128話 エリスは危険なお姫様
エミルの森へ行き、レインボーラットを仕留めていた。
報酬として、PGMへカートⅡを入手する。
デスゲームのクリア報酬は装弾数分貰えるようだった。
ちなみに、ヘカートⅡの装弾数は最大7発で弾の方は1ポイントで5発交換できる。
PGMヘカートⅡは、12.7mm×99mmの化け物サイズの弾を使用する。
ベレッタは500ジュールくらいの威力だが、こいつは13000ジュールくらいの威力がある。
そして、こいつはライフルの分類上は対物ライフルになる。
英語で言う所のアンチマテリアルライフルである。
ライフルの中では最強の威力を誇る分類であり、昔は対戦車ライフルと呼ばれていたが今は使われていない。
対戦車ライフルという言葉が、戦車の圧倒的な装甲の向上によって使えなくなってしまったからだ。
ちなみに、装甲をRHA(鉄板の厚さ)という単位で表すわけだが、現在の戦車のRHAは500~700mmくらいある。
ベレッタだとAP弾(徹甲弾)を使っても5~6mmくらいで、ヘカートⅡでも25mmくらいだ。
まったく無理になったので呼ばれる名前が変わったのである。
それでも生物に使用してはいけない。
トマトを潰したみたいに悲惨な事になるからだ。
目的を達成した俺は宿屋に戻った。
さてと、これで魔大陸には用は無くなったわけだがどうするか?
セリアに言ってエル大陸へ戻ろうと相談してみるか?
とりあえず、セリアに今後どうするのかを聞いてみよう。
「セリア! ギルドのクエストも終わっただろ? これからどうするんだ?」
セリアの部屋に向かうと、ドンドンと部屋をノックしながらセリアに尋ねる。
「うるさいわね。セレナがお昼寝してるんだから静かにしてよね」
「あ、すまん」
「まあ、とりあえず部屋に入って」
セリアに促されて部屋に入るとソファーに座った。
「で? どうするんだ」
「そうね、一息ついた所だし、そろそろエル大陸に戻ろうかと思うのよ。達也は魔大陸での用事は済んだのかしら?」
セリアが備え付けのベッドに腰を下ろすと、エル大陸に戻ると言ってきた。
こいつはちょうどいい。
どうやって切り出そうかと思ってたんだ。
「ああ、俺の方はばっちりだ。用事が済んだから、ちょうどセリアに伝えるために来たんだよ」
俺達が話しているとコンコンとノックがされる。
「誰かしら?」
セリアが部屋の扉を開けるとそこには美少女がいた。
腰まである亜麻色の髪がさらりと揺れる。
「ごめんなさいね。セリアさん、でしたわね? 少しだけお話を聞かせて頂きたいのですわ」
「うおっ! 何だこの美少女は! セリア! 俺にも紹介しろ」
「ちょっと、達也! 黙りなさい! エリス様は、エル帝国の王妹殿下なのよ?」
エリスと呼ばれた少女の顔をまじまじと見ると、エリスの方も俺を見た。
「そう、貴方が達也様なのですね」
エリスが艶やかな笑顔を見せていた。
なんだろう? 美しいはずなんだけど……
その美しい口元が片方つり上がり、まるで卑しく笑っていたように見えた。
その瞬間、俺の頭に何時かの不快なノイズが走った。




