよりも強いんだよな?


 「…………」


 まあ、銃器の使用が可能なんだ。

 カールグスタフ無反動砲の火力があれば、ヒュドラの1匹や2匹くらいどうとでもなるだろうよ。


 うーん、となると問題はどうやってヒュドラの居るダンジョンの奥まで行くかなんだよな。

 さすがに、魔境のダンジョンに1人で挑むのは自殺行為だ。


 セリアに頼むか?

 確か魔境のダンジョンは雷の魔石が出るとか言ってたよな。

 それを交渉材料にすればいけるかもしれん。


 まあ、頃合を見計らって相談してみよう。

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