137話 唸れ! 超回転斬り!
よし! なんとか立て直す事ができた。
さあ、気持ちを切り替えるぞ!
いきり立つ心を静めると、何が悪かったのか考えることにした。
原因として考えられるのは……
あれは、キラーパンサーではなかったんだろうか?
いやいや、それは無いだろう。
だって、ステータス画面に名前が載ってるんだからな。
う~ん、わからん。
わからんが、まずは経験値の確認をしてみるか。
魔物が違っていただけなら、経験値は入っているはずだからな。
ステータス画面を見てみると経験値は入っていなかった。
そうなると、やっぱりシステム上の問題なんだよな。
なんらかの制約に引っ掛かる、兵器の問題という事になるんだよな。
使っていたのは防刃ベストだけなんだよな。
しかし、こいつを装備した状態でも経験値は入ってたぞ?
何で今回は入らないんだ?
デスゲーム対象は駄目とかなのかな?
わからない。
「あ~もうわからんぞ!」
おもむろに地面に寝転ぶと、ゴロゴロと横に転がって気分転換する。
「超~~~~回転斬り!」
ゴロゴロ転がりながら剣を抜こうとして……剣先が鞘に引っ掛かった。
そのままの勢いで抜き身の剣の上に乗り上げてしまう。
「ぎぃやぁああああ!」
慌てて胴体部分を確認するも防刃ベストのおかげで無傷だった。
びっくりしたぜ。
こいつが無ければ死んでいた。
防刃ベストをじっと見る。
防刃ベストか……
原因として考えられるとしたら、やっぱりこいつなんだよな。
兵器を使用した時は経験値が入らないんだよな?
でも、防刃ベストは経験値が入るんだ。
しかし、なぜか今回は経験値が入らなかった。
何がいつもと違った?
相違点は何だ?
う~ん、兵器を使用した時か……
兵器の種類によって違うのかな?
防刃ベストは防具だよな?
防具の兵器を使用した時とは何だ?
攻撃を受けた時?
こいつか!
試しに手頃な魔物に攻撃を受けてから倒してみる。
経験値は入らなかった。
やっぱりそうか。
条件としてはその兵装を利用した時だったんだ。
つまり、防刃ベストは攻撃を受けた時に発動する。
攻撃を受けて防刃ベストを使ったら兵器を使用した事になるんだ。
あっ!? そういえば、暗視ゴーグルを使用して倒した時も経験値が入らなかった。
くそっ! ヒントはあったじゃないか。
どうする?
また、キラーパンサーと戦うのか?
でも、攻撃を受けずに倒すなんて絶対に無理だぞ?
なら、防刃ベストを装備せずに戦う?
いや、それは無謀だ。
あんな速い攻撃、急所を守れず爪で切り刻まれて死ぬだけだ。
死んだら何の意味も無い。
今の俺では……勝てない。
悔しいが、ここはひとまず退却だ。
屈辱に耐えながら、俺は密林のダンジョンを後にした。




