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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第一章 特効薬開発
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13話 親方を説得せよ!

 「達也! 貴様~ミュルリに何をした!」


 現在のミュルリは泣き止んでいる。

 しかし、ミュルリは目を赤く腫らしているため、親方は俺が何かしたと勘違いしているようだった。


 これは予想通りである。

 今は黙って事の成り行きを見守りミュルリが誤解を解くのを待つ。

 なぜ泣いていたかの理由を説明するタイミングが必ず来るはずだ。


 俺が動くのはその時だ。


 ミュルリが誤解だと説明すると、親方は少しだけ落ち着きを取り戻したのか荒かった息が静かになった。

 そして、ミュルリが泣いていた理由を説明すると親方は苦悶くもんの表情をしてうつむいてしまった。


 説得する時のコツは最初に問題点と結論を話す。

 次になぜそうなのか? 具体的にどうすればいいのか? の手順で論理的に説明するのである。


 介入のタイミングはここだ!


 親方に説得を開始する。


 「親方……少しだけ話しをしてもいいですか?」


 親方は『なんじゃ?』といぶかしげな表情をしつつも『ああ』と消え入りそうな声で承諾する。


 「親方は人に物を教える時は、どうやって教えるかは学びましたか?」


 親方が、わしの教え方が悪いというのか? と言わんばかりの表情で睨んでくる。


 とっさにミュルリに目線を向ける。

 聡いミュルリは即座に意図を理解してくれたようで、ミュルリが『おじいちゃん!』という恫喝にも等しい一声を上げると親方は俯いてしまう。


 歳を取ると、なかなか自分の落ち度を認められず素直になれないから難しい。

 だが、孫には弱いのである。


 俯いたままの親方を見て取ると肯定したととらえて続けて解決策を教える。


 「なら、人に物を教える教え方を学べばいいんですよ」


 当たり前のことを言うと、親方は一瞬ぽか~んとした表情をする。


 だが、すぐに『いまさら……できない』と苦虫を噛み潰したような顔で否定してきた。


 「なぜ、やることができないのですか? 間違った誇りのことを見栄みえと言います。見栄や体裁ていさいが邪魔をして実行に移すことができない。無理なのではない、出来ないのではない、やりたくないだけなんだ。そんな下らない見栄や体裁など捨ててしまえ。体裁を気にして実をとれないのは愚か者だ」


 当たり前のことを言う。


 「50の手習いなんて言葉もあります。いや、何歳でもいいんですよ」


 親方は『学ぶとしても、何処で学べばいいかわからない』と力なく答える。


 「教え方なら俺が教えられます。そしたら、親方が薬の作り方を教えて下さい。ミュルリも居ますから、3人でやってみましょう」


 こうして俺、ミュルリ、親方の3人による相互教授が始まったのである。

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