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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第三章 超えて行く者
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133話 一時のお別れ

 レトアの港に着いた。


 ここからモニカまでは目と鼻の先で、直接モニカへ向かえば早いのだが……


 セレナが俺の腕にしがみついて離れなかった。

 まあ、ずっと一緒にいたから仕方がないよね。



 セレナとお別れのため、レーベンまではという約束で一緒に向かう。


 そして、レーベンに到着するとセリア達と別れを告げる。


 「それじゃあ、またな」


 「ええ、またクエストがあったらね」


 「え? え? たっつん? 何処行くのぅ?」


 1人状況が理解できていなかったのか、セレナが動揺していたようだった。


 これは、ひょっとするとレーベンまでと伝わってなかったかな?


 「ほら、達也にお別れの挨拶をして」


 「やだぁ、やだぁ、いやー、ひっく、びぃえぇぇん」


 セリアが諌めるように促すと、やっと状況が理解できたようでセレナがわんわんと泣き出した。


 セレナが俺を見ると素早く抱きついてくる。

 ほっぺたをぷっくりとさせると、そのまま顔を赤くしてしがみついていた。


 あ~あ、これはもう完全に駄々っ子モード入ったな。

 ここまで懐いてもらえると、俺としても別れが辛くなってくるよな。


 セリアを見ると溜息をついていた。


 「どうするんだ?」


 セレナの頭を撫でながらセリアに尋ねる。


 「困ったわねえ。しばらくは、のんびりしたかったのだけど。達也は、何処かにクエストに行く予定はある?」


 何処かに行くクエストか? 

 

 この後にキラーパンサー戦が待ってるんだが、これは近場にダンジョンがある。


 何処かに行くとすればその後にあるゴブリン10万匹討伐かな?


 「レイクウッドに行って、ゴブリン討伐をしようかと思っているんだが」


 「は? ゴブリン討伐? レイクウッドって西の都の近くにある? それより、ゴブリンなんて討伐してどうするのよ?」


 セリアが怪訝な顔をして聞き返してくる。


 まあ、普通はそうだよね。

 俺だって、ゴブリン討伐とか言われたら反応に困るからな。


 「まあ、個人的な理由で討伐しないといけないんだよ」


 「ふ~ん。それも秘密なのかしら?」


 セリアがいつものポーズを取ると、話してはくれないのと視線を向けて聞いてきた。


 セリアに黙って頷く。


 すまん。

 なるべく嘘は言いたくない。


 「わかったわ。それで、すぐにレイクウッドに行くのかしら?」


 「用事が済んだら、すぐに向かおうと思っている」


 「だそうよ? セレナ。だから、少しだけお別れするだけよ」


 セリアがセレナの顔を覗き込むようにして話しかけていた。


 「ほんとぅ?」


 セレナが一度セリアを見た後に、つぶらな瞳を俺に向けて聞いてきた。

 あまりの可愛らしさに、思わずセレナを抱きしめてもふりたくなるのを必死に堪える。


 「ああ、約束だ」


 呼吸を落ち着けると、にっこりと笑顔でセレナに答えた。

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