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超えて行く者(異世界召喚プログラム)  作者: タケルさん
第三章 超えて行く者
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112話 レインボーラットを求めて

 あれから半年の月日が流れた。


 一度は魔大陸から撤退した冒険者達が少しづつ戻って来ていた。

 戻ってきた冒険者達の活躍は目覚ましく、近場のダンジョンの魔物達を殲滅して回り、この町の周辺なら馬車での移動に護衛が必要無いほど安全になっていた。



 この半年の間に俺達のレベルも上がって、俺の冒険者ランクもEからCになっていた。


 当然ながら、冒険者ランクの上昇に伴って俺の報酬も増えた。

 しかも、それがさらに緊急クエストによって上乗せされ、そして、この要因が一番凄かったのだが、グルニカが持ち直したことによる通貨価値の高騰によって結果的に報酬が爆発的に増えることになっていた。


 グルニカ大陸に来た時に相場の50倍だったのだから推して知るべしだ。


 10万匹のゴブリン討伐の秘策のために、どうしても大金が必要なんだ。

 ここで1グルニカでも多く稼いでおきたい。


 マイクエスト報酬でもいろいろ入手していた。

 水筒、ハイドレーションパック、浄水ボトル、双眼鏡、指向性対人地雷だ。


 そして、肝心のレインボーラット討伐の方はと言うと……

 お目当てのレインボーラットの主な生息地は、王都グルニカより北にあるデッドラインの砦付近だった。

 しかし、地上に魔物がうじゃうじゃいて近づく事もできなかったのだ。


 どうしようかと思案した結果、勇者バッカスが近いうちに王都に進行すると聞いたので進軍を待つことにした。

 数は少ないが王都グルニカの西にあるエミルの森にもレインボーラットは居るらしいので、後ろから付いて行ってちゃっかり倒してしまおうと考えたんだよね。

 まあ、弱者の知恵と言うやつだな。


 そして、その時まではと自分の力を高めて待っていたんだ。


 ちなみに、デッドラインの砦とは人類が進行してくる魔物への防衛線として築いた壁だそうだ。

 魔大陸の中央付近にあるそうだが、500年以上昔に魔物に侵略されてしまっている。

 皮肉な事に、現在は魔族が防衛拠点として利用しているそうだ。


 そして、デッドラインより遥か北に魔王のいる魔王城がある。

 そこが俺の最終目的地だ。



 そして、ついに勇者バッカスの解放軍がデッドラインの射程に入ったという情報が来た。

 どうやら、勇者バッカスの快進撃はその後も順調に続いていたようだ。


 勇者バッカスの解放軍は、兵力をグルニカ王都の近くにあるマイセンの都市へと集結させているらしい。

 グルニカ王都への救援作戦が近いうちに実行されるだろうとの話しだ。


 そのため、ギルドからも緊急クエストが出ていた。

 俺達の目当てはその緊急クエストだ。


 次の目的地はマイセンである。

 馬車に乗り移動する。


 マイセンに着くと、早速ギルドに行ってグルニカ王国救援作戦の緊急クエストを受諾する。

 作戦は10日後にヴァルハラ平原で始まるそうだ。


 その後はギルドで情報収集をした。

 どうやら、来ているのは冒険者達だけではないみたいだ。


 世界最強の軍事国家であるエル帝国軍からは、帝国軍第1軍団の重装甲騎士団と大量の支援物資。

 そして、炎帝の異名を持つ勇者エリスが来ているらしい。


 ドラゴンナイトを有するモンド王国からは、ドラゴンナイトの勇者ヒュッケを筆頭に竜騎士団が来ているそうだ。

 航空戦力であるドラゴンナイトの強さは圧倒的だそうで、たった1騎の竜騎が兵士100人の戦力に匹敵するのだそうだ。


 勇者が3人もいるのだから、今回の作戦は安泰そうだな。



 さてと、作戦開始まではまだ何日もある。

 レインボーラットの出没するエミルの森の下見でもしておこうかな?

 近づくのは危険でも、遠くから眺めるだけなら1人でも問題無いよね。


 ちなみに、セリアは用事があるとかでセレナと何処かへ行ってしまったので居ない。


 魔物の姿を遠くから確認すると、こそこそと逃げ回りながら進む。

 ヴァルハラ平原の近くに着くと周りを見渡す。


 ふう、何とか辿り着いたか。

 あの辺が戦場になるんだよな?


 ここから、さらに西に行った所にエミルの森があるのだが、さすがに危険すぎてこれ以上は進めない。


 個体数は少なくないから、ひょっとするとひょっこり居るかもしれないんだよな。


 遠くからぼけ~と眺めていると、図鑑に載っていたレインボーラットがいた。


 少し危険だが行くか? 緊急時は銃を使えばいい。


 周りには他の魔物の姿は見えなかった。

 そろりそろりと距離を詰める。


 スコープ無しのマークスマンライフルだから、俺の腕だと最低でも300mくらいまで近づかないと難しい。

 5ポイントを使えばスナイパーライフルを交換できるのだが、銃があっても弾がなければ意味が無いので論外だ。

 ポイントはすべて弾の交換に使う。


 双眼鏡を覗くと距離は1200mだった。

 ちなみに、この双眼鏡は目に見えないレーザー光線を飛ばして距離を測ってくれるんだ。

 そして、デジタル表示で距離を正確に教えてくれる。

 誤差は0.5%以内の優れものだ。


 900mくらいまで近づくとレインボーラットは気づいて逃げてしまった。


 身を隠す遮蔽物が何もないからしょうがないとはいえ、これは……近づくには何か作戦を考えないと無理だぞ?


 対物ライフルのヘカートⅡがあれば簡単なのにな。

 あれなら有効射程が1.8kmある。

 だけど、レインボーラットを倒した時に貰える報酬なんだよね。

 意地が悪いぜ。


 とりあえず、撤退だな。

 どうするかを考えながらマイセンの都市へと戻った。

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